高い品質を誇るケニアのバラ産業、課題は輸送にあり?

訳 :  ケニアがカタール航空とエチオピア航空に、ヨーロッパでのバレンタインデーの花需要に対応するための、貨物便の追加配備を要請。

英題:Kenya asks Qatar Airways and Ethiopian Airlines to deploy additional cargo flights in a bid to meet Valentine’s Day flower demands in Europe | Business Insider Africa

記事リンク:https://africa.businessinsider.com/local/markets/kenya-asks-qatar-airways-and-ethiopian-airlines-to-deploy-additional-cargo-flights-in/tgp5ft9

こんばんは!pick-up!アフリカです。毎週金曜日は、アフリカの農業に関連したトピックをお届けしています。

本日ご紹介するのは、ケニアの主要産業であるバラの生産、輸出に関するニュースです。

記事の内容によると、ケニア当局は先日2月14日のバレンタインデーにあわせて、ケニアの主要産業の一つであるバラを輸出するための貨物便の増加を各航空会社に要請しました。

ニュースの概要

記事の情報によると、ケニアはアフリカで最大のバラの生産国であり、栽培されたバラは主にヨーロッパに多く輸出されています。特に毎年バレンタインデー直前の1月下旬から2月上旬にかけては、同国の年間輸出量の約50%にあたる5200トンの需要が見込まれています。

ケニア当局は、今年のバラのバレンタイン需要に備えて、カタール航空とエチオピア航空に貨物輸送の不足を補うための追加便を要請したといいます。記事によると、飛行機を使った花の出荷は、旅客機の客席部分に花を積載して輸出しています。その場合、現時点でのケニアの最大出荷能力は2000トンにしかみたず、前述したように5200トンの需要に対応しきれていないことが課題となっています。

要請を受け、カタール航空とエチオピア航空はそれぞれ5便と24便の追加便の運航を決定したそうです。

ケニアのバラ産業

商業用のバラの生産はケニアにとって主要産業の一つです。ケニアの花卉産業について言及されているこちらの記事によると、ケニアは切り花産業で世界シェア第四位の市場規模を誇っています。さらに別の記事を参照したデータによると、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により花の需要が大幅に低下したのにも関わらず、ケニアの花の輸出送料は約14万2000トンにも及び、輸出額は約9億9300万ドルに達しました。

ケニアで生産されたバラの主な輸出先はEUであり、先ほどと同じ記事から引用するとケニアから輸出されたバラの70%以上がEUに向けて輸出されています。EUの市場におけるケニアのバラのシェアは約38%であり、さらにその半分以上がオランダのオークションで販売されています。

こちらの記事によると、ケニア国内の事情で見ても園芸産業は観光業、茶産業に次いで三番目に大きな外貨の獲得源として重要な位置づけとなっています。さらに別の記事によると、その中でも花卉部門はGDPの約1%を占めており、約15万人の直接雇用を生み出していることがわかっています。

EU以外にも日本、アメリカ、UAEなど、世界中のあらゆる地域でケニアのバラが輸出されています。JETROが2018年に出版したレポートによると、2017年時点で日本が輸入しているバラの47.8%(金額ベース)がケニア産であるということです。

高品質なケニアのバラ

なぜ、ケニア産のバラはこれほどまでに世界各国で人気を誇っているのでしょうか。日本でケニアのバラを輸入し、販売しているアフリカローズのHPから引用すると、ケニアのバラの特徴は茎が太く、丈夫であること、また花が通常のバラよりも1.5~2倍ほど大きく、花束にしたときに非常に華やかに映るそうです。

駐日ケニア大使館のHPの情報によると、ケニアには高品質なバラを栽培するのに適した環境条件が揃っているようです。

一つは、赤道直下に位置しており、日照時間が長いことが挙げられています。年間を通して雨の日は60~80日程度であり、1年のうちのほとんどを晴天の環境下で栽培することができるそうです。これにより、ハウスでの栽培のような理想的な栽培環境が実現しています。

二つ目の特徴は、標高の高さです。赤道直下に位置するケニアですが、山地も多く、ケニアのバラの多くはこのような標高の高い地域で生産されています。同じく駐日ケニア大使館のHPから引用すると、ケニアの山間部の気候は日中は20~30℃、夜間でも6~12℃であり、温帯に属しています。

バラの栽培環境について書かれている別のHPによると、夜間の最低気温が10℃以上、日中の気温が18~25℃であれば、一年中生産が可能であり、日射量も一日5時間以上必要であると書かれています。以上のことから、ケニアがバラの生産に適しているということがわかると思います。

貨物の遅れが世界に与える影響

ケニアのバラの需要は、昨今の新型コロナウイルスの流行による影響からもすでに復活しつつあるようです。こちらの記事によると、2020年2月のバラの受注量を100%とした時に、コロナ禍のロックダウンなどの影響で一時は53%まで需要が落ち込んだようです。しかしながら、2021年の3月時点では97%まで需要が復活しており、世界情勢に関わらず、ケニアのバラは多くの人から求められていることがわかります。

こちらの記事によると、今回のケニアの貨物便の不足には新型コロナウイルスの流行によって、国際便への規制が強くなったことが挙げられています。パンデミック以前には、ケニアの貨物輸送は週5000トンを運搬することが可能であり、航空機の便数の減少に新型コロナウイルスの流行が大きく影響していることが述べられています。

ケニアのバラへの需要がすでに戻りつつある今、貨物輸送の早急な整備が求められます。

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