★目次★
みなさん、こんにちは!Pick-Up!アフリカのAyumiです。年末に近づき、忙しい日々が続いていると思います。今年もPick-Up!アフリカの記事を見ていただき、ありがとうございました。
今回は、アフリカ関連のクラウドファンディングをピックアップしました。このクラウドファンディングは、東京外語大がアフリカからの留学生を招聘するために立ち上げたものです。
実はPick-Up! アフリカスタッフも例年、東京外語大の留学制度に恩恵を受け、アフリカへ留学させていただいています。
<イチオシのクラウドファンディング NEXT GOAL挑戦中!>
Pick-Up!アフリカスタッフ一同、日本に留学したアフリカ学生との関わりやアフリカへの留学経験などを通して、日本とアフリカの若者が相互的に留学することが、互いの国にとって非常に大切であることを実感してきました。
今回は、2年前に東京外語大に留学したルワンダ人学生へのインタビューをお届けします。
アフリカからの留学生が日本で何を学び、どのように社会に還元しているのか、胸を打たれる体験談を、ぜひご覧ください!
インタビューした人
名前: Patrick(パトリック)さん
出身:ルワンダ共和国
大学:ルワンダ・プロテスタント大学(通称PUR)
学科:平和・紛争学科
東京外国語大学への留学時期:2022年度(約10ヶ月)
留学目的と日本での学び、広島で学んだ平和構築
Ayumi
Q1. 日本に留学した理由は?どんなビジョンや目標を持っていましたか?
Patrick
今日はこのような機会をくださってありがとうございます!留学のきっかけは、ルワンダ・プロテスタント大学に来た日本人留学生や教授との交流を通して、少しずつ日本への興味が増し、次第に行ってみたいと思うようになったことです。
留学の主な目標は、大学の授業で学んだ広島・長崎への訪問でした。第二次世界大戦で原爆を経験した地で、何が起こり、どのように復興したのか、人々がどのように統合されたのかを見たかったんです。
また、日本は軍を持たない中でどのように治安を維持できているのか、そして日本の発展についても学びたいと思っていました。
Ayumi
ルワンダ・プロテスタント大学で平和・紛争学科を創設し、アフリカの若者に平和学の教鞭を執っていらっしゃる佐々木和之先生は、毎年授業で広島・長崎や沖縄の米軍基地について教えていらっしゃいますよね。
確かに、ルワンダも治安が非常に良いですが、警察だけでなく、マシンガンを持った兵士があちこちに配置され、治安を守っていますよね。そういった点では日本の例は勉強になるかもしれないですね。
Ayumi
Q2. 日本に来た後、もともと持っていた目標が変わったり増えたりしましたか?
Patrick
目標は変わりませんでしたが、日本に来る前は想定していなかったものを沢山見ることが出来ました。例えば、電車。ルワンダに電車は存在しないので、初めて見た時は、そのシステムの素晴らしさに感動しました。駅員の仕事ぶり、人々が時間をきっちり守る様子も観察し、勉強になりました。
ルワンダでは公共交通機関であるバスも、満員になるまで出発しないなど時間を意識しないことが多いです。日本では電車もバスも時間を守るので、感心しました。
Ayumi
なるほど〜!日本人が普段意識しないような部分にも、感性を持って学びにしているのは、すごいことですね。
Q3. 留学中、どんなことを学びましたか?自分の目標は達成することができましたか?
Patrick
はい、目標を超える、期待以上の達成ができました。広島に行くだけではなく、2023年のG7サミットに先立って行われた「広島G7ユースサミット」(主催:ピースボート)に参加することができました。G7国出身の方がメインで、倍率の高い参加枠でしたが、アフリカ出身の唯一の参加者として出席しました。
また、I CAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が主催している「核兵器と安全保障を学ぶ 広島-ICANアカデミー」にも参加しました。そこでは、被爆者に直接話を聞き、多くの質問をさせてもらいました。原爆や恐怖の感情、そして広島が破壊された事実を、当事者のように生々しく感じました。
そこで、多大な被害をこうむった被爆者であっても、平和を作り、促進し、赦すことができることを知りました。ルワンダにおいても同様に、大虐殺の被害者であっても、平和・共存に向けた活動ができるという希望を見出すことが出来ました。
Ayumi
確かに、ルワンダでは30年前に大量虐殺が起こり、その後の復興と発展ぶりに注目を浴びていますが、まだローカルレベルでは和解活動(大量虐殺の被害者が加害者を赦し、平和的な共存をするための取り組み)が続いています。
ルワンダで起こったことと広島・長崎で起こったことはもちろん大きく異なり、文脈も違いますが、互いに学び合えることって本当に沢山ありますよね。
私もルワンダで平和構築を勉強し、日本にいた時は持つことのできなかった視点と高い視座で、日本の安全保障や世界の紛争について考えるようになりました。
Patrick
最近、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を取ったことも、本当に嬉しく思います。歴史的な価値があり意義深いものだと思います。
そのほかにも、日本武道館で留学生を対象とした、数日間にわたる武道体験セミナーにも参加し、日本文化の理解を深めました。こういった期待以上の経験をすることができたのは、機会に恵まれ、自ら飛び込んで掴み取る勇気があったからだと感じています。
