皆さま、こんにちは!
前回の投稿はお楽しみいただけましたでしょうか?

今回もアフリカ市場でのICT、医療、経済統合の話など幅広い分野に関する記事を集めました。
かなりボリューミーとなっていますので、お時間のある際にぜひお読みください!


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記事1:『With right partners, investors in EAC hit profit targets』

記事リンク:

https://www.theeastafrican.co.ke/oped/comment/With-right-partners-investors-in-EAC-hit-profit-targets/434750-5464316-76f0hu/index.html

内容と背景:

先週最後の記事で東アフリカ共同体(EAC)のことを扱った記事を載せましたので、もう少し。

他の地域共同体同様、EACでも特に重点を置いて全体で取り組む課題、また、各国が担当国的な立場で取り組み他の国と学びを共有する分野・課題などがある。その中で今回は「製造業」に関しての話題を。東アフリカ地域では、観光業に代表されるサービス業が地域のGDPの47%以上を占めており、対して製造業は12%とその貢献割合はまだまだ低く、他の産業同様、貢献割合を増やしていくことが課題となっています。その中でも製造業に対する期待値は高いそうです。というのも、製造業の発展で、外貨獲得だけでなく、雇用の創出への大きな貢献なども期待されています。

そこでこの記事では、各国政府の取り組みだけでなく、様々なパートナー、国内外・域内外の投資家や、域内・国内の製造業社の集合団体はもちろんのこと、雇用の創出への貢献などを中心的な活動目的・目標としている慈善団体などとの密な関係性の構築などがカギを握ると書いています。

今後の取り組みなどから、2032年までの製造業のGDPへの貢献度を25%以上にするという目標にどのくらい届くのかきになるところです。

関連記事

  1. East African Community to Cap Tariff at 32.5%」 – Link
  2. Imported clothes in the region to cost more after tax review」 – Link

記事2:『Africa Isn’t Ready for Currency Unions

記事リンク:

https://www.project-syndicate.org/commentary/eco-currency-union-in-west-africa-too-risky-by-c-lestin-monga-2020-02

内容と背景:

2月7日投稿の記事3でも取り扱いました共通通貨の設立。今回は東アフリカだけでなく、西アフリカで、そして南アフリカ地域でも起きているこの動きに対する記事をご紹介します。

フランス語圏として知られる西アフリカでは、フランスの植民地だった時代から使われ続けている、CFAという通貨があります。それを廃止し、ECOという新しい通貨の設定が昨年発表され、今年中のインプリメントが待たれています。これはCFAを廃止する8カ国の75年間の歴史に終止符を打つだけでなく、この地域へのフランスの影響力を小さくするものとしてもそれぞれの国からは期待されています。

その中で、この記事では地域関係なく、アフリカ全体として共通通貨の導入は時期尚早だというのです。いくつか挙げている点の中でも特に声を大にしているのは、「共通通貨導入予定の域内での貿易の未熟さ(域外・大陸街の国々との貿易率に比べ明らかに割合が少ないという点)」。現在進められているアフリカ貿易協定(AfCFTA)では現在15%前後とも言われる域内貿易を高めようとしていますが、ユーロが導入された当時のヨーロッパ内での貿易率は全体の60%を占めていたのです(現在も50%以上を記録)。

そのほかにもいくつかの課題を挙げながらこの題材の理由を説明しているこの記事。アフリカ地域の統合に向けて抱える課題をハイライトしているようにも思える、またアフリカの一つの国だけでなく、大陸内の他の国への事業展開を考える際の参考にもなるのではないでしょうか?


記事3:『Beyond policy And Public Investment: The SDG Imperative For Business

記事リンク:

内容と背景:

日本でも様々なところで耳にすること、話題になることが多いSDGs。アフリカでも様々な意味で関心の高いトピックです。特に新しいプロジェクトなどをする際にはそれがどんな課題を解決するかなど、良いものさしにもなります。
これまでは「政府の取り組み」という視点で語られることが多いようにも感じますが、今回は、「ビジネスあるいは民間部門の取り組みはどうなのか?」という疑問を投げかけている記事をご紹介します。

全てのSDGs目標を実現するためには、年間5000億ドル(約50兆円)〜1.2兆ドル(約120兆円)のファイナンシャルギャップがあると言われている中で、この取り組みの半分である民間部門の積極的な参加なしには、Public部門だけでは到底達成できない。というのがこの記事が指摘していることのようです。民間企業の積極的な参加によって特に雇用の機会の創出に大きな効果が発揮されるとも書かれており、それぞれの分野においての経済効果や創出される雇用の数値化などもされている記事です。

