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こんにちは!Pick-Up! アフリカへようこそ。本日は、先週アメリカがケニアをサブサハラアフリカ諸国(※)の中で初の「北大西洋条約機構非加盟の主要同盟国」として指定したニュースにちなみ、ケニアとアメリカの最近の関係を、安全保障(軍事)・経済・政治様々な視点から解説していきます。
(※サブサハラ・アフリカとは:アフリカ大陸の中で、サハラ砂漠より南の地域=北アフリカを除いた地域 を指します。
地図・外務省より)
最後までぜひご覧ください!
アメリカ、ケニアを非NATO主要同盟国に認定
アメリカのバイデン大統領はケニアのルト大統領がアメリカを訪問中の5月23日、ケニアを北大西洋条約機構(NATO)非加盟の主要同盟国=MNNAとして認定する方針を明らかにしました。
「北大西洋条約機構(NATO)非加盟の主要同盟国=MNNA」とは? NATOに加盟していない国の中で、アメリカにとって軍事的に強い結びつきを持つ国のことです。同盟国になったからといって、自動的にアメリカの集団防衛(その国が侵略等された際にアメリカに軍事的に守ってもらうこと)の対象になるという訳ではありませんが、NATO非加盟国には本来与えられない軍事的・財政的な支援を得ることができます。 |
この肩書きはサブサハラアフリカ諸国の中では初、アフリカ全体ではエジプト・モロッコ・チュニジアに続く4番目ということです。
※日本や韓国、台湾もこの立ち位置にいます。
バイデン大統領は、「我々(アメリカとケニア)の対テロ作戦は東アフリカ一帯のISIS(イスラム国)とアルシャバブの勢力を弱め、ハイチにおける協働の取り組みは(ハイチ・カリブ海周辺の)不安定を改善するための助けとなっている」と述べました。
何が変わる?アメリカ・ケニア間の新しい計画
声明の中で、アメリカはケニアに対するグリーンエネルギーと保健面の製造業に新たに投資すること、そして中国に対して抱えている高額の債務を削減する計画を発表しました。
また、首都を掌握しているギャングの暴力に悩まされているハイチにおける秩序回復への支援に向け、ケニアの警察官1000人がハイチに派遣される予定とのことです。(国連が支援するハイチでのミッションで、アメリカはケニアに2億ドルの拠出をするようです。
アメリカがケニアとの関係を深める背景とメリット
①アフリカ諸国との関係を深める中国に対抗する
アメリカは、今回の会談の中で、「中国が高利融資でアフリカ大陸に投資を進める中で、アメリカはアフリカ諸国にとって中国よりも優れたパートナーになれる」とのアピールをしました。中国はアフリカ諸国に対し、政治的な干渉をしないという特色をアピールしながら、建設部門や農業部門など、様々なセクターに関して進出しています。
※中国とアフリカの関係に関して知りたい方はこちら⇩
※米中のアフリカの資源をめぐる競争に関してはこちら⇩
経済的な結び付きも大切ですが、安全保障・軍事面での結びつきもアメリカは非常に重視しているようです。
西アフリカで西側諸国の存在感が縮減していく中、アメリカはケニアに大きな信頼を置いています(参考記事)。
ケニアがアメリカとの関係を深める背景とメリット
①経済的な援助を引き出す
こちらの記事によると、ルト大統領の今回のアメリカ訪問の主な目的は、重い債務の負担と生活費危機に苦しむケニア経済を改善するために、経済的な機会を得ることだったようです。
ケニアとアメリカはトランプ政権の際から貿易関税を削減する努力をしており、ケニアはアメリカのアフリカ成長機会法(AGOA)という免税拡大のための法の受益国です。
しかしこの法律が2025年に期限切れとなるため、その前に補完的な取引を引き出すことを望んでいるようです。
アメリカはケニアを東アフリカ唯一の民主主義国家として評価しており、ウガンダやルワンダに対してはAGOAの停止や一部不適格などの厳しい態度を取る中、共通の価値観を持つケニアとのパートナーシップを深めていく姿勢を見せています。
②地域の安定に向けたケニアの熱心な取り組みの姿勢
二つ目の理由には、ケニアの周辺地域の安定に向けたイニシアチブを取る近年の政策が関係しているようです。
こちらのBBCの記事によると、ケニアは以下の成果をあげています。
★エチオピア北部・ティグレ地域で2020-2022年に起こった紛争に関して、ケニアが和平協定を監督
★コンゴ民主共和国(DRC)東部で続く反政府武装組織による混乱によって関係が悪化している周辺諸国(大湖地域 ※下の豆知識を参照)間の仲介。東アフリカ共同体(EAC)加盟国の軍事力を試すために関与。
★ソマリアにおけるイスラーム勢力アル・シャバブ(Al-Shabab)の掃討作戦
★豆知識〜アフリカの大湖地域とは?★ アフリカ東部にはタンガニーカ湖やアルバート湖をはじめとする湖が何個もあります。その湖に接する国々を合わせて、大湖地域(The Great Lakes Region)と呼びます。ウガンダ・ルワンダ・ブルンジ・コンゴ民主共和国のことを指す場合が多いですが、ケニアやタンザニアも合わせて大きな括りで考える場合もあります。 大湖地域の国は、国境で区切られているとはいえ同じ文化や民族的な起源を共有しているという特徴があり、国境を跨いで、または一つの国から隣の国に伝播して、紛争や対立などが続いており、とても複雑な状況にあります。 |
特にイスラーム勢力アルシャバブに関しては、ケニアにとって安全保障面での大きな脅威となっています。
下のグラフはケニアにおけるアルシャバブの攻撃と犠牲者の数を示したものです。決して少なくない数の犠牲者が、ケニア国内でも生じていることがわかります。
アルシャバブによる攻撃はソマリアとの国境付近に集中しています。
アフリカ連合の平和維持部隊が今年末に撤退するため、ケニアは国境沿いでの存在感を高める計画だとのことです。
また、アメリカから米国製のヘリコプター16機・装甲車150台を受け取る見込みで、これはケニア主導の作戦を大幅に後押しする可能性があるそうです。
終わりに
いかがでしたでしょうか?今回はアメリカとケニアの関係に関してクローズアップしました。Pick-Up! アフリカは、引き続きアフリカ諸国の外交関係を更新していきます。
お楽しみに!
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