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元記事:https://www.bbc.com/sport/africa/68817809
こんにちは!Pick-Up!アフリカです。
4年に1度開催されるオリンピック。国を代表して戦う選手たちが白熱した試合を繰り広げ、観戦する私たちに熱い気持ちと元気を与えてくれます。2021年に行われた東京オリンピックも、コロナ禍にもかかわらず大いに盛り上がりを見せました。
世界中から多くの人が集まり、注目を浴びるオリンピック開催国。こちらの記事によると、オリンピック開催地には以下のようなメリットがあるようです。
①観光業が促進され、経済を活発化させる
・2016年のリオデジャネイロオリンピックは、200ヶ国で放送され、全世界で50億人の視聴者を魅了しました。リオ大会期間中、ブラジルを訪れた外国人観光客のうち、56%以上が初めてブラジルを訪れる人々であったことが明らかになっています。この結果、ブラジルは660万人の外国人観光客を迎え入れ、62億ドルという観光収益を得たとのことです。
・東京2020オリンピックでは車いすが利用可能なホテルが460個から3,200個に増えたとのことです。(参考①)
②オリンピックは開催国の国際的な貿易を増やし、地位を向上させる
・経済学者のロバート・A・バーデ氏とヴィクター・A・マセソン氏によると、「オリンピック開催に立候補すること自体、その国が貿易自由化に取り組む意志を示すシグナルとなり、それによって国際的な貿易が促進される」とのことです。
③国家としての誇りが高まる
・とある調査によると、オリンピックを開催した21ヶ国中19ヶ国が「オリンピック開催は国家としての誇りを高めるうえで重要」と回答したとのことです。
このように、オリンピックを開催すると開催国に様々なメリットがあります。しかし、開催国のほとんどは先進国で、新興国や途上国ではあまり開催されていません。過去のオリンピック開催国は以下の通りです。(引用:https://www.joc.or.jp/games/olympic/poster/)
夏季大会
ギリシャ、フランス、アメリカ、イギリス、スウェーデン、ドイツ、ベルギー、オランダ、日本、フィンランド、フランス、アメリカ、イギリス、スウェーデン、ドイツ、ベルギー、オランダ、日本、フィンランド
冬季大会
フランス、スイス、アメリカ、ドイツ、ノルウェー、イタリア、オーストリア、日本、ユーゴスラビア、カナダ、ノルウェー、ロシア、韓国、中国
上記から、開催国のほとんどが先進国であることがわかると思います。2016年のリオオリンピックは珍しく新興国で行われた例です。
こちらの記事では、リオデジャネイロが新興国にもかかわらず、オリンピック開催地として選ばれた理由として以下のものをあげています。
①過去にパンアメリカン競技大会(南北アメリカ大陸で行われる総合競技大会)やワールドカップといった国際的な大会を主催していたこと
②スポーツに適した気候・環境が評価されたこと
③ブラジルの経済が2007年の世界金融危機にも動じない程安定していたこと
④オリンピックがブラジルの社会問題解決に繋がると考えられたこと
このように新興国でもオリンピック開催が可能であることを、リオオリンピックが証明してくれました。
しかし、アフリカではオリンピックがまだ行われておりません。
また、オリンピックだけなく、国際オリンピック委員会(以下、IOC)が正式に「オリンピック」の名を冠してよいと認可したパラリンピック,デフリンピック,スペシャルオリンピックスの3大会についても開催されたことはありません。
なぜ行われていないのでしょうか。また、今後行われる可能性はあるのでしょうか。
エジプトでオリンピックの可能性?
