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題:Some African Countries Want Ban on Elephant Ivory Reconsidered
『アフリカの国の中には象牙の取引禁止を再考してほしいと考えている国があります』
こんにちは!Pick-Up!アフリカです。
今回は、アフリカにおける象牙とアフリカゾウの数の問題についてご紹介します。
象牙は、印鑑や楽器の材料など様々な用途で古くから使われてきました。昔は、その美しさが人々を魅了し、彫刻などが作られ、権威と富の象徴として位の高い一握りの人間によって独占されていました。15世紀から19世紀になるとアフリカだけでなく、世界各地で高級品として評価されるようになり、ヨーロッパの王から依頼されるなど、アフリカの外に流入していきました。その後、徐々にビリヤードボールやピアノなど、原料として注目を浴び、大量生産するものに使われるようになっていきました。
象牙の価値が認められ世界で必要とされるにつれて、アフリカゾウの密猟や象牙の違法取引が目立つようになり、アフリカゾウはその数を減らしていきました。というのも、象牙は生え変わることがなく、ゾウを殺すことでしか得ることができないからです。こちらの記事によると、19世紀には300〜500万頭いると考えられていたアフリカゾウは、現在約41万5千頭にまで数を減らしていると書かれています。また、年間に3万5千頭が違法に殺されていると予想されているそうです。
しかし、こちらの記事によりますと、1990年にワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)によって、象牙の国際貿易は禁止され、100万頭までその数を回復させているとのことです。
今回ピックアップした記事では、アフリカゾウの生息数が多い一部の国が、象牙の取引とゾウの淘汰の禁止を解除したいと述べていると書かれています。
というのも、ゾウが過剰繁殖したことにより、地域社会や植生に影響を与えているとの事です。例えば、ジンバブエの国立公園では、収容可能な数の二倍近くのゾウが生息しているそうです。そのため、ゾウが公園を出ていき、地元の農作物を荒らしているとのことです。ゾウが畑や家に侵入することで、地元の人々は被害を受けています。
このような事態を受けて、アフリカの国の中には象牙の取引を復活させることで問題を解決し、さらに経済を活性化させようとしている国があります。これらの国々は、ゾウの保護に大幅なコストがかかっているにも関わらず、その対価が得られていないとし、対価を得る一番の方法が象牙の取引を再開させることだと主張しているとのことです。
これらの国々は既にこれを求める正式書類を発行しており、今年の11月にパナマで開催される CITESにて同様のメッセージを参加国に対して主張することを計画しているようです。
この主張に反対意見を唱えているのが南アフリカを中心としたアフリカの国々やEUは反対しているとも記事は伝えています。南アフリカからは、大型哺乳類生態学者であるSam Ferreira氏の意見が共有されています。解決策が一つ引かないと思い込む傾向にあることに警笛を鳴らすと共に、南アフリカで採用されている解決方法として、個体数を制御するために避妊手術を行うことや、ゾウが公園の外に出ていかないよう国立公園に柵を設けていると語っています。
また、EUも象牙取引の禁止解除に反対しており、そもそもジンバブエが提供するアフリカゾウの生息数に信憑性がないとしています。
しかし、こちらの記事では、アフリカの国々が象牙の市場を閉鎖しないと、象牙の違法輸出と密猟の問題は解決できないと主張しています。そのため日本の国内流通にも反対しており、日本に違法密猟によって得られた象牙が輸入されているのではないかと懸念しているそうです。密猟を止めるには国際的な取引は禁止し、市場を閉じる必要がありそうですが、アフリカの国の発展や国内でのゾウの過剰繁殖との板挟みになっているように感じられます。
実際に象の生息している国々の代表者らが国際的会議の場で彼らの立場を表明することが共有されているので、今後の展開に注目していく必要がありそうです。
参考記事:
Ivory: Significance and Protection –Link
The History Of The Ivory Trade –Link
Japan’s ivory trade fuels illegal exports to China, Africa says –Link
象牙等はルールを守って取引しましょう!-Link
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