目次
はじめに
こちらの記事は、エンジニアに関する知識を記録・共有するためのサービス”Qiita”に掲載した内容を、PickupAfrica向けに加筆修正したものになります。
Pickup Africa の運営を行なっている、レックスバート・コミュニケーションズ株式会社、代表取締役の田中と申します。レックスバート社は、アフリカ・ルワンダでのオフショア開発を始めたことがきっかけで、今現在では、ルワンダに関連会社WiredIn社を持ち、またアフリカとの事業の中で培われた経験・コネクションを活用し、アフリカへの進出に関心のある日本企業のアフリカ進出支援の事業などを行なっています。
これまで事業をおこなってくる中で、「なぜルワンダでオフショア開発を?」という質問に多数答えてきましたが、今回より多くの方にも知ってもらいたいということで、記事を作成して公開して行っています。元々私がエンジニアということもあり、その切り口でエンジニア向けのブログであるQiitaさんのサービスで記事を連載しましたが、PickupAfricaをご覧いただいている方にも是非読んでいただきたいと思い、内容を修正しつつ、こちらでも記事を公開していこうと思います。
この記事について
何回かに分けて書いていく予定ですが、単にルワンダのオフショアだけの話ではなく、地理的に離れた場所でどのような開発体制を構築し、プロジェクトをこなしていっているかや、海外での開発を単にアウトソース先としてではなく、その先にある市場を一緒に目指していくような話、その中で日本がどのような強みを出せるのかなど、思いつくままに話は脱線するかもしれませんが、そういった話を書いていきます。
大まかな流れ
- ルワンダを紹介され、オフショアやってみたら、なかなかイイ感じだった。
- お国の力を借りた次の一手。
- ルワンダに会社設立。
- 案件をこなしながら自分たちの開発体制を作った。
- 留学とインターン受け入れからの人材育成の流れ。
- 自社サービスの開発。
- ルワンダ国内での認知度と大型案件。
- アメリカやヨーロッパからの案件。
- 自社サービスが売れ始める。
- 自社の採用に直結するスクールを立ち上げる。<今ココ
- 目指す将来について
さて、皆様はオフショア開発やっていますか?
古くは中国やインドが日本の主なオフショア先でしたが、人件費上昇の問題などもあり、近年はベトナムを中心とした東南アジアでのオフショアが中心かと思います。東欧も聞きますね。
そんな中、私は アフリカ の ルワンダ共和国 というところで、足掛け10年、オフショア開発をやっています。
なぜルワンダでオフショア開発を?という質問には、もう何千回と答えてきたような気がします。
正直説明に疲れました。ので、やはりちゃんとアウトプットして、そこを見てもらえるようにしないとな、ということで書き始めています。
なぜアフリカでオフショアを!?
前置きが長くなりましたが、本題です。
実は偶然です。
で、終わったらダメですよね。
きっかけは、私が独立起業した直後、実質的にはフリーランスとして、スタートアップのCTOをしたり、SESとして自分自身を企業に送り込んだりしておりましたが、その中のあるスタートアップの(潰れました)代表から、
「ルワンダからコーヒーを仕入れている人と知り合ったんだけど、ルワンダにもエンジニアが居るらしいよ?めっちゃ安くアウトソースできるだろうから会ってみない?」
こんな感じのことを言われたのが、すべての始まりでした。
(ちなみに先に言っておくとアフリカの人件費は安くはないです。)
今から11年ぐらい前になる、2011年の話です。
大体の場合、その時点でNoになると思うのですが、私は誰もやってなさそうなことに興味を惹かれ、みんなが右向いていたら自分は左に、と進んでしまう昔からの性格であるため(スーパーファミコンではなく、メガドライブを買ってしまったことに端を発するメンタリティ)、まずは会って話を聞くことにしました。
ルワンダのコーヒーを仕入れている方は技術的なことはわからない方だったので、とにかくまずはそのエンジニアとやらと紹介してくれとお願いしまして、繋いでもらいました。
この時繋がったルワンダのエンジニアが、結果として今現在に至る最重要ビジネスパートナーであり、一緒に事業を作ってきた人物である、Alain Kajangwe氏でした。
早速、その時手伝っていたスタートアップで必要なちょっとしたスマホアプリの作成を依頼しました。
彼はスマートフォンのアプリ開発は実践としては経験がなかったですが、とにかくキャッチアップしてやってみるということで、こちらとしても失敗しても自分たちでやり直せる範囲だったので、発注してみました。
当時私は、仕事上英語には日々触れていたものの、聞く話すには全く自信がなく、ひたすらメールやチャットでのやり取りになりましたが、アプリは無事に完成し、リリースすることが出来ました。
この時、当然アプリ開発をするため、こちらとしては仕様書などを作り、それを説明し、実装~テストとやっていくわけですが、こちらからの質問や要望への回答はタイムリーかつ適切だし、逆に仕様として伝えきれない部分はしっかり質問して来てくれて実装に反映してくれ、テストの段階でも細かいバグの修正や、UI改善のための細かいリクエストにも随時対応してくれて、1~2カ月の期間でしたが、非常にスムーズに完成に持って行けました。
私個人の経験として、過去に別のオフショアなども経験していましたが、その時の苦い経験から、オフショアなど無理派でしたが、この経験で、相手がしっかりしてるなら全然いけるじゃない!に変わった瞬間でした。
こうなってくると当然次の興味が出てきます。
ルワンダってこんなエンジニアがゴロゴロしてるの!?単価こんなに安く?すごくない?
・・・・話しはそんなに単純ではなく、ここが長きにわたるチャレンジのスタート地点となるわけですが、この時点ではこれは掘り出し物を見つけた!ぐらいの感覚でした。
お国の力を借りた次の一手
と、ここまでは順調だったものの、会社として一旦アウトソースできるものはしてしまった状態でした。現地側も現地の会社にお願いしたというよりルワンダのフリーランスエンジニアに依頼した形だったので、組織的に開発を委託する体制を作るというのも難しい状態でした。
そんな中、ルワンダを紹介してくれた方が、日本貿易振興機構(JETRO)に相談に行ってはどうか、と勧めていただき、打ち合わせをセッティングして頂きました。
恥ずかしながら、国の機関とかまったく絡まない人生を送ってきたため、JETROだJICAだと言われても何それ?状態でした。
とはいえ、言われるがままJETROさんを訪れ、その後、ある事業に採択されたことで、流れは次のフェーズに入っていくこととなりました。
次回
開発輸入実証事業に採択されのち、初めてルワンダに降り立ったこととか、その中で取り組んだことなどを紹介します。