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ロックダウンのなかでウガンダの医療チームが行う5つのHIVケア
Five ways Uganda’s health teams provided HIV care in lockdown
記事リンク:
https://theconversation.com/five-ways-ugandas-health-teams-provided-hiv-care-in-lockdown-165267
内容と背景:
WHOによると、2020年時点でHIVに感染した人は約3770万人おり、そのうちの3分の2以上はアフリカ地域に暮らす人々です。今回ピックアップしました記事の舞台であるウガンダには、2019年時点でHIVの感染者は約150万人います。2015年の日本の感染者が1006人であったことと比べると、その数の大きさが際立ちますが、ウガンダでは近年HIV/AIDSの予防や治療に力が入れられています。
例えば、HIV教育や性教育が一般市民社会や学校で広まっています。2015年から2016年にかけては宗教団体や文化機関のプログラムを通じて200万人以上の人々にHIVの予防情報が届けられました。また、ラジオやテレビやポスターなどを通じ、さらに数百万人にHIV予防法が伝えられました。800以上の小学校や中学校では、HIVの予防法に関する教育が行われています。
また、HIV/AIDSの感染源の一つである母子感染の予防の取り組みもなされてます。2017年には、HIVに感染している妊婦の女性たちの97%以上(11万人以上)が抗レトロウイルス剤の投与を受けました。
HIVは一度感染すると完治させることはできませんが、抗レトロウイルス剤を組み合わせた治療によって、ウイルスの増殖を抑制し、AIDSの発症を防ぐことができます。ただし、それには薬を飲み続ける必要があり、途中でやめてしまうと、ウイルスが薬剤に耐性をもってしまい薬の効果が薄まり、治療の失敗につながってしまいます。
抗レトロウイルス療法(ART)を受けている人が感染者の80%以上に相当する120万人以上いるウガンダでは、2020年3月20日に初の全面的ロックダウンがしかれました。これにより、公共・民間の交通機関が停止され、個人の移動が制限されました。そして2021年6月中旬には42日間に及ぶ2度目のロックダウンが実施されました。こちらは現在は緩和されていますが、感染状況とワクチン接種率の低さから、ロックダウンが再び発表される可能性が高まっています。
これらのロックダウンの最中、HIVの感染者は家を出て医療施設を訪れることができず、必要な薬の補充を受けることができませんでした。薬を飲むことができなければ、上記の通り治療の成功が危ぶまれてしまいます。
本記事では、そうした危機的状況にあるHIV感染者たちを守るウガンダでの5つの取り組みが示されています。以下では厳選して3つご紹介します。
①自宅配送サービス
各地区の保健省や、PEPFARというアメリカによるAIDS救済緊急計画を実施している組織の支援のもと、ウガンダ国内の医療施設には特別車両が用意されました。この車両を用いることで、特に病院に行くのが大変な地方の人々にも薬が届くようになりました。
②ART薬の余分提供
ロックダウンに備えて、ウガンダ政府は事前に、容態が安定した患者に対しては必要な薬を1度に3か月~6か月分提供することを推奨していました。体調が悪いほど通院間隔が短くなりその度に薬を受け取る必要がありますが、この制度により、ロックダウン期間に薬が切れることがなくなり、病院に行かなくとも治療を続けることができるようになります。ちなみに、セクシュアルヘルスやメンタルヘルスに関する情報を発信しているLASHによると、日本では、HIVの患者で、通院頻度が2〜3ヶ月に1回の割合は53.3%、1ヶ月に1回の割合は28.8%であるといいます。通院頻度のみをみると、日本においてもこの取り組みは有効的であるでしょう。
③コミュニティベースのART提供
HIVの感染者は、自宅付近の薬局や地域の公民館などの場所で薬を受け取ることができるようになりました。この取り組みは2017年から行われていますが、COVID-19のパンデミックが発生する前までは、HIVやAIDSに対する周囲の目やスティグマにより、それほど普及していませんでした。それが、ロックダウンによって行動が制限されたことで、患者たちからの需要が高まったそうです。その便利さから、薬の提供はパンデミック後もコミュニティの重要な役割になると予測されています。これにより、HIV/AIDSの患者との距離感が変わった周囲の住民が抱くHIV/AIDSに対する印象は変化していくのか、ということにも注目していきたいと思いました。
以上、ウガンダでのコロナ禍におけるHIV/AIDS患者に対する取り組みをお届けしました。治療を継続しなければいけないというHIV/AIDSの特徴を踏まえたものではありますが、他の病気にも活かせるような事例であったように思われます。
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