「No Nameキャンペーン」:すべてのアフリカの子どもたちが彼らの法的アイデンティティを獲得するためのゲームチェンジャー
The “No Name Campaign”: a game-changer in ensuring all African children acquire their legal identity
内容と背景:
本日はアフリカ大陸内の「出生届」に関する記事をピックアップしてご紹介します。
一昨年、ユニセフが発表した世界の出生登録に関する報告書によると、世界ではいまだに1億6,600万人もの子どもの出生登録が未登録であるということが示されています。
その報告書では、サハラ以南のアフリカの国々の大部分が世界の他の国々に比べ遅れをとっており、特にエチオピア(3%)、ザンビア(11%)、チャド(12%)の国々が世界で最低水準の出生登録率となっていることが言及されていました。
そこで昨年、アフリカ連合とユニセフは協力し、アフリカの全ての子どもたちの法的アイデンティティに対する権利を保証するために共同イニシアチブである「No name キャンペーン」を開始しました。このキャンペーンでは、‘For Every Child a Legal Identity, For Every Child Access to Justice”をスローガンに、全ての子どもたちへの出生登録を促進させるための3つの柱として、デジタル化・地方分権化・相互運用性を加盟国に掲げています。
今月はこのキャンペーンの開始から1周年にあたり、アフリカ連合とユニセフは、アフリカ全土の政府に対し、2030年までに出生の普遍的な登録を可能にするために、具体的かつ緊急の行動を取るよう呼びかけています。
今回ご紹介している記事によると、コートジボワールではコロナ禍において、出生登録が国の免疫サービスの90%以上にリンクされるようになり、医療サービスとの相互運用性の面で良い結果を出しているということが示されています。この医療サービスとの相互連携により、新生児の出生登録が推進されているということです。
このように、アフリカ大陸内の多くの国では、パンデミックによるデジタル化の推進を機会にして、政府が出生登録の促進に注力しているということも見られています。
一方で、多くの国々で出生登録が進まない理由として、ユニセフは下記の事柄が要因であるということを述べています。
- 子どもの出生登録方法に関する知識の不足
- 出生記録・出生証明書の申請料金の高さ
- 登録が遅れた場合の追加料金
- 最寄りの登録施設までの遠さ
- 伝統的な慣習(子どもを産んだばかりの母親は屋内にいるべき。などという慣習)
無料で出生届を保証している国はごくわずかであるということが、各国で出生登録が進まない一つの要因として考えられているようです。
出生登録は、医療面だけでなく「教育」や「司法」でも重要な意味を持ちます。例えば、この記事では出生証明書を持たない場合、小学校の入学試験を受けることができないなど、教育や将来の機会の損出について述べられていました。
そこで、No Nameキャンペーンでは、同様に出生登録が遅延した場合の登録料についても免除するべきであるということを各国政府に呼びかけています。
SDGs(持続可能な開発目標)では、「2030年までに、すべての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する」(目標16.9)ということが目標とされています。しかし、いまだに世界中の4人に1人の割合で5歳未満の子どもが未登録であるということが明らかになっています。
新型コロナウイルスのパンデミックによって、出生登録の重要性が認識され、各国政府の動きを活発化させる良い影響を及ぼしているということが理解できました。この影響を契機として、各国政府が登録金免除などの措置を講じるなど具体的な対策をとり、一人でも多くの子どもたちの権利が守られ、促進されていくことを願っています。
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