訳 :  e-コマースとアグリテックのイノベーションが拡大したとき、アフリカはデジタル格差を埋めることができる。

英題:Africa can bridge digital divide if it scales innovations in e-commerce and agritech

記事リンク:https://www.theeastafrican.co.ke/tea/kusi-ideas/africa-can-bridge-digital-divide-if-it-scales-innovations-3664438

こんばんは!pick-up!アフリカです。毎週金曜日は、アフリカの農業に関連したトピックをお届けしています。

本日のテーマも、先週に引き続きアフリカ農業のDX化に関連したニュースです。

先週の記事では、アフリカの農業の生産現場にスマート農業技術、通称アグリテックが普及しないという問題にフォーカスし、若者の農業離れとともに取り上げました。

その一方で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、アフリカ内でも急速にDX化が広まった技術も存在します。

電子商取引、通称eコマースは、インターネットやスマートフォンの普及とともに、アフリカ大陸内でも普及率が増加しています。

本記事では、アフリカでのeコマースの普及と、農業の流通の変化に関するニュースを取り上げ、アフリカ農業とテクノロジーの新時代をひも解きます。

eコマースの普及と農業の流通の変化

今回取り上げるのは、新型コロナウイルスの感染拡大により、アフリカにおいてもDX化が加速しているというニュースです。

引用元の記事によると、アフリカ大陸内においても各国で商業取引のデジタル化が促進されており、特にアフリカ経済の柱である農業分野でのイノベーションに大きな期待が持てるということです。

eコマースとは、インターネットの普及により可能となった、現金に代わるお金のやり取り全般をさしており、スマートフォンを利用した電子決済やインターネット通販、フリマアプリの売買などの消費者が直接関与する決済方法だけでなく、BtoBの分野でもeコマースへの移行が進んでいます。

eコマースについてさらに詳しく知りたい方は、我々の過去の投稿をぜひご覧ください。(1,2,3)

アフリカでの農業とeコマースの関連性

では、eコマースの普及はアフリカの農業に今後どのような変化をもたらすのでしょうか。

農業はアフリカにおいて最も重要な産業の一つであり、記事内で引用されているデータによると、アフリカのGDPにおける23%、雇用の49%が農業に関連した分野であるとされています。その一方で、アフリカの農業分野は本来持つポテンシャルの40%ほどしか発揮できていないと推定されており、その能力を生かすためのイノベーションが待たれています。

続いて、近年のアフリカでのeコマースの普及についてご説明します。

これまで、アフリカが世界と比べて遅れている原因として、デジタルインフラが未整備である地域がいまだ多く存在しており、大陸内にデジタル格差が存在していることが挙げられていました。

しかし、昨今の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響をうけ、アフリカにおいても急速にデジタル化が進行しました。

その中でもeコマースの普及率の増加は目立っており、その要因として近年アフリカでのインターネット、スマートフォンの普及率が高まっていることが考えられます。

特に、農村部へのスマートフォンの普及が、今回のeコマースの拡大に強く影響していると見られています。

こちらの記事によると、2019年から2025年にかけてのアフリカでのスマートフォンの成長率は年間4.3%ほどであるとみられており、サブサハラ地域では2018年末時点では4億6千万人だったスマートフォン使用者が、2025年までにさらに1億6700万人増加すると見られています。

またInternet World Statesが発表した統計によると、2020年のアフリカ内でのインターネット使用率は43%となっています。

スマートフォンを用いた農業分野での変化については、ウガンダの場合100万人以上の農家がアプリを利用して顧客とつながり、農業投入物を購入するなどして、アクセスが遮断されたコロナ禍において主に流通の面でスマートフォンを利用しています。

eコマースが農業にもたらしたメリットとしては、こちらの記事で詳しく述べられています。農業関係者がeコマースを導入したことによってもたらされた利点に、バリューチェーンの透明性が上がったという点が挙げられます。加えて、中間業者を介さずに農家と市場が直接やりとりを行うことが可能となったことで、より多くの買い手へとアクセスすることができ、利益を拡大することが可能となりました。

今後の課題

今後、さらにアフリカでeコマースが普及していくために、現時点でどのような障壁があるのでしょうか。

最も大きな課題としては、国境を超えたeコマースでの取引環境の整備が挙げられます。

アフリカ内の国家間で統一された電子決済システムが不足していることや、税関手続き、高い配送コストなどの物流インフラが未整備であることが、このことの原因とされています。

しかし一方で、アフリカ自由貿易圏(AfCFTA)の制定に向けて動いていることもあり、アフリカ大陸内の貿易に対する障壁は取り払われていくと見られています。

また新型コロナウイルスのパンデミックの間にeコマースに関する規制をフェーズ3からフェーズ2に緩和させており、デジタル化の普及のチャンスとしてとらえているようです。

AfCFTAに関してさらに詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事もご参照ください。(9.10)

コロナ禍以前の2019年時点のデータでは、アフリカ大陸内の58の国と地域で631のオンラインマーケットが存在しています。

AfCFTAにより物流インフラがさらに整備されていくことで、今後どのようにeコマースの普及、オンラインマーケットの拡大がアフリカで進んでいくのか、期待が高まります。

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