目次
題:低所得者向け住居の普及に関する障害と解決策とは?
英題:Hindrance and possible solutions to affordable housing
こんにちは!Pick-Up!アフリカをご覧いただきありがとうございます。本日は、ケニアのスラム問題についての記事をピックアップしました。
内容と背景:
皆さんは、サブサハラアフリカでどれくらいの人口がスラムに居住しているかご存じでしょうか?
こちらの記事によると、サブサハラ全体の人口約11億人のうち2.3億人がスラムに居住しており、これは世界のスラム人口の約22%に相当することが示されています。また、2050年にはアフリカ人口の半分が都市に居住するとも言われる中、この問題が今後深刻化することも予想されています。(参考記事)
ケニア、スラムの問題と原因
こうしたアフリカの中でも特に深刻なスラムの問題を抱えているのがケニアです。実際に今回の記事によると、ケニアでは人口約5000万のうち約1000万人(2020年時点)がスラムに居住しているようです。またアフリカで最大の「キベラスラム」が存在している首都のナイロビでは250万人、人口の約60%がスラムに居住しているとも言われています(参考記事)。
ケニアのスラムには様々な問題が存在しますが、その1つとして、健康の問題が挙げられます。ほとんどの家が水道を持たず、トイレも多くの世帯が共同で利用し、街にはゴミが散乱するという衛生状況の中で感染症が蔓延しており(参考記事)、実際にキベラでの感染症調査では、対象の30%がノロウイルスに感染していたことがこちらの記事で示されています。
さらに生活の質に関わる問題として、電気、道路といったインフラの不足や、失業の問題が挙げられます。特に失業に関しては、こちらの記事によるとスラムの若者の間でその割合は96%にも及ぶらしく、スラムでは経済的に厳しい生活を強いられていることが分かります。
今回の記事では、このような問題を抱えるケニアのスラムの主要な発生原因として低所得層向け住宅の不足が挙げられています。ケニアでは毎年25万戸の住宅需要があるのに対して供給が5万戸に留まっており、さらに住宅の98%が中、高所得者向けという状況があります。
このため、ケニアの大部分を占める低所得者にとって住居は手の届く物ではなく、彼らはスラム内に脆弱な住まいを自ら建てることを余儀なくされています。
ケニアのスラム開発の取り組み
こうした中で、ケニア政府は近年、上記のスラムの発生原因を改善するプロジェクトと、スラム内の健康や生活の問題を改善するプロジェクトの2つの都市開発のアプローチでスラムの問題改善に着手しています。
前者は、AHP(Affordable House program)というプロジェクトです。スラムにおける不法居住者を減らすために低所得者向けの住宅を5年間で50万戸立てることを目標とし、2018年から始動しました。5年たった現在、目標は達成できませんでしたが、20万戸の建設の促進に成功したとこちらの記事では述べられています。
後者は、KISIP(Kenya Informal Settlement Improvement Project)というプロジェクトです。スラムにおける生活水準を向上することを目標としたもので、現在までに15の都市におけるスラムの水、道路、電気インフラやゴミ管理を改善してきました(参考記事)。また、こちらの記事ではこのプロジェクトの一部であるKazi-Mtaaniについて、スラムの28万人に雇用を提供し、経済状況の改善による住居の取得を促したと述べられています。
国際的なイニシアチブを取るケニア
このようにスラムの問題改善を推し進める中で、ケニアはスラム開発に関係する国際的なサミットを開催し、この分野におけるリーダーシップを誇示し始めています。
この例として、まずAfrica Housing Forumが挙げられます。アフリカの住宅不足の解消を目的に企業や団体が会合したこのフォーラムは、この5月12日にナイロビにおいて初めて開催されました(参考記事)。
また、その後の5月16~21日までケニアのキスムで開催され、アフリカ各地から重要なアクターが集合した9th Africities Summitでは、アフリカの中規模都市の今後について話され、ケニアは開催国としてスラムを含めた都市開発における自身の重要な役割をアピールしました(参考記事)。
このようにしてこの分野での国際的なイニシアチブを高めたケニアは、スラム開発への資金を増加することを閣議決定し、今後も精力的な取り組みを行う姿勢を示しました(参考記事)。
国際的なサミットを開催し、この分野での国際的な協力を高めようとする姿勢を踏まえると、ケニアは自国のスラム開発に対する他国からの協力的な介入も望んでいるように感じます。
実のところを言うと、AHPによって作られた低所得者向けの住宅は多くの低所得者が住めるほど安くなく、ケニアの平均給与が約15万シリングの一方でこれらの住宅の値段は150万~420万シリングであり、大部分のスラムの人々にとっては購入が難しいことが今回の記事で示されています(参考記事)。
こういった課題についても、例えば日本の先進的な技術を用いた住宅の効率的な生産で解消できる部分があるのではないかと思います。今後の動向に期待したいです。
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参考記事:
1.THE HOUSING CRISIS IN SUB-SAHARAN AFRICAN SLUMS-Link
2.Africities 9: Equitable resource distribution as solution to Africa’s development crisis-Link
3.Kibera Facts & Information-Link
4.SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」のターゲットとなる「スラム」の実態とは-Link
5.Kenya’s slums are a haven for viruses: here’s what we know-Link
6.Kenya has one of the best infrastructure networks in Africa, says CS-Link
7.Kenya Informal Settlement Improvement Project (KISIP)-Link
8.Amb. Meles Alem: We Meet To Depart, And We Depart To Meet: Ahsante Kenya-Link
9.Habitat for Humanity to host inaugural housing forum in Africa-Link
10.Uhuru Makes 8 Interventions During Cabinet Meeting-Link
11.Average Salary in Kenya 2022 –Link
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