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元記事: https://www.universityworldnews.com/post.php?story=20230829005314972
こんにちは!Pick-Up! アフリカです。本日は、アフリカの教育事情を語る上で度々耳にする、TVET(技術教育及び訓練並びに職業教育及び訓練、Tertiary Vocational Education Training)に関する、ケニアの最新の取り組みをご紹介します。
この記事では、そもそもTVETとは何なのか、なぜ重要なのか、その意義も一緒に紹介していきます。
TVETとは?
TVETとは、「技術教育及び訓練並びに職業教育及び訓練」のこと。特定の業界や技能職、専門職に関する実践的なスキル、知識、能力を個々人に提供することに重点を置いた、教育・訓練の一種です。TVETプログラムは、生徒が多様な技術・職業分野(工学、医療、IT、農業など)のキャリアに向けて準備できるよう設計されています。
TVETは経済成長にとって非常に重要です。なぜなら、TVETは産業別に必要とされる実践的なスキルと技術的な情報を個人に提供するため、それによって生産性が向上し、失業率が低下し、イノベーションを促進するからです。これらはグローバル化された世界において、経済成長と競争力向上を遂げるための重要な促進力となります。
日本におけるTVET
日本ではTVETという言葉に馴染みがありませんが、実は日本にも同じようなカリキュラムを提供している機関として、高等専門学校(高専)や、専門的な技術の習得にフォーカスした専門学校、工業高校などが挙げられます。言い方は異なるものの、TVETは上記の教育機関のように、専門的な技術や知識を提供する機関のことです。
日本のTVETプログラムは、実践的な学習、技術的専門知識、そして問題解決能力を重視しています。こういったプログラムは、製造業・工学・ITを含む多様なセクターにおける個々のキャリアに備えるだけでなく、国の技術革新や国際的な競争力にも貢献します。教育機関と産業界が強力に連携することで、TVETを通して習得した能力が産業界のニーズに合致するため、卒業生が容易に就職できるようになります。
その結果、TVETは日本の経済成長、技術的リーダーシップ、社会全体の発展の助けとなっています。
日本の職業教育についてご興味のある方は、文部科学省に掲載されている白書「日本の教育水準1965」をご覧ください。
ケニアにおけるTVETへの注目
変わりつつあるパラダイム
ケニアでは、教育界で静かに革命が起こりつつあります。これまで、ケニアでは親と子どもが大学の学位取得を熱望してきました。比べ、親も子供も長年にわたって進学先として、技術・職業教育訓練(TVET)という選択を嫌えんしてきたようです。
この進学先の優劣の背景には、卒業後の選択肢に大きく起因するようです。具体的には、肉体労働系の仕事を従事することの象徴であるブルーカラーの仕事に着くことよりも、オフィスなどでの仕事に従事するホワイトカラーとしての就職を希望・期待することにあるようです。また同時に、学費システムもこの選択には大きな影響を及ぼしており、大学進学者が学生ローンへのアクセスを持っているにも関わらず、TVET進学学生は同様のサポートを得られない状況に置かれているようです。そこで、ケニア政府は国の経済発展にTVETの貢献も欠かせないということから、この不均衡な状況を改善しつつ、TVETへの進学を促進できるようにと、教育システムと教育を取り巻く環境を変えようと試みているようです。
能力格差から見る現状と課題
上記の社会的な偏見は、様々な産業における著しい能力格差へと繋がってしまいました。ケニア政府はこの問題を認識し、TVET部門の大幅なへ改革に乗り出しました。政府はこの改革を通じて、TVETを国の繁栄と国際的な競争力にとって不可欠なものとして再ブランディングすることを目指しているようです。
特筆すべき改革の一つに、今までは大学生しか与えられていなかった特権である学生ローンへのアクセスを、高等教育ローン委員会(Higher Education Loans Board:HELB)という組織を通してTVET生にも開放したことがあります。
さらに、政府はTVETの一年あたりの学費を96,000ケニア・シリング(約661米ドル)から56,000ケニア・シリング(約386米ドル)へと引き下げました。TVETへの総入学数は2018年には9万2,000人だったのですが、驚くことに2023年には32万人までに増えました。
実践的な能力を高める
TVETは学生に実用的なスキルを習得させるため、尊敬を集めつつあります。様々な実践的な職業からなる「jua kali」分野(大工、靴修理、溶接、配管工事など)では、理論的な試験で苦労しながらも実践的能力に秀でた有能な若者が増加しています。
未来のための改革
技術・職業訓練機関(TVETA)は改革の施行を主導しています。TVETAは急速な工業化と技術の変化を認識し、工業先進国の需要に応えるため、TVET訓練の再編成と規模拡大の必要性を強調しています。
実践への焦点
Esther Thaara Muoria博士(TVET担当主席秘書官)は、実践的な訓練を70%に増やし、教育と産業界のニーズを一致させることを目的としたカリキュラム改革を公開しました。
雇用主の好み
雇用主は、実践的な技能を備えたTVET卒業生をますます好むようになってきているようです。
政府の取り組み
政府は、TVET機関の中にデジタル研究所を設立し、生徒が国際的に通用するスキルを習得できるようにするプランを持っています。このような計画からも、政府のコミットメントが見てとれます。
さらに、政府は収容施設の課題に対処するべく、全ての選挙区にTVETを建設することを目指しているとのことです。
TVETが社会にもたらすインパクト
具体的にTVETがどのようにその後の社会にインパクトをもたらすかについては、他のアフリカ諸国で証明されています。
こちらの参考記事では、TVETへの投資がガーナ・モロッコ・南アフリカに与えたインパクトが紹介されています。例えば農業産業の発展を試みるガーナにおいては、TVETの質向上のため、2012年からTVETへの投資を著しく増やしました。そこで2000人以上の若者と女性、100人のスーパーバイザー、500人の専門家に訓練を提供しました。この結果、ガーナは国内生産量を増やしただけでなく、輸入への依存を軽減し、国内経済のレジリエンスを高めることに成功したとのことです。
さらに、自動車産業において世界的なリーダーになるという目標を持っているモロッコでは、自動車産業の成長を狙うべく政府がTVETを強化し、自動車産業に必要となる高度な条件を満たす労働力を培うべく励んだそうです。その結果、自動車産業は国内の輸出1位の産業になり、6年間で15万人弱もの雇用を生みました。この結果から、TVETが雇用を生んだだけでなく、国内の経済発展・産業発展にも大きく寄与しているということがわかります。
ケニアの明るい未来
ケニアにおけるTVETの復興は、経済成長だけでなく、生徒に成功への道と国家の産業化への取り組みに貢献する機会を与えてくれます。TVETが勢いを増すにつれて、実践的能力が大切にされ、豊富な機会に恵まれた、ケニアの明るい未来への態勢が用意されつつあるようです。
私たちPick-Up! アフリカは、ケニアだけでなく、南アフリカや東アフリカ全体におけるTVETの取り組み事例も過去に紹介しています。
よろしければぜひご覧ください!
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