目次
題:Pan Africa Gaming Groupが新たに10億のプレイヤーを呼び込むことを目指す
英題:Pan Africa Gaming Group aims to bring a billion new players to gaming
内容と背景:
こんにちは!Pick-Up!アフリカをご覧いただきありがとうございます。
本日は、アフリカのゲーム業界を盛り上げえる新たな取り組みに関する記事をピックアップしました。
アフリカのゲーム業界は現在とてつもない速さで成長しています。実際にこちらの記事によると、アフリカのゲーム産業は2020年から2025年にかけて年平均で12%の成長率を記録すると考えられています。またこちらの記事によると、2015年には7700万人ほどであったサブサハラアフリカのゲームプレイ人口が、2021年には1億8600万人にまで増加しており、そのうちの95%である1億7700万人が、スマートフォンでモバイルゲームをプレイしていると言われています。
スマートフォンでのゲーム人口が増加している理由としては、主に2つのことを挙げることが出来ます。1つ目は、アフリカにおけるスマートフォン人口の増加です。実際に今回の記事によると、現在アフリカでは4億人がスマートフォンを利用しており、2025年にはその数が6.8億人にまで増加すると推測されています。このようにスマートフォンの所持人口が急増する中で、モバイルゲームのプレイヤーも増えてきていると考えられています。
2つ目は、コロナウイルスによる影響です。具体的には、ネットカフェでPCゲームをプレイしていた人々が、営業自粛の影響でネットカフェに行けなくなり、その代わりにモバイルゲームを家で楽しむようになった可能性があると言及されています(参考記事3)。
さて、今回の記事では、このようにアフリカのモバイルゲーム業界が発展し続けている中、アフリカのゲーム開発スタジオ10社が集結して、Pan Africa Gaming Group(PAGG)という組織を新たに発足したことが紹介されています。
主にモバイルゲーム開発を行っているアフリカのゲームデベロッパーたちが結集したこの組織は、南アフリカで2月23-25日に開催された アフリカゲームウィークにおいてその発足が公表されました。
記事では、PAGGはゲームスタジオたちが協力してアフリカでのゲーム開発を促進し、毎年この産業を倍々に増加させることを目標としていると示されていますが、この発足の背景としては、世界との競争の中で、アフリカにおけるアフリカ製ゲームのプレゼンスが低いという現状が挙げられています。
アフリカのゲーム市場が急激に伸びているのに、アフリカ製ゲームのプレゼンスが低いことに違和感を持った方もいらっしゃるかもしれませんが、これはつまり、外国企業のゲームがアフリカで利益を上げ続けているという事です。steamやgoogle playといったゲームプラットフォームがアフリカにも進出し、世界のゲームを消費できるようになった中で、アフリカのゲームが埋もれ、先進国の人気なゲームが消費される状況になっています。
実際にこちらのデータでは、企業の規模を表す時価総額を基準とした世界のゲーム開発会社top75が記載されていますが、その中にアフリカの企業は1つもなく、資金的な面で世界規模の競争に介入できていない状況があります。
また記事の中ではアフリカのゲーム開発人材不足に関しても触れられています。ゲーム開発はまだアフリカで歴史が浅く、充分な経験を持っている人材はさらに少ないため、企業個人では世界に対抗できるレベルのゲームがなかなか作れない状況にあるのです(主記事)。
PAGGはこういった状況を踏まえたうえで、アフリカのゲームのプレゼンスを高めるための活動をしています。記事ではまずプラットフォームの統合が紹介されています。Gara、AfroComixと呼ばれるゲーム、電子漫画プラットフォームを1つに統合することでアフリカサブカルチャーの1大プラットフォームを形成し、PAGG参加企業から発売されたゲームをそこに展開することで、google playやsteamでは埋もれてしまっているアフリカ製のゲームを広く消費してもらおうと考えています。
また記事では、PAGGが若いエンジニアの教育にも力を入れていると述べられています。ナイロビにはゲーム開発者のコワーキングスペース(ゲーム開発センター)が存在し、そこでは開発経験者が若いエンジニアにスキルを教えたりしているんですが、PAGGはこれと同様の施設をアフリカ各地に作り、PAGG参加企業の優秀な人材による新しい才能の発掘、またスキルの伝授を行っていくつもりです。
さらに、グループCFOにはピーター・キハラ(元ゴールドマン・サックス&PwC)、グループ・クリエイティブ・ディレクターにはジェイク・マニオン(英国アードマン・アニメーションのゲームディレクター)が就任する予定であり、それぞれの会社のトップもこれらの優秀な人材から刺激を受け、世界レベルの知識を身に着けることが期待されています。
記事では、PAGGはこうした活動により、アフリカ全体のゲームのクオリティーを高めるとともに、アフリカ製ゲームの新たなプレイヤーを獲得することで、そのプレゼンスを向上させようと試みていると述べられています。
今回はPAGGについてお伝えしましたが、このグループに所属していないアフリカのゲーム会社もすでに注目を集め、投資を受けたりしています。実際に、GIA(アフリカのゲームメディア)やAnnapurna(アメリカのゲーム会社)などがアフリカのスタートアップに1万ドル投資する事例(参考記事6)や、南アフリカのCarry1stが日本のアカツキ、Google、グラミー賞歌手のNas氏などからの投資で2000万ドルを集めたという事例があります(参考記事7. 8)。こうしたことを踏まえると、アフリカのゲーム開発はこれから注目すべき分野なのかもしれません。
Pick-Up!アフリカでは、これまでにもゲームの話題を扱ってきました。下の関連記事からぜひご覧ください!
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PAGG参加企業一覧
1. Sea Monster (南ア) 2. Kayfo Games(セネガル) 3.Kiro’o Games (カメルーン) 4.Leti Arts (ガーナ) 5.Digital Mania (チュニジア) 6.Qene Games(エチオピア) 7.Usiku Games(ケニア) 8.Khanga Rue(タンザニア) 9.DopeApps (ルワンダ) 10.Messeka Games(ヨーロッパ在住のアフリカ移民による会社)
関連記事:
1.アフリカのゲーム業界の今、少し解説します!【Pick-Up! アフリカ Vol. 34 (投稿:2020年11月12日)】-Link
2.知っておくべき!アフリカの3大ゲーム会社《アフリカエンタメウィーク第四弾》【面白記事 Vol. 131: 2020年9月10日配信】-Link
3.ケニアの大ヒットYouTube:STEAMの力で村を救う?!【Pick-Up! アフリカ Vol. 137:2021年3月25日配信】-Link
参考記事:
1.Africa – Mobile Gaming, Cryptos Fastest Growing Globally-Link
2.What does 2021 hold for the African games industry?-Link
3.知っておくべき!アフリカの3大ゲーム会社《アフリカエンタメウィーク第四弾》【面白記事 Vol. 131: 2020年9月10日配信】-Link
4.2022年度に開催されるゲーム業界イベント5つ-Link
5.Largest video game companies by market cap-Link
6.GIA and indie publishers launch African Game Dev Prototype Fund-Link
7.ゲームパブリッシャーCarry1st、2,000万米ドルを調達——Googleやa16zがアフリカでWeb3ゲーム投資を強化(1/2)-Link
8.アカツキ、アフリカでのエンタメ市場拡大を睨み投資を実行-Link
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