こんにちは!Pick-Up!アフリカです。

今回は、物流と貿易の観点から、AfCFTAの進捗状況についてご紹介します。

AfCFTAに関する記事は以前にも投稿しており、参考記事一覧に記載しています。合わせてご覧ください。


記事リンク:

https://africa.cgtn.com/2022/01/30/afcfta-members-conclude-negotiations-on-rules-of-origin-to-enhance-free-trade/

『AfCFTA members conclude negotiations on rules of origin to enhance free trade』

AfCFTAの加盟国は、自由貿易を促進するための原産地規則の交渉を完了しました。

アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)は、アフリカ54ヶ国からなる、アフリカの域内貿易の活性化を狙いとしたFTAです。アフリカでは、他の地域と比べて域内貿易の割合が非常に低いことが問題視されています。域内貿易の割合は、ヨーロッパが60%以上、アジアが55%以上であることと比較して、アフリカでは16%にしか満たないと言われています。アフリカ域内の貿易を阻害している問題の一つに、関税障壁があります。

今回ピックアップした記事では、原産地規則の交渉が終了したことで関税の引き下げが期待される、ということが述べられています。原産地規則とは、貿易の商品がどの国のものであるのかという「物品の国籍」を決めるルールのことです。記事では、AfCFTAは2021年1月1日から始まったものの、原産地規則の問題は未解決のままであったために、特恵税率が適用される商品を判別することが難しかった、と書かれています。特恵税率とは、開発途上国を支援するため、先進国が開発途上国から輸入するときに引き下げられる関税率のことです。

アフリカ連合の貿易大臣であるEbrahim Patel氏は、今回採択された原産地規則がアフリカ連合(AU)に加盟している国の関税対象商品の87.7%をカバーしていると述べています。そして、原産地規則の問題解決を「大きな進歩だ」と述べ、原産地規則によって自由貿易協定における貿易の基礎が築かれるであろうと付け加えています。

また、Ebrahim Patel氏は、アフリカの一般市民にとって、より多くの雇用、より多くの経済機会、また、アフリカが工業化を求める発言をする機会になる、アフリカは原材料を生産し続けるだけにとどまらない、と続けています。

AfCFTAの事務局長であるWamkele Mene氏は、原産地規則の交渉が完了したことは、自由貿易協定の実施において重要な出来事である、と述べています。また、加盟国は国家レベルでこれらの法的文書を公布し、原産地規則を税関の観点から適用できるようにする必要がある、と述べています。

AfCFTAは新しい製品をたくさん受け入れているようです。こちらの記事では、AfCFTAが原産地規則に基づいて新たに850の製品を取引可能にしたという内容が書かれています。AfCFTAでは元々、加盟国で取引される製品の数の88%にあたる3800の製品が取引可能でした。今回、そこからさらに、850の製品が取引可能になったということです。

また、この記事では続けて、アフリカが域内貿易を活性化するためにPan African Payments and Settlements Platformという、新しい支払いシステムが開発された、と書かれています。42の通貨があるアフリカでは、通貨を自由に交換するのに非常に高いコストがかかるそうです。通貨を自由に交換するのに高いコストがかかってしまうと競争力の欠如や域内取引を目指す中小企業の不都合などが生じると述べられています。これを解消すべく、第3の通貨としてではなく、現地通貨を利用して取引ができる仕組みとして誕生したそうです。

アフリカの自由貿易の道は徐々に進んでいます。国によって発展度合いが異なるため、その進捗状況は異なるものの、全体としては段々と課題を解決できてきているように感じます。今後、AfCFTAはアフリカの貿易を考える上で、重要な要素だと考えられます。何か進捗があり次第、記事にしていこうと思います。

参考記事:

アフリカ大陸自由貿易圏が運用開始 –Link

総論:アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)設立協定が発効、運用開始に向けて前進 –Link

AfCFTA identifies 850 new products for commerce –Link

AfCFTAの関連記事:

AfCFTAの進捗は?【Pick-Up! アフリカ Vol. 165:2021年5月17日配信】-Link

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