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こんにちは!Pick-Up! アフリカです!!
パリオリンピックが賑わいを見せる中、花形である陸上競技が続々と開始しています。
アフリカ人選手のオリンピックメダル占有率
陸上競技といえば屈強なフィジカルで走り抜けるアフリカ人選手。
パリオリンピックでは男子10000m走でウガンダ代表のジョシュア・チェプテゲイ選手(27)がオリンピックレコードで金メダル🥇、エチオピア代表のベリフ・アレガウィ選手(23)が銀メダル🥈を獲得しています!
過去に開催されたオリンピック陸上競技(競歩や道具を用いる競技は除く)におけるアフリカ国籍選手のメダル占有率(東京大会まで)を調べてみたところ、全種目平均で男子は約17%、女子は約22%でした。
アフリカ人選手は陸上競技の中でも特に長距離走に強く、男子10000m走では41%、女子5000m走ではなんと76%!!マラソンでも安定的な強さを見せています。
アフリカ国籍の選手以外でも、アフリカにルーツがある選手はアメリカやカナダ、ジャマイカなどに多く存在するため、それらも含めるとさらに占有率は高まります。
男子
種目(開催数) | 金🥇 | 銀🥈 | 銅🥉 | 獲得メダル数 | メダル占有率 |
100m(29) | 1 | 2 | 0 | 3 | 3.45% |
200m(28) | 0 | 2 | 0 | 2 | 2.38% |
400 m(29) | 1 | 1 | 2 | 4 | 4.60% |
800 m(29) | 6 | 8 | 8 | 22 | 25.29% |
1500m(29) | 7 | 6 | 3 | 16 | 18.39% |
5000m(25) | 9 | 9 | 8 | 26 | 34.67% |
10000m(25) | 9 | 9 | 13 | 31 | 41.33% |
マラソン(29) | 10 | 9 | 6 | 25 | 28.74% |
4×100mリレー(25) | 0 | 1 | 1 | 2 | 2.67% |
4×400mリレー(25) | 2 | 1 | 3 | 6 | 8.00% |
女子
種目(開催数) | 金🥇 | 銀🥈 | 銅🥉 | 獲得メダル数 | メダル占有率 |
100m(22) | 0 | 1 | 1 | 2 | 3.03% |
200m(19) | 0 | 1 | 1 | 2 | 3.51% |
400 m(15) | 0 | 0 | 1 | 1 | 2.22% |
800 m(17) | 4 | 3 | 4 | 11 | 21.57% |
1500m(13) | 5 | 1 | 1 | 7 | 17.95% |
5000m(7) | 4 | 6 | 6 | 16 | 76.19% |
10000m(9) | 5 | 5 | 6 | 16 | 59.26% |
マラソン(10) | 4 | 4 | 2 | 10 | 33.33% |
4×100mリレー(22) | 0 | 1 | 1 | 2 | 3.03% |
4×400mリレー(13) | 0 | 1 | 0 | 1 | 2.56% |
なぜアフリカは強いのか
長距離走で多くのアフリカ人選手が活躍する中、特に強さを見せているのがケニアとエチオピアの選手です。
『Kenyan and Ethiopian Distance Runners: What Makes Them So Good?』 (2012, Wilber, Pitsiladis) ではケニアとエチオピアの長距離ランナーの強さの要因を以下の観点で考察しています。
(1)幼少期の頻繁なウォーキングとランニングによって最大酸素摂取量が高くなること
ケニアのトップレベルランナーの86%が通学の手段としてランニングを用いていたそうです。往復の距離は平均で5㎞から20㎞にもなるそうです!
(2)ヘマトクリット値とヘモグロビン値の高さ
ヘマトクリット値とは血液中に赤血球が占める割合のことです。ヘモグロビンは赤血球中に含まれ、身体中に酸素を運搬する役割を持ちます。調査でケニア人ランナーの平均値は、他国選手に比べわずかに高い数値を記録しました。
(3)体格と下肢の特徴からランニングエコノミーが高いこと
ランニングエコノミーとは「少ないエネルギーでいかに速く長く走れるか」という効率性のことです。
ケニア人は一般的に痩せ型の外胚葉型体型です。脚が他国ランナーよりも5%長いことや、ふくらはぎが12%細く、軽いことで力学的に有利であるというデータがあるそうです。
一方のエチオピア人ランナーは一般的に背が低く、大腿部周囲長が長い特性があるそうです。これは長距離走において有利に働かないため、エチオピア人ランナーの強さは他の要因にあるようです。
(4)長距離走に好ましい骨格筋繊維と酸化酵素の特性
ケニア人ランナーは他国ランナーよりも長距離走に適した遅筋の割合がわずかに多いことが分かっています。また、脂質をより効率的にエネルギーに変換することができる3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素(HADH)を多く持つそうです。
一方のエチオピア人ランナーは、これに関しても長距離走で優位に働く特性を持つという報告はないそうです。
(5)伝統的なケニア/エチオピアの食事
ケニアの伝統的な食事は、タンパク質10%、脂肪13%、炭水化物77%で構成されているという報告があり、エチオピアの食事も似たような割合の食事構成で成り立っています。
この低脂肪高タンパク質の食事が長距離走での強さに貢献しているそうです。
また、ケニアで飲まれる「チャイ」というお茶がトレーニング後のエネルギー補給に一役買っているという報告もあります。
(6)高地での生活とトレーニング
ケニアのトップランナーの75%を輩出しているのがカレンジン族。彼らは標高2000m〜2500mという丘陵地帯で何世紀にも渡り生活してきており、高地トレーニングもこなしています。
エチオピアのランナーも近くのエントト丘陵でトレーニングをこなしており、その標高はなんと3000m!
近年は他国の選手も高地トレーニングを取り入れていますが、ケニアとエチオピアのランナーは低地出身選手が実現不可能な速度で高地トレーニングを行えるそうです…
ケニアやエチオピアのランナーの高地での高強度トレーニングの能力が遺伝的素質によるものなのか、それとも他の要因によるものなのかは定かではないそうです。
(7)経済的成功を達成するためのモチベーション
ケニアとエチオピアでは長距離走で成功することが社会経済的な報酬の獲得に直接つながっており、ランナーたちは自身やその家族の社会的地位を押し上げるために日々努力しているそうです。
終わりに
いかがだったでしょうか?
今回引用した論文ではケニア人ランナーの強さに関しては多く解明されましたが、エチオピア人ランナーの強さに関しては謎が多く残されました。新しい情報が入り次第追記したいと思います。
アフリカ人選手たちの活躍が特に期待されるマラソン決勝の開催は、男子が8/10(土)の15:00、女子が8/11(日)の15:00です。
男子マラソンの注目選手はケニアから出場するエリウド・キプチョゲ選手(39)。リオ大会、東京大会に続いて三連覇を目指します!
エチオピアの注目選手は昨年12月に世界歴代4位の記録を出したシサイ・レンマ選手(33)です。
女子マラソンはケニア代表のペレス・ジェプチルチル選手(30)が東京大会に続いて連覇を狙います。
昨年9月に世界記録を樹立したエチオピア代表のティギスト・アセファ選手(27)にも期待がかかります。
日本からは小山直城選手、赤﨑暁選手、大迫傑選手、鈴木優花選手、一山麻緒選手、前田穂南選手の6名が出場します!
活躍に期待です!!
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