日本での生活について
Ayumi
Q4. 日本での生活で大変だったことや衝撃的だったカルチャーショックがあったら教えてください。
Patrick
最初日本に来た時は、ものの値段が決まっているというシステムがカルチャーショックでした。ルワンダでは値段が決まっておらず、交渉ベースで決めるため、値下げが可能です。でも、慣れるにつれて、全ての売り手が優しいわけではないので、良いシステムだと思うようになりました。
もう一つの困難は、言語の壁でした。ひらがな・カタカナ・漢字の何もわからない状態で来日し、東京外語大で毎日(!)日本語の授業を取りましたが、本当に難しかったです。先生に毎日たくさんの質問をしました。しかし、交流やコミュニケーションの重要性を思い、努力をしました。結果、英語の話せない日本人とも交流できるまでになりました(買い物したり、電車のアナウンスを理解したり)。
もう一つのカルチャーショックは、 挨拶の仕方です。日本ではお辞儀で他人への尊敬を表しますが、ルワンダではハグか握手が挨拶の礼儀です。日本で挨拶の際にハグしたら、周りの人が驚いていました(笑)
Ayumi
確かに、日本語って難しいし、英語が話せる人も少ないですよね…。でもPatrickは、たったの一年とは思えないほど日本語が上手になって沢山の友達を作っていたし、平和に関するセミナーは英語であれ日本語であれ、熱心に参加していたのが印象的でした。
パトリックさんが留学を通してどのように成長したか
Ayumi
Q5. 留学前と留学後の自分を比較して、物事の見方や価値観、個人の行動にどのような変化がありましたか?
Patrick
自分の中で、本当に大きな変化を感じています。帰国して、人と話したり中学生に授業をしたりするとき、「日本ではこうするのに、なぜルワンダではしないのか」と疑問に思うことが本当に多いです。例えば、タイムマネジメント。時間を尊重しないというルワンダの文化はやめた方がいいなあと感じています。
とりわけ自分が大事にしているのは、仕事の倫理にもなりますが、詳細まで配慮し、こだわることです。最近は日常で積極的に取り入れるようにしていて、生徒が「先生はなぜそこまで細部にこだわるのか」とよく聞いてきますが、「細かいことを放置していたら、それがどんどん膨らんで、後で大変なことになるんだよ」と教えるようにしています。
Ayumi
なるほど…。日本の仕事倫理まで学んだんですね。確かに、細部にこだわって精度を上げる価値観と、タイムマネジメントに関しては、私もルワンダ留学中に大きなギャップを感じたかも(笑)。確かにPatrickは帰国後、ルワンダでもイベントとか約束とか、必ず時間を守ってましたよね。周りに左右されない姿に、感銘を受けた記憶があります。
でも、Patrickがそう言った価値観を取り入れようとしても、なかなか周りがついてきてくれないというジレンマやストレスはないんですか?
Patrick
もちろん、ルワンダのシステムが日本とは違うので、そういうフラストレーションは常にありますね。でも、変化というのは少しずつ起こるものだと思っているので、頑張るしかないです。
パトリックさんの今後のビジョン
Ayumi
Q6. 日本から帰国して1年以上が経ちますが、今はどのような活動をしていますか?また、将来どんなことをしていきたいですか?
Patrick
今は、卒論を書きながら、中学校で地理と歴史を教えています。今年の夏休みには、3人の友人と一緒にストリートチルドレンを対象にサマーキャンプを行い、1ヶ月間泊まりこみで基本的な教育や社会に戻れるような支援を提供していました。
日本の留学中に様々な平和への取り組みを自分の目で見て、いろんな紛争地帯や地域から来た人々の原体験を聞くことができました。その経験が私には励みとなり、生涯にわたって平和に向けた活動をし続けたいと思うようになりました。
Ayumi
Patrickが日本で学んだことがルワンダで今行っている一つ一つの活動に活かされていることが伝わってきました。
留学を通して、自分が持っていた「平和への貢献」というビジョンを確信することが出来たんですね。私もルワンダ留学を通して同じような気づきがあったので、とても分かります…。日本とアフリカの学生が相互に行き来し、将来のキャリアや社会に還元していく、貴重な留学プログラムが続くことを切に願うばかりです。最後に、
Q7. 今後、日本とこんな関わりを持っていきたいと言った考えはありますか?
Patrick
もちろん、私の将来のキャリアパスは、いろんな意味で日本と関わっていくことになると思いますし、留学で得たものをキャリアの糧にしていきたいと思っています。
まず、留学中に築いた人脈、つまり大学や勉強でお世話になったコミュニティや、友人と、今後も常に繋がり続ける予定です。日本人の友人とは、個人レベルだけでなく国レベルでも関係を深めていくことができると確信しています。
そして、日本にはJICAやNGOなど国際開発分野で活躍している組織があるので、私が将来ルワンダで開発や平和構築の活動をしていく中で、日本の組織とも関わっていきたいと思っています。
Ayumi
今後も、いろんな場面でPatrickと関わっていけることを楽しみにしています!
今日は、ボリュームたっぷりの素敵なお話をありがとうございました^ ^
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