Mojaloopとは、Mojaloop財団のデジタル決済プラットフォームのためのオープンソースのソフトウェアです。個人のユーザーだけでなく銀行や政府機関などの、どの組織も使用することができます。

Mojaloopの採用により、世界中の金融機関やアプリケーション内でのデジタル決済が容易となり、特に発展途上国などの十分にサービスを受けていない人々がデジタル経済との結びつきを得ることが期待されています。しかし、Mojaloop自体は金融商品またはアプリケーションではなく、特定の市場におけるすべての金融商品およびアプリケーションを橋渡しする技術のソフトウェアです。

Mojaloopは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団をはじめとした、多くの財団や企業がスポンサーやプロモーターとして参加しています。多くの財団やスポンサーが参加している理由には、社会的影響力や、他の組織と協力して問題解決に取り組むことができることが挙げられます。下記はMojaloopのスポンサーメンバーとプロモーターメンバーです。

スポンサーメンバー

・Bill & Melinda Gates Foundation

・Coil

・Google

・Monetary Authority of Singapore

・ripple

・The Rockefeller Foundation

プロモーターメンバー

・Digital Frontiers

・Giori Digital

・INFITX

・Red Compass Labs

・Sybrin

Mojaloopは既にアジアやアフリカのいくつかの国で採用されています。下記でMojaloopが解決の糸口になるであろう社会問題や、実際にMojaloopを用いたシステムが活躍した過去の事例を取り上げていきます。

Mojaloopが解決の糸口になるであろう社会問題

・金融システムの統一と手数料の無料化

現在のアフリカやアジアの多くの国では、異なる金融機関どうしの取引に時間や多額の手数料が多く取られます。異なる銀行にお金を振り込んだ場合、振り込みが完了するのに2日や3日かかることもめずらしくありません。これは、各金融機関ごとの取引に独自の取引システムを用いていることが原因です。そのため各金融機関同士の取引には専用の取引システムが必要になるわけです。例えばA銀行とB銀行の取引のためのシステムは、A銀行とC銀行の取引には利用できません。異なる取引システム間の取引ではどうしても取引をするためにコストが生じてしまします。そのため、貧困層の人たちは多額の手数料を払うことができず、貯蓄、送金、支払いといった金融サービスを受けることが難しくなっています。

しかし、この問題を解決してくれるのがMojaloopを利用したシステムです。Mojaloopは、あらゆる市場の金融機関やアプリケーションをつなげる技術の設計を確立しています。銀行だけではありません。貧困層の人々の利用も多い自身の携帯番号を用いたモバイルマネーなどのあらゆる金融機関で利用できます。各金融機関ごとに独自の取引システムを構築する必要がなくなるため、金銭取引を行うさまざまな機関同士の取り引きがリアルタイムで無料もしくは、低額の手数料でできるようになります。

・貧困層の金融システムの利用

金銭取引の手数料が無料になることで、いままで金銭的理由で銀行口座を持たない発展途上国の貧困層の人々が金融サービスを利用できるようになります。金融サービスを利用できるようになると、資金にアクセスし、ビジネスを開始し、経済的に自立するための手段が提供されます。

・金融犯罪の減少

Mojaloopの取引にはデジタルトレースが残ります。デジタルトレースとは、デジタルデータの経路や移動履歴を追跡することです。このデジタルトレースは、不正行為や不正融資、マネーロンダリングなどのような犯罪行為を追跡することができるため取引の監視と調査が容易となります。また、Mojaloopには機械学習アルゴリズムも使用されています。取引パターンを分析し、不審な活動を自動的に感知することができます。以上の理由からMojaloopを利用した取引システムは金融犯罪を減少させる可能性を秘めています。

Mojaloopを用いたシステムが活躍した過去の事例の一部

・タンザニア(2018)

タンザニアではMojaloopを用いた国内統合支払いシステムの導入により、国内のすべての金融機関が同じ決済ネットワークに接続され、リアルタイムのデジタル支払いが可能となりました。これにより、様々な金融機関間での取引が円滑に行われるようになり、金融サービスの提供が向上しました。

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