本日はルワンダで行われているICT教育について、Mastercard Foundationの協力とともに行っているプロジェクトについて書かれた記事をご紹介します。

ICT立国と言われるルワンダでは、どのようにICTが教育面で活用されているのか。また、国が決めている方針をどのように地域レベルに落とし込み、拡げようとしているのか。本日はICT教育の概要と、最新の動向について詳しく解説しています。

少しボリューミーな内容となっていますが、たくさんの情報を盛り込んでいますので、ぜひ最後までご覧ください!


MastercardFoundationはルワンダのICT教育をどのようにサポートしているのか?

How Mastercard Foundation Supports Rwanda’s Ambitious Technology In Education

記事リンク:https://www.ktpress.rw/2021/02/how-mastercard-foundation-supports-rwandas-ambitious-technology-in-education/ 

内容と背景:

ルワンダのICT教育の概要

ルワンダ政府は2000年に出したVISION2020年という20年間の国家戦略の中で、農業依存型の経済体制を見直し、知識基盤型経済を目指したICT立国となることを目指し、それに関連する政策を打ち出しています。そのなかで教育面では主に下記の3つの政策・戦略の中でICTに関して言及されています。(1)

❶Education Sector Strategic Plan (ESSP) 2013/14 -2017/18:教育・学習・研究の質の向上を目的とした教育におけるICT活用の推進、教育実践におけるICTの統合を促進および支援する。

❷SMART Rwanda Master Plan 2015 (2) : 知識基盤型の経済発展を達成するために、ICTを「教育と学習を強化するツール」として利用する。
ICTスキルを開発することにより、より教育的な機会とアクセシビリティを提供する。

❸ICT in Education Policy 2015(3) : 世界クラスの革新的で費用対効果の高い可能性を利用する。
知識の創造と深化のための教育技術ツールとリソース、
関連するICT専門家基盤の開発
ICTの普及と利用の増加。
ICTによる教育リーダーシップと教師の能力の育成。
HLIでの教育、学習、研究を強化するためにICTを使用する。

また、その他の具体的な取り組みとしては、学校へのインターネット提供と子ども向けのパソコン配布を実施したOne Laptop Per Child(OLPC)というプロジェクトを通して1,624校に向けて合計250,000個ものパソコンが政府から無償で配布されています。

このような活動は国内外でも大きく評価され、2030年までに世界中の全ての学校をインターネットに接続させることを目標に、2019年に国際電気通信連合(以下:ITU)と国連児童基金(以下:UNICEF)によって開始されたGiga イニシアチブでは、ルワンダがアフリカ地域を主導する代表として選出されたこともありました。(4)


最新のICT教育への取り組み(Mastercard Foundationとの取り組みの事例)

前述の通り、ルワンダではICT立国を目指して教育面においても様々な機会や制度が導入されているということがわかります。

そこで今回は、毎月最終月曜日に配信されているルワンダのラジオ番組、EdTech Monday Rwandaの内容が記事になっているものをピックアップしました。

今回の登壇はMastercard Foundation、ルワンダ教育省 (Mineduc) 、Rwanda ICT chamberの3団体で、ルワンダのICT教育の取り組みについてその「成果・長所・短所」についてがトピックとなっていました。

それでは、記事に書かれている内容を下記の通り簡単に整理してみたいと思います。

コロナ禍におけるオンライン学習の広がり

学校の閉鎖に伴い、オンラインでのラジオを用いた学習方法が実施され、ある程度の範囲では利用可能となったとコメントがありました。。

また、MastercardFoundationはオンライン学習のサポートを協力企業とともに行っていたということです。

例えば、Enezaと提携した例では、MastercardFoundation、Nsengimana氏はこのように語っています。「ラジオやテレビでは、フォローすることはできますが、質問することはできません。コミュニケーションを可能にするために、ラジオやテレビのコースをフォローしている学生がSMSを介して質問する機会を持つEnezaのような会社と提携しました。」(MastercardFoundation、Nsengimana氏より)

IT起業家×地域の教育現場

ICT chamberのAlex Ntale氏によると、2019年のEdTechMondaysのプラットフォームの開始以来、20以上の企業がいくつかのソリューションを考案していて、IT起業家は、キガリだけでなく、州全体で300を超える学校にすでにそのソリューションを提供しているとコメントしています。例えば、学校が生徒の成績を評価できる製品を提案するものや、コンテンツのデジタル化、オンライン化を促進するものなど、たくさんの技術が学校教育現場に提案されているということです。

しかし、一方で起業家や投資家が都市に集中してしまっているという課題もあるようです。そこで、MastercardFoundationは、コミュニティ全体がテクノロジー教育にアクセスできるように、田舎の地域の学校にも積極的に支援を増やしていきました。

プロジェクトの開始当初、9校であった学校数も現在では405校へとアップグレードしているということです。

これからの課題

教育省のTwagirayezu大臣からは、特に田舎の学校では、コンピューターなどの機器へのアクセスからインターネットや電気に至るまで、まだかなりの数の課題があるというコメントがありました。

そこで、教育における完全なテクノロジーのためには、5つの柱(アクセス・コンテンツ・ユーザーのトレーニング・コミュニティの認識・インフラストラクチャ)をまとめる必要があると言及されています。

例えば、現段階で教育省は教員のコンピューターリテラシーの向上のために、パンデミック期間中、6000人以上の教師を訓練し、コンピュータリテラシーの訓練を行う予定であるということも説明されていました。

そこで、MastercardFoundationは民間部門と連携し、Leaders in Teachingという教師のICTスキルをトレーニングするプログラムを、5年間のプロジェクトで支える支援を行っているようです。


ルワンダでは、政府・MastercardFoundation・ICT chamber(商工会議所)の3つの組織が協力して、それぞれの切り口からICT教育の推進、実働をしているということが理解できます。
この異なる組織をまとめる一つのビジョンは、「民間部門と政府の両方と協力して、若者が自国とアフリカ全体を発展させるのを支援すること」と掲げているということです。

ルワンダは以前から、「頭脳流出」に関してもアフリカで最も「有能な人材が外に出て行かない」という面で評価されていました。
ICT分野でも技術を携えた若き起業家たちが、このような枠組みを通して参画するような仕組みが整っていることもその大きな要因であると感じました。
ICT立国として知られるルワンダのICT教育に関しては、その方針や浸透度など、世界的にも注目されているのではないかと思います。

引き続き、新しい取り組みがあればまたピックアップしてお知らせしたいと思います。

関連・参考記事:

  1. ICT in education policy in Rwanda: current situation,challenges and prospects – Link
  2. Smart Rwanda Master Plan – Link
  3. ICT IN EDUCATION POLICY – Link
  4. アフリカの教育業界×ICTに関する話題【面白記事 Vol. 59: 2020年6月15日配信】- Link
  5. 『WHERE TO INVEST IN AFRICA IN THE FACE OF COVID-19』面白記事 v.20(投稿:2020年4月22日)- Link

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