ビジネスとSDGsの共存がどのようにアフリカの課題解決という場において実現されるのか楽しみです。

関連記事:

  1. Africa: Beyond policy and public investment: the SDG imperative for business」 – Link
  2. 「Is Africa’s private sector doing enough to finance SDGs?」Link
  3. 「What is the future of poverty in Africa?」Link
  4. 「Africa has both the energy and the determination to make sustainable development happen」Link
  5. 「UNESCO pledges to collaborate with GhIE towards SDGs achievement」Link

記事4:『AfCFTA’s effect only felt in three years as roadmap is not ready』

記事リンク:

https://www.businesslive.co.za/bd/world/africa/2020-02-28-afcftas-effect-only-felt-in-three-years-as-roadmap-is-not-ready/

内容と背景:

皆さんご存知の通りアフリカ大陸には複数の経済共同体が存在しますが、こちらは新たに2019年5月に発効され2020年7月からの運用が予定されているアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)に関する記事です。

AfCFTAとは、アフリカ域内の物品関税の撤廃、サービス貿易や投資の促進を盛り込んだ自由貿易協定(FTA)。域内全55カ国・地域が参加した場合、人口は12億人超、名目GDP値の総額は2兆5,000億ドルと世界最大規模となる見込みです。2017年のアフリカ諸国による域内輸出額の比率を見てみると、全輸出額の16.6%。これまでのアフリカの域内貿易の少なさ故にAfCFTAの運用開始への期待も高まっているのです。記事では、その運用を通じて大陸全体の貿易を最大限促進させるためには、ロードマップ、法律、支援メカニズムなど各種プラットフォーム整備の強化が必要不可欠であると指摘しています。

AfCFTAがうまく運用開始され、域内貿易の促進につながれば、アフリカ市場で今後事業を拡大する、あるいは新規事業を立ち上げようとする日本企業にとっても、各ブロックではなく大陸全体を市場として見ることができ、プラス材料となるのではないでしょうか。今後の動きにも注目したいところですね。

関連記事

  1. AfCFTA: ITFC signs MoU with African Union」 – Link
  2. 「Take advantage of AfCFTA, Maltese businesses told」Link
  3. 「Nigeria needs to urgently ratify AfCFTA to gain maximum benefits from the treaty – NESG」Link
  4. AfCFTA: Nigeria Can Generate $537bn Annually From Exports – DBNLink
  5. 「What’s holding back Nigeria’s AfCFTA ratification?」Link
  6. East African nations projected to earn $1.8 billion from AfCFTALink
  7. 「New Report Highlights Significant Gains From AfCFTA Implementation In East Africa」Link
  8. 「The Gambia Validates Her National AfCFTA Implementation Strategy」Link

記事5:『Rwanda inks deal to host Africa’s only big data hub』

記事リンク:

https://www.newtimes.co.rw/news/rwanda-inks-deal-host-africas-only-big-data-hub

内容と背景:

こちらの記事では、国連と連携し、アフリカ地域唯一のデータハブになろうと準備を進めるルワンダの取り組みが紹介されています。

記事によると、データ部門の国連機関である Global Working Group は2019年5月にルワンダの首都キガリで行われた会議で、ビッグデータと最新のテクノロジーを活用した新たな可能性を模索するため世界各地にデータハブを設けることで合意しており、ルワンダのほか、中国、ブラジル、そしてアラブ首長国連邦にハブが設置される予定とのこと。ルワンダは、エチオピアに拠点を置く国連アフリカ経済委員会(ECA)統計センターと協力し、首都キガリにある国立統計研究所(NISR)トレーニングセンターとデータサイエンスキャンパスにハブを設置する予定。ドローン技術における知見を生かし、衛星データを介した船舶追跡による世界的な船舶活動の状況図の提出や、フライトデータを利用した人間の機動性の監視などが可能となると述べられている。国連はこれらのデータハブの設置を通じて、国連統計委員会の全193加盟国へのグローバルデータソースへのアクセスの提供を目指しています。

ルワンダは国をあげてICT産業に力を入れており、アフリカのハブとなれるのか今後の動向に注目です。


記事6:『Top 10 Countries with Improved Healthcare System in Africa 2020』

記事リンク:

https://www.africanexponent.com/post/7167-top-10-african-countries-with-best-healthcare-system-2020

内容と背景:

ここでは、世界保健機関(WHO)の定めた指標によりヘルスケア部門でアフリカ各国を1位から10位までランキング付けしている記事をご紹介します。

ここでの指標とは医療部門におけるシステム、専門家、機器、医師、コストなどの質を総合的に評価したもの。1位は南アフリカ、2位がチュニジア、3位がケニアとなっています。未だ整備の余地がある国も多い中、アフリカ全体で見ると、医療部門における近年の発展は称賛に値すると述べられています。

