目次
みなさま、こんばんは!
本日は火曜日ということで、ロジスティクス及びサプライチェーン分野から最新の記事を2本お届けいたします!
まず、中間層及び富裕層向けに家事代行サービスを提供するナイジェリアのEden Lifeが事業拡大を目的として新たな資金調達を行ったという記事、2番目に林業のサプライチェーン構築に取り組むケニアのスタートアップKomazaがシリーズBとして2,800万ドルもの資金調達を実施したという記事をご紹介しています。
Eden Lifeの資金調達に関しては日本のサムライインキュベート社が最初の出資者であり、かつKomazaには複数名の日本人がその経営に参画しているという点で、両者とも日本と関係性の深い話題ですので、ぜひお楽しみください!
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記事1:「家事代行サービスを行うナイジェリアのEden Lifeが新たな資金調達を実施」
『Nigerian logistics startup Eden Life raises funding round』
記事リンク:
関連動画:
内容と背景:
本日はまずロジスティクス分野に関する話題をお届けいたします。
この度、ナイジェリアの物流新興企業 Eden Life が事業拡大を目的として新たな資金調達を行いました。
ラゴスに拠点を置く同社は、労働者階級向けにデジタルルームサービスプラットフォームを提供しており、熟練したホームコンシェルジュへのアクセスが可能となることで、ユーザーは食事の提供、ランドリーの処理、家の掃除など家事全般を代行してもらえるようになります。
そこで、事業を拡大しユーザーベースを構築するために同社は現在非公開の資金調達を行っているのです。実は最初に出資を行ったのは面白記事でも度々ご紹介している日本のサムライインキュベート社であり、加えて米国に拠点を置くベンチャーキャピタル Village Global が出資を行ったようです。
Village Globalの共同創設者であるAnne Dwane氏はEden Lifeのビジョンや顧客中心の姿勢、また事業のスピーディーさに感銘を受けていると、同社の今後に期待を寄せています。
サブサハラ以南のアフリカで有数の経済規模を誇るナイジェリアだけに、通勤を伴う労働を行う中間層および富裕層の台頭が今後著しく伸びるであろうと予想されます。さらに、治安面での懸念事項などもあり未だ信頼できる人にアウトソーシングしずらい現状のある同国では、Eden Lifeの提供する安心・安全な家事代行サービスは確実にニーズの伸びる事業であると考えられます。
今後の同社の事業拡大の動きに注目したいところです。
関連記事にはサムライインキュベート社のプレスリリース、また同社のアフリカでの動きを扱った過去の記事をのせましたので、ご関心のある方はぜひご覧ください。また、冒頭にはEden Life社のサービスを説明した1分半程度の動画ものせましたので、こちらも合わせてぜひご覧ください。
関連記事:
- 「組成中のファンド「Samurai Africa Fund 2号」より出資第1号ビジネスマン向け家事代行サービスを提供するEden Lifeに出資決定!」–Link
- 「面白記事v.63(投稿:2020年6月19日)記事1」–Link
- 「面白記事v.85(投稿:2020年7月15日)記事2」–Link
記事2:「ケニアのKomazaが2,800万ドルものシリーズB資金を調達」
『Komaza Raises $28M Series B to Capture Africa’s $30B Wood Deficit While Restoring Degraded Lands』
記事リンク:
関連動画:
内容と背景:
続いてはサプライチェーン分野における話題をお届けいたします。
ケニアで林業の流通に取り組むスタートアップであるKomaza(以下:コマザ)はこの度、3,300万ドルを調達予定であるシリーズBラウンドにて2,800万円の資金調達に成功しました。今回のシリーズBは、シリーズAから継続的に出資を行っているNovastar Venturesに加えて、オランダの開発銀行FMOなど複数機関が出資を行った形となりました。
コマザはアフリカでの木材需要に対する供給不足に着目し、林業のサプライチェーン構築に取り組んでいるケニアのスタートアップ企業であり、日本人も複数名その経営に参画しています。同社はもともとインパクト投資を受ける非営利団体として2006年に活動を開始しましたが、安定した収穫と生産が見込めるようになったことからスタートアップ企業に転身し、現在は事業拡大のために資金調達を行っているのです。
植樹に膨大な初期投資がかかる上、木材として販売できるようになるまでに10年以上かかるとも言われている林業ですが、従来の大規模で高価なプランテーションではなく、地元の小規模農家と提携する分散型モデルを採用することで、1エーカー単位80%ものコスト削減を行いリスクを解消してきた同社は、これまで25,000人もの零細農家と提携し、600万本以上の木を植えてきました。この変革により、ケニアはアフリカの中でもトップの商業植林業者となっています。
さらに、分散型モデルを採用することにより管理面での複雑さが増す中、同社は衛星データとAIを使用して樹木の成長を地図化するだけでなく、既存のモバイルアプリを導入して農家の進捗状況を把握することにより、その複雑さに対応しています。
過去の面白記事や最新のコラムにて、アフリカでは近年宇宙衛星分野に注目が集まってきており、その用途も農業や都市計画、空間地理システムの構築など多岐に渡るとお伝えしてきましたが、上記でご紹介したコマザの例は、衛星技術が活用されている代表的な例とも言えるのではないでしょうか。
さて、農家と提携し持続可能な木材の国内供給を提供することでアフリカ最大の林業会社となることをビジョンに掲げる同社は、2030年までに10億本の木を植えるという目標を持っています。同社はその実現に向けて、今回新たに調達したシリーズBの資金を活用し、現在拠点を置くケニアの他にも東アフリカ地域にて新たに2つの拠点を設ける他、追加の木材製造施設への投資、および新たなアプリやAIシステムの導入を実施する予定のようです。
記事の中で紹介されているコマザの創設者兼CEOであるTevis Howard氏の話や、今回シリーズBへ出資を行った複数機関の責任者の話にもあるように、コマザの事業の強みは商業的利益を追求するだけでなく、自然林への圧力を和らげ、かつ農家にリスクのない富の生成手段を伝授する点にあると考えられます。
気候変動を緩和する自然なソリューションとして林業の役割を促進し、地域の生物多様性の保護をも支援するコマザ。以前よりビジネス界隈でも注目されているSDGsに大きく貢献する企業として高い評価を集めていることが、順調な資金調達を達成できている一つの理由なのではないでしょうか。
以前面白記事vol.82でも、エチオピアで2024年までに200億の種を植えることを目標にする国を挙げた気候変動対策への取り組みが行われているとご紹介しましたが、未だ燃料として炭を使用することで木を大量に消費するアフリカでは、国内消費を賄うのみならず環境問題対応へのソリューションにもなる林業は今後もポテンシャルを秘めた産業と考えられます。林業のみならず環境系の話題に関しては今後も引き続き面白記事で取り扱っていきたいと思います。
記事本文には今回の資金調達に関わっている各責任者へのインタビューなど非常に詳しく記載がありますので、ご関心のある方は関連記事や動画と合わせてぜひご覧ください。
関連記事:
- 「An Africa-focused “micro-forestry” startup has raised $28 million to plant a billion trees」–Link
- 「FMO supports micro-forestry company Komaza to grow trees and smallholder farmers’ income」–Link
- 「コラム – Vol. 4: アフリカの宇宙・衛星分野への取り組み」–Link
- 「面白記事 Vol. 46(投稿:2020年5月28日)記事1」–Link
- 「面白記事 Vol. 82(投稿:2020年7月11日)記事2」–Link
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