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データへの12%の課税は、事業体の支出をさらに大きくするものになるだろう
英題:12% tax on data will drive up costs for businesses
内容と背景:
今年2月にはケニアでデジタルサービス税の導入に関するニュースをお届けしました。また昨年9月にはアフリカ各国での税収入の足りなさから、税制の見直しの一環として、African Tax Administration Forumという団体のアドバイスなどを受けながら国際的にデジタルサービスを提供している企業への課税などの可能性を見ていることもお届けしました。
記事では、コロナの影響もありオンラインサービスやビジネスが一般化してきたとしつつも、ウガンダ政府が7月1日からインターネットデータに対し12%の税を課すとして共有しています。そのニュースに対し、中小企業だけでなく、インターネットデータを通常から扱う大企業の関係者の意見などを共有しています。
最初に意見を共有しているのは、小規模のオンラインビジネスを始めたばかりというJosephine Nkiwalaさんは、この税制の導入によって最低でも20万シリング(約56.57ドル、約6250円)ものお金をデータ関連に当てなければいけなくなり、毎月の電気代の半額に当たる2万4千シリングを追加で払わなければいけなくなると述べられています。
またMedia Companyの取締役を務めるAbdul Karim Sanyaさんは毎月の1500万シリング(約4243.1ドル、約47万円)に加え、160万シリング(約450ドル、約5千円)も支出しなければいけなくなり、それが契約社員3名の給料に相当するとしています。というように、二つの例から、どうやら色々な企業に大きな影響を及ぼすことが見て取れます。
さらに記事では2018年に導入された、Over-the-Top(OTT)税の紹介をしています。こちらは毎日200シリング(約0.055ドル)をこの制度で対象となるインターネットサービスやソーシャルメディアサービスのサブスクライバーに課す課税制度を紹介しています。今回の新しい12%の課税はこのOTTに代わるものであるようで、思ったように徴税できなかったことなどを反映したようです。
今回の課税制度の対象になる企業なども発表されているようなのですが、記事ではそれにもどのようにしてそれが決められたかなどが不透明、あるいは基準ははっきりとしていないとの意見が早速出ていると共有されています。
ちなみに、メディアや教育サービスを提供する業種はこれの対象外となる職種としても紹介されています。また、サービスとしては、モバイルマネー関連(引き出しと送金)、また、国際電話も対象外となるようです。
またOTTには回避方法もあったようで、VPNを使ったり、あるいはワイアレスネットワークを敷くことで、この税金の支払いを回避できたとも規制局の関係者の話を共有しています。したがって、より対象となるサービスを明確化しすることが新しい制度の導入のきっかけになったとも読み取れます。
実際、これらの抜け道などがあったからなのか、予測されていた2000億シリング(約5650万ドル、約62億円)のうち実際に徴税できたのはそれの15%でしかなかったとも共有されており、それに比べ新しい税制では約600億シリングの税収が見込まれているとも記事では書かれています。
そして最大の課題として、政府がこれまで進めてきた国家開発計画の中でのICTの促進などの取り組みにも影響を及ぼすだろうとも記事では言われています。インターネットサブスクライバーが人口の半分に達したことや、モバイルマネーの活用が促進されたこと、そして3900キロメートルに及ぶ高速ファイバー網の整備、インターネットを活用した付加価値をもたらす産業がここ最近発達していたのに逆行するような税制度になるのではないかとされています。
また、コロナの影響もあり、アフォーダブルなインターネット料金の実現の必要性が叫ばれる中、そもそも他の東アフリカの国々と比較し、インターネット料金がもともと高めであること(1GBあたりウガンダ、ケニア、タンザニア、ルワンダはそれぞれ、$2.67、$2.41、$2.18、$2.18)にも触れられており、今回の税制がさらにそれを遅れさせるのではないかとの懸念があるようです。
背景にはやはり、GDPにおける税収の割合がアフリカの平均20%に対し、ウガンダは13%と低いこともあるものの、関係者の中には、他の課税方法の中でデータへの課税が最適解なのかを疑問視する声もあるようです。
2018年に書かれたこちらの記事では、ウガンダのOTT税と時期を同じくして、あるいは以前に導入された似たような制度が紹介されています。例えば、ザンビアでは世界的にも推奨されていいるアフォーダブルなインターネット料金($2/GB)の6倍以上のインターネット費用でありながらOTT同様の税制度を導入したこと、タンザニアでブロガーやオンラインラジオ、テレビサービス提供者に対し課税したこと($930ドルの納税)、また、ケニアの例、そして導入をしたもののすぐに廃止となったベナンの例などが共有されています。
こちらの記事によるとタンザニアの例では、政府が表現の自由を規制するためにこれを導入したようで、違反すると投獄、あるいは約2210ドルの違反金の支払いが命じられる可能性もあるようです。
また、2020年8月にデロイト社のウェブサイト上で書かれた記事では、さらにナイジェリアやチュニジア、ジンバブエ、エジプト、南アフリカ、などの国での同様の税制度導入の計画や導入結果に関しても書かれています。そしてまとめの中には、大陸全体としてさまざまな国で同様の税制度導入の流れが見られるだろうとしつつ、それぞれの国で課税対象となる企業や産業に差異があることから、複数国でデジタルサービスを提供している企業の他の新しいマーケットへの事業拡大の際の検討事項の一つになるだろうともしています。
以前のOTT税を導入した際にウガンダでは抗議デモなど起こりましたし、また、この税制の抜け穴を探す動きなどが見られたことから、今回の新たな税制の導入がどのような影響をもたらすのか観察していきたいと思います。
ただ、今回はコロナ環境下で成長が見られた分野が課税対象外となっていることもあることから、対象分野との関係性なども気にしていきたいものです。
またアフリカでのこのようなデジタルサービスへの課税関連のニュースをお届けしていきますのでぜひお楽しみに!
いくつか下には参考となる記事も載せていますので、合わせてお楽しみください!
関連記事:
- 「ケニアでデジタルサービス対象の税制度導入!《テクノロジー・イノベーションと政策・規制の関係からみる – 其の3》【Pick-Up! アフリカ Vol. 103:2021年2月10日配信】」
- 「アフリカの国々も税制度の見直しに動く?【面白記事 Vol. 127(2020年9月5日)】」
- 「How some African governments are keeping millions of citizens offline」
- 「The Consequences of Social Media Taxes on the Digital Divide」
- 「Digital services tax in Africa – The journey so far」
- 「Taxing social media in Africa」
- 「How digital taxes are hurting connectivity rates across Africa」
- 「Millions of Ugandans quit internet services as social media tax takes effect」
- 「Uganda: One year of social media tax」
- 「Uganda’s Regressive Social Media Tax Stays, at Least For Now」
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