ランキング上位にくる国は国家基盤が整っており、公共投資が進んでいる国。一方、ルワンダを始め公共投資は進んでいても、民間の利害関係者の少なさ故に指標が伸びない国もあります。ヘルスケアに限らず、各セクターでの発展を考える際は公共と民間両方のフィールドに目を向けることが重要になりそうです。

関連記事

  1. Kenya seeks to become a regional healthcare hubLink
  2. 「Babylon inks 10-year partnership with Rwandan government」Link

記事7:『54GENE: COLLECTING AFRICAN DNA TO IMPROVE HEALTHCARE』

記事リンク:

https://www.fairplanet.org/story/54gene-collecting-african-dna-to-improve-healthcare/

内容と背景:

こちらの記事では、アフリカ大陸の人々は世界でもっとも大きい遺伝子多様性をもちながらも、現在世界で利用可能な遺伝子データのうちの3%しか占めていないと述べられています。さらにこれはアフリカ大陸の人々を対象としないまま世界中で医薬品が作られ続けていることを意味すると指摘しています。

記事では、ナイジェリアのゲノミクス研究、及び開発会社である「54Gene」の副社長 Aminu Yakubu氏へのインタビューを通して、アフリカ大陸の人々の多様な遺伝子データを収集し、アフリカ及び世界中の人々への有益な医薬品の開発につなげようとする取り組みを紹介しています。

実際にインタビューによると、現在もっとも使用されているHIV薬のエファビレンゼはCYP2B6変異体を持つアフリカ人の約25%にひどい副作用を引き起こすとのこと。今後アフリカ大陸の人口は増加し、2050年には4人に1人がアフリカ人になると言われている中で、医療の世界で遺伝子多様性を無視することはできないでしょう。


記事8:『Africa and the infrastructure boom』

記事リンク:

https://www.capacitymedia.com/articles/3824974/africa-and-the-infrastructure-boom

内容と背景:

こちらの記事では近年のアフリカ市場での通信インフラ産業の発展について、Google社やFacebook社、またMicrosoft社の事業を紹介しながら説明しています。

記事冒頭で紹介されているEY社のレポートによると、アフリカ市場への外国直接投資(FDI)は計755億ドルにものぼり、2018年には通信、メディア、テクノロジー(TMT)が11.9%を占めたとのこと。また、このうち通信インフラへの投資は年間約150億ドルもの成長を遂げており、2003年から2008年にかけての複合年間成長率(CAGR)が33%であったと述べられています。

今後、通信インフラ部門において益々アフリカ市場への投資が集まると予測されますが、ローカルコンテンツの開発や適切な規制のフレームワーク作りの重要性も忘れてはならないと考えられます。

関連記事

  1. Internet shutdowns in Africa were more frequent and lasted longer in 2019」 – Link

記事9:『European business chamber launched in Rwanda』

記事リンク:

https://www.newtimes.co.rw/news/european-business-chamber-launched-rwanda

内容と背景:

ヨーロッパとアフリカとの関係性を見直すことを一つの目標とし、そしてこれまでの関係性からよりビジネスの関係性を高めようとする動きが年々高まっている中で、今回は欧州企業らがルワンダでその存在感を高めようと、欧州ビジネス会議所の開設を発表したことに関する記事をご紹介します。

記事によると、欧州ビジネス会議所とはルワンダで活動する欧州企業から集まった14人の初代メンバーにより3月2日に発足した組織。ルワンダの欧州企業同士で相乗効果を高め、ビジネスを促進させることが狙いとのこと。

現在ルワンダでは既にSkol、ハイネケン、ブリュッセル航空、フォルクスワーゲンといった欧州からの大手企業が進出していますが、19世紀から20世紀にかけて植民地として支配を行っていた国々の影響力の大きさが未だ課題といえます。今後、対等な関係で双方の利益拡大のためのビジネスを欧州企業が促進することができるのか注目です。

関連記事

  1. 「It’s time for the EU to restart its partnership with Africa」Link

記事10:『Google, Toyota Tsusho invest in WhereIsMyTransport to map transport in emerging cities』

記事リンク:

内容と背景:

今回はv.12の記事5であげた、自事業の分野でのイノベーションに対する投資の例を一つ共有します。

新興国について調べる際に、「データがない」とか「データが足りない」と思うことを体験することもあるのではないでしょうか?Formal Sectorと表現される、課税もされ、政府機関が把握している公式経済と、それらとは逆のInformal Sectorと表現される、非公式経済とでの経済活動の差があるのではないでしょうか?