今回ピックアップしたBBCの記事によると、2036年のオリンピック開催地に向けてエジプトが立候補しているとのことです。
これまでもアフリカ大陸内では、エジプトが1916年・1936年・2008年の3回、南アフリカが2004年に立候補しましたが、開催の夢は叶いませんでした。
記事では、アフリカ諸国がオリンピックを開催できない理由はそのスケールの大きさとコストの高さであるとしています。
東京2020オリンピックでは、大会に直接かかわる経費が総額1兆4238億円に達したと公表されました。過去最多の206の国と地域から難民選手団を含む11,420人の選手が参加し、42の競技会場(東京都内24会場、都外18会場)が利用されました。これに伴い、選手村や新国立競技場といった施設の建設、インフラの整備、テロ対策、競技会場周辺のバリアフリー化など、さまざまな事業が実施されました。
これほどの経済的負担を開催国が背負う必要があることを考えると、多くのアフリカ諸国にとって、オリンピック開催のハードルは極めて高いといえるでしょう。(参考)
エジプトの国内オリンピック委員会事務局長は、「オリンピックが開催できるアフリカの国はかなり限られており、設備という観点でいくとエジプト、南アフリカ、モロッコ以外の国では厳しいだろう」と述べています。
記事では、エジプトはすでにオリンピック開催に向けた環境が整っているとされています。カイロから東に約40km離れた新行政首都には、Olympic Cityと呼ばれる約368,264㎡に及ぶスポーツ用の複合施設があり、中には90,000席のスタジアムが存在するとのことです。また、ここ7〜8年の間で道路、治安、空港、ホテルといった主要インフラは整備された、とエジプトの国内オリンピック委員会事務局長は述べています。
「IOCのバッハ会長はすでにエジプトのOlympic Cityを視察済みであり、エジプトが施設面でオリンピック開催可能なことはわかっている」とエジプトの国内オリンピック委員会事務局長は言います。そして、「ANOCA(アフリカ国内オリンピック委員会連合)がエジプトのオリンピック開催を後押ししてくれており、心強い」とも付け加えました。
施設面以外での課題は?
十分な施設が揃っていたとしても、エジプト開催に向けての道のりはまだまだ長そうです。
ここでは、エジプトが直面するであろう課題を記事から3つ取り上げました。
①IOCの説得
開催地決定に至るまでのプロセスはそう簡単ではありません。基本的には、IOCと立候補した都市・地域などによる「話し合い」で決められるようです。
前項のように、エジプトは「(IOCは)エジプトが施設面でオリンピック開催可能なことはわかっている」と主張しますが、IOCの承認を得るには困難を極めるでしょう。
また時代によってルールは変わってきており、2019年6月26日のIOC総会では、開催地選定に関する規則が変更されたとのことです。変動的で困難なプロセスをいかに攻略するかが、開催への鍵となるかもしれません。
東京オリンピック時における開催地決定までの流れは内閣官房のこちらの資料にまとめられています。
②その他の候補国の存在
オリンピック開催による多大な恩恵を期待し、世界各国が続々と立候補に名乗りを上げています。
インドは「(オリンピック開催のためなら)あらゆる手段を講じる」と宣言しており、その熱意を示しています。さらに、トルコやインドネシアも2036年のオリンピック開催に強い関心を寄せており、熾烈な争いが繰り広げられる見込みです。
また、複数国での同時開催が新たな提案として浮上しています。実際、パリ2024オリンピックではサーフィンがフランス領タヒチ島で行われました。アフリカの複数の国にまたがるオリンピック開催も実現可能かもしれません。
③人権問題
オリンピック開催国は世界から多くの注目を浴びるため、人権侵害が問題となる場合があります。
パリ2024オリンピックではヒジャブ着用に関して議論が沸き起こりました。フランスではヒジャブの着用が法律で禁止されているため、フランスの代表選手はムスリム教徒であってもヒジャブを着用してはいけなかったそうです。これらは人権問題としてオリンピック委員会や国連の批判の的となったそうです。(参考記事)
エジプトでは政治的抑圧が問題視されています。
人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチは、エジプトでは2014年にクーデターによってムスリム同胞団のモハメド・モルシを追放したシシ大統領の政権下で「全国的な抑圧」が行われていると指摘しています。この問題がエジプトのオリンピック招致に影響を及ぼすかはまだわかりませんが、オリンピック開催には常に人権問題を巡る論争がつきまといます。
エジプトに寄せられる期待
アフリカ初のオリンピック開催には多くの課題が予想されますが、もし実現すれば、経済的な恩恵や人権問題の改善など、多くの面でプラスの影響が期待されます。さらに、国際的なイベントが開催されることによって、アフリカ大陸全体を活気づけることができるでしょう。
「アフリカの時代」を迎えるためには、オリンピックの開催が極めて重要な意味を持つといえるでしょう。今後の動向に期待が寄せられます。
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