目次
題:生物多様性の保全がどのように人間の健康をもたらすか
英題:How biodiversity conservation supports human well-being
記事リンク:https://www.awf.org/news/how-biodiversity-conservation-supports-human-well-being
内容と背景:
こんばんは!Pick-Up!アフリカをご覧いただきありがとうございます。
本日は、動物の保護と人間の健康、生活の関係についての記事をピックアップしました。
動物の保全と人間の健康、生活
アフリカは世界でも有数の生物多様性を持つ地域だと言われており、世界で約5400種類存在する哺乳類の内約1100種がアフリカに存在しています。さらに鳥類は2600種、魚類は3000種存在し、昆虫類の割合は全世界の15から20%を占めるとも言われています。(文末記事1、2)
このようにアフリカには現在様々な動物が存在しているわけですが、人間の活動によってその内幾つかの動物が絶滅の危機に陥っています。実際に、こちらの記事では2100年までにアフリカの哺乳類と鳥類の半数が絶滅する可能性が示唆されており、その危機に対して注目が集まっています。
このように動物の保護に注目が集まる中で、動物の多様性と人間の関係性についての研究が進み、野生動物の保全が人間の健康や豊かな生活にとっても重要であることが明らかになりました。
実際に今回の記事では、動物の保護が人間への感染症の拡大を防ぐと述べられています。この理由の1つとしては、ある動物の絶滅が生態系のバランスを大きく変容させてしまうことが挙げられます。具体的には、大型肉食動物が絶滅したことで、小型動物の数が増大すると、それに寄生するノミの数も同様に増加し、ノミが媒介する人獣共通感染症の発生確率が高まってしまうといったケースがあります。
2つ目の理由としては、動物の多様性が失われれば人間が人獣共通感染症に感染する確率が増加してしまうことが挙げられます。人獣共通感染症の病原体が感染することができる動物の種類が少なくなればその病原体が感染する対象の選択肢が狭まってしまい、人間が感染する確率が高まってしまいます。(文末記事4)これらのことから、動物の保全によってその多様性を維持することで人間の感染症のリスクが減少し、健康を向上させることができると述べられています。
また記事では、動物が人々に経済的利益をもたらしていることについても述べられています。特にアフリカでは観光業において野生動物が大きな利益をもたらしており、実際に2019年には、野生動物観光はアフリカ全体で293億ドルの利益と、360万人の雇用を生み出しました。(文末記事5)さらに、一匹のゾウが生涯に観光業で160万ドルを生み出しているとも言われており、(文末記事6)産業が発達しきっていないアフリカにおいて野生動物観光は重要な収入源となっています。このように、動物が雇用や収益をもたらすことで人々が豊かな生活を送ることが出来ているケースがあります。
動物が人間の健康や生活にもたらすこうした影響が認知され始めて、アフリカでは以前よりもさらに動物の保全活動が広がりつつあります。そこで、ここからはアフリカでの実際の活動をいくつかご紹介し、それらがどのように人間の健康や豊かな生活に繋がっているのか具体的にお伝えしていきます。
マウンテンゴリラの保全活動
まず初めに、ウガンダのConservation Through Public Health (CTPH)というNGOの活動をご紹介します。ウガンダの獣医であるGladys博士によって立ち上げられたこのNGOは、動物と人間の共存を目標とし、観光業でゴリラと人間が接する機会が多くなった中で、双方への感染症の蔓延を防ぐための活動をしています。具体的には、動物と人間の両方の集団を対象とした感染症早期警戒システムを導入して人間の病原体が野生動物に逃げ込むリスク、あるいはその逆のリスクをチェックしています。この活動によってマウンテンゴリラを保全するとともに、人間の健康向上にも貢献しています。(文末記事7)
次に、ウガンダとルワンダ政府主導の保全活動についてご紹介します。政府は、国立公園でのマウンテンゴリラツーリズムを促進して観光収入を上昇させるとともに、地域住民がその収益を得られるようにすることでゴリラを狙った密猟を抑止しています。さらに、公園の資金の一部を種の保存にも使用して、動物保護と人々の生活の保護の両立を実現させています。
白サイの保全活動
上記のマウンテンゴリラツーリズムと似通った部分はありますが、南アフリカとルワンダが共同で実施した白サイの保護活動についてもご紹介します。この活動は、絶滅の危機に瀕している白サイの種の保全を目的とし、南アフリカに存在していた白サイをルワンダに空輸したというものです。南アフリカでは白サイの角を狙った密猟が横行していたため、上記のような動物保護の実績のあるルワンダに白サイ30頭を輸送しました。
一か月ほど前に実施されたためにその効果はまだまだ測り知れませんが、今までルワンダには白サイがいなかったこともあり、今後多くの観光客がアカゲラ国立公園に訪れることが予想されています。それにより、コロナウイルスによって深刻なダメージを受けたルワンダの観光業の活性化や、公園周辺エリアの活性化による周辺住民の収益増加が見込まれています。(文末記事8、9)
このようにして、アフリカでの動物の保全が実際に人間の健康、生活の向上の効果をもたらしています。この事実が周知されていく中で、アフリカでの動物保護の動きはこれからも強くなっていくと考えられるので、今後の動きに期待したいです。
関連記事:
1.The National Wildlife Federation /Wild Life Guide/ Mammals-Link
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3.Half of African species ‘face extinction-Link
4.Biodiversity, Community Ecology, and the Dilution Effect-Link
5.HOW WILDLIFE TOURISM IN AFRICA REDUCES POVERTY-Link
6.we need animals to survive – but first, we need to include them-Link
7.Uganda’s ‘Dr. Gladys’ honored by U.N. for work linking conservation and health-Link
8.White rhinos flown from South Africa to Rwanda in largest single translocation-Link
9.観光セクター促進に向けたアフリカ大陸での最新の動き!【Pick-Up! アフリカ Vol. 44 (投稿:2020年11月24日)】-Link
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