今回はこの非公式経済での経済活動にも対応したモビリティーに適応したWhereIsMyTransportというアプリケーションに対してこれまでの社会的イノベーションなどに中心に投資を行なっている、Global Innovation FundやGoodwell Investmentsなどのファンドに加え、GoogleやNedBank、豊田通商を戦略的投資として迎え、750万ドル(約7億5千万円)のシリーズAの投資を得たというニュース。

この会社は南アフリカ発の企業で、アフリカの34都市をマッピングしたのに加え、現在はインドや東南アジア、南アメリカの都市もマッピングし、モビリティー周りの情報を集め、複雑な新興国での移動手段や情報の確立化を行なっています。

関連記事

  1. 「WhereIsMyTransport」- Link
  2. 「Global Innovation Fund」 – Link
  3. 「Goodwell Investment」 – Link

記事11:『These 10 African Companies Are Among The 434 Most Innovative Companies Of The World In 2020

記事リンク:

内容と背景:

Technologyやイノベーション、リーダーシップ、世界を変え得る革新的なアイデアなどとビジネスに関するニュースなどを提供するFast Company社が毎年発表している「世界のイノベーティブな会社」というリストで今回はアフリカから10社が選出されました。全体では39カ国から434社が選ばれ、中には世界的な企業である、マイクロソフトやテスラ、スポティファイなどの名だたる企業も含まれています。

アフリカでは、ケニア(4)、ナイジェリア(4)、セネガル(1)、南アフリカ(1)の企業が選出され、その分野もe-commerceから、Fintech、Wi-fiインターネットサービスを提供する会社、ファション系の企業、ロジスティック系のソリューション提供企業、記事7でも紹介されている遺伝子データを扱う54geneなどが選ばれています。

リストもありますので、是非一度それぞれのホームページをご訪問ください。

関連記事

  1. 「The World’s 50 Most Innovative Companies of 2020 | Fast Company」Link

記事12:『AFZA Capital launches First East Africa-based fund in Nairobi』

記事リンク:

内容と背景:

何度かこちらの記事でも一つの課題として取り上げてきました、アフリカをベースとしたファンドの少なさ、シードなどの初期段階への投資を行うプレーヤーの少なさなどがありますが、そこに取り組むだろう企業が新たなファンドの設立を発表しました。

イギリスとアメリカに拠点を持つAFZA Capitalは最小2万5000ドルから25万ドルまで、特に初期段階にあるスタートアップに投資すると発表し、今回そのファンドをケニアに設立しました。医療、ファイナンス、農業、教育分野での投資の実績を生かし同分野を中心として東アフリカ地域を中心に投資を行なっていくようです。

また関連記事でもあります、ヨハネスブルグ証券取引所に上場しているAYO Technologiesが20億ランド(約1.2億ドル、約12億円相当)のファンドを設立し、半分は南アフリカ国内、残り半分はアフリカ大陸全体の企業への株式ファンドを行うようです。南アフリカでは、さらにその半分は黒人の方が行なっているスタートアップに特に投資を行うようで、資金が回らない人たちにも機会を提供することができそうです。

関連記事

  1. 「Ayo launches R200m fund to invest in African tech startups」Link

記事13:『DIASPORA FUNDING IN AFRICA MIGHT BE THE ANSWER TO THE CONTINENT’S ECONOMIC SUCCESS

記事リンク:

http://venturesafrica.com/diaspora-funding-in-africa-might-be-the-answer-to-the-continents-economic-success/

内容と背景:

記事12でも紹介しました、自らの生まれ故郷とはまた別の場所(大陸や国)で生活基盤を作った人たち(Diaspora)のアフリカ経済への貢献に関する新しい記事です。

PwC社でチーフエコノミストのAndrew Nevin博士のスピーチの中で、ナイジェリアがアフリカ大陸内で、上で説明しました、Diaspora本国への送金で一番を記録しており、その額が250億ドル(約2.5兆円)以上を2018年に記録し、そしてそれが国のGDPの約6.1%を占めると話しました。 この動きは今後も止まることはなく、2023年には290億ドル(約2.9兆円)をも越すのではないかとの予測も。

その中でIMFによると、このDiasporaが10人で千ドルを本国に投資した場合、それぞれの国は約30億ドル(約3000億円)を資金として集めることができることから、Diasporaの貢献こそアフリカの抱える課題を解決する一つの解決策なのではないかと展開されているのが今回の記事。

みなさんどう思いますか?

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