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記事リンク:https://mg.co.za/business/2022-02-17-energy-drinks-flourish-amid-health-fears/
題:健康への懸念が広がる中普及するエナジードリンク
英題:Energy drinks flourish amid health fears
内容と背景:
こんばんは!Pick-Up!アフリカをご覧いただきありがとうございます。
本日は、南アフリカでの健康問題を解決するために導入された砂糖税に関する記事をピックアップしました。
アフリカでの健康問題と言えば皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?この問いに対して、おそらく多くの人が飢餓や衛生状況に関する問題を答えるのではないかと思います。しかしながら、特に南アフリカにおいて、近年はそれとは対照的な肥満の問題が表面化しつつあります。
記事では実際に南アフリカの肥満率の高さによる生活習慣病の問題が紹介されています。南アフリカの肥満率は現在25%以上と高く、世界で見ても上位20%に収まる値を持っていますが、こうした高い肥満率によって心臓病や糖尿病といった生活習慣病も増加傾向にあり、糖尿病に至っては、2011年から2021年の間に患者数、また死者数が約2倍にまで増加しています(参考記事1)。
このように、現在南アフリカの肥満率が命を脅かすような問題となってきているわけですが、そもそもなぜこの国で肥満率が高くなっているのでしょうか?その原因は、主にファストフードや、エナジードリンクなどの清涼飲料水の普及であると考えられています。これらの高カロリー、高糖質な商品を口にする機会が増えたことが、人々の肥満を助長したのです(主記事、参考記事2)。
こうした形で、近年南アフリカでは一部の食製品の過剰摂取が人々に健康の問題をもたらしている状況にあるため、南アフリカ政府は規制をかけてそうした健康被害を和らげようと努力しています。
今回の記事では、そうした規制のうちの1つとして「砂糖税」が紹介されています。この制度は、100mlあたり4グラム以上の砂糖を含む飲料に対して、1リットルあたり約10〜11%(砂糖量に応じて変更)の課税をするというものであり、清涼飲料水による砂糖摂取量削減のために2018年に導入されました(参考記事3)。
記事では、この制度によって清涼飲料水全体の消費は2021年に28%減少したとされていますが、その中でも多くの糖質を含んでいるエナジードリンクに関しては、この制度による効果があまりなかったと言及されており、むしろ今後市場が拡大していくことが予想されています。実際にこれからの10年間での南アフリカにおけるこの産業のGDP成長率は年平均3.7%と予測されていますが、これは世界でも2番目の成長速度になります。
つまりは、砂糖税が導入されたにも関わらず、その規制対象であるエナジードリンク市場が急スピードで拡大しているということですが、その理由の一つとしては、南アフリカの若者人口の割合の高さを挙げることができます。記事では、若い男性(18~34歳)がエナジードリンクの最も主要な消費者区分であるとされていますが、こちらのデータによれば、南アフリカにおいて最も大きな人口区分は同区分(男性全体のうち約3分の1)です。そのためにエナジードリンク市場の拡大が大きな利益に繋がりやすい状況があり、砂糖税にも関わらず多くのメーカーが進出している状況があります。
また、その他の理由としては若者の間での需要の強さがあります。記事によると、南アフリカではお酒にエナジードリンクを混ぜて飲むスタイルが定着しており、そのために嗜好物としての需要が強く、多少値段を引き上げるだけでは購買欲を削ぐことができなかったと言われています。
このような事情を見ると、砂糖税は値段の上昇により人々の購買欲を削ぐことにのみ注力し、エナジードリンクメーカーに対して規制を行っていないためにその消費の拡大を抑制することができなかったのだと思われます。そのため、健康的な消費による健康問題の縮小を目指していくためには、企業の製品の砂糖量上限や広告の制限を設けることで、エナジードリンクの砂糖量、消費量を健全な値まで削減することが必要になってくると考えられます。
参考、文末記事:
1.International diabetes federation-IDF Diabetes Atlas-South Africa-Link
2.KFCがアフリカの食生活を変える?【Pick-Up! アフリカ Vol. 180:2021年6月15日配信】-Link
3.South Africa: Sugar tax – bad for the economy?-Link
4.STATS SA-Census 2022-SA population reaches 58,8 million-Link
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