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こんにちは!Pick-Up!アフリカです。
今回ご紹介するのは、野生動物から見た、干ばつが引き起こす影響についてです。
みなさんは、サバクトビバッタの大量発生(記事はこちら)で有名な「アフリカの角」で、深刻な干ばつが起きていることは、ご存知でしたか?
干ばつが引き起こした影響は農業の分野や人間の生活だけに留まらず、動物にまで及んでいます。
元記事で扱っている個体数の減少を例に、干ばつがもたらしている影響と人間との関わりについて、自然保全・保護での取り組みなどの観点からご紹介します。
元記事:https://www.ifaw.org/international/journal/drought-human-wildlife-conflict-threaten-giraffes
野生動物が減少してる?
こちらの記事では、キリンの個体数が過去30年で全体の40%を失っており、深刻な状況に陥っていますが、絶滅はゆっくりと起きているため、人々に気づかれていないと記されています。
また、昨今のキリンたちを脅かす重大な要因の1つに深刻な干ばつが挙げられ、影響を及ぼしていると考えられています。
この進行中の干ばつは、人間と動物両方の食料と水不足だけでなく、人間と野生生物の争いまでも引き起こしているようです。
元記事に取り上げられている絶滅危惧種のマサイキリンについて調べたところ、主な生息地はケニアとタンザニアであり、現在の個体数は、推定3万5000頭生息していると予想されています。
現在の個体数は、30年前に比べて半数近くまで減少しており、今回の干ばつの期間に当たる2022年6月から11月の間に93頭のマサイキリンが死亡したと元記事で報告されています。
キリンの個体数減少には、生息地の衰退と分断化、密猟、規制されていない国際取引の脅威、繁殖率などが密接に関与しているとされています。
要因の一つである、生息地の衰退と分断化では、マサイキリンを含めたキリンの主要な生息地の数が95%減少したとBBC(詳しくはこちら)が取り上げています。
密猟や規制されていない国際取引の脅威では、ケニアとタンザニアにおいて、キリンの狩猟は違法であるにもかかわれず、皮や肉、骨、尾の獲得を目的に密猟が行われているそうです。
IUCNによれば、タンザニアのセレンゲティ国立公園では、毎年全個体数の約2〜10%が密猟の犠牲になっていると謳っています。
また、キリンの繁殖率が低いことも個体数が増えないことに繋がります。
キリンが生涯のうちに出産できる頭数は、5〜6頭とされており、妊娠期間は、15ヶ月であり、一度に1頭しか産めないそうです。
そして、捕食動物が多い地域でのキリンの子どもの生存率は50%にも満たないようです。
これらは、キリンの出生率が死亡率よりも低いことを示しており、このままではキリンが絶滅してしまうと懸念されているのです。
実は、個体数減少はキリンに限ったことではなく、他の動物でも同じような状況にあると考えられています。
アフリカに生息するゾウは、1979年から2016年の37年間で、134万頭から42万頭にまで減少したとされて、約30%のアフリカゾウが絶滅したという計算になります。
アフリカゾウにおいても、密猟や生息地の減少と分断、害獣としての駆除などにより、個体数が減少しているそうです。
干ばつの発生と影響
今回の干ばつは過去40年間で、最も深刻であると報道されています。
通常のアフリカの気候に触れつつ、今回の干ばつを掘り下げていきます。
アフリカでは、雨季と乾季があり、年に2回交互に訪れるようです。
「アフリカの角」のエチオピア、ケニア、ソマリアの平均年間降水量は、およそ500−2000mm、500−2000mm、50−500mmとされています。
ちなみに、日本の平均年間降水量は1500-2000mになります。
国際連合広報センターによると、雨季の降水量が5年連続で平年を下回ったと報道されています。
今回の干ばつでは、2020年10月から雨季がなく、現在も十分に雨が降っていないと報道されており、気候変動による降水量の減少とラニーニャ現象が起因していると考えられています。
さらに、気温上昇が、大地に残ったわずかな水さえも蒸発させている状況だそうです。
その結果、慢性的な牧草地と水の不足により、家畜の死亡や作物が十分に育たない事態に陥っていると国連WFPが取り上げています。
2022年6月から半年の間、ケニアでは最低でも6093頭の野生動物が死亡していると記されています。
また、ケニア国内の記録上、過去のどの干ばつよりも野生生物の死傷者が多く、生き残っている多くの野生動物たちもやせ細った状態で、今後も死傷者が増えると予想されているのです。
今回の干ばつの影響は野生動物と人間との共存にも影響を及ぼしていると記事では紹介されています。
本来、野生動物は水や餌を求め移動を繰り返し、生息地を変えているため、今回のような干ばつによって、水や餌が入手困難になることで、動物は人間の生息地にそれらを求め侵襲しているそうです。
それが動物と人間との間に新たな摩擦をうみ、今回の記事でも紹介されている、動物と人間との間に対立が生まれ、問題を作り出す結果に繋がっているようです。
人間との関わり
記事でも紹介されているように、今回の干ばつは野生動物と人間との間に対立を生み出しているのですが、これは元来の現地の人々と、野生動物との関係性から読み取れるものも多いです。
ここでは、これまでどのような関係が築かれてきたのか、アフリカの歴史を交えながら、紐解いていきます。
古くは、人間と動物の生息地の境目があまりなく、お互いの生活圏を行き来していたと考えられています。
人類の進化初期、アフリカにおいて野生動物の狩猟は、主な生計の手段とされていました。
農耕が広がり、家畜を飼育するようになり、野生動物に頼る必要性が下がりましたが、古代の王国と取引が行われ始めたことにより、貿易品として象牙や皮革などの資源の需要が高まったようです。
しかし、1830年前後にヨーロッパの自然保護思想が注目を浴び、植民地時代に野生動物と自然環境を保護する目的でアフリカに保護区が設置されました。
保護区の設定は、現地の人々の生活を一変させるものだったようです。
もともとその地域に住んでいた人々は、移住を余儀なくされ、家畜の放牧地の限定や狩猟の禁止などの生業活動の制限なども課されたとされています。
1980年代に入り、地域住民に対する不当な対処は非難を受け、自然保護と住民生活の両立を目指す動きに変わったそうです。
人間も動物も新たに定められた範囲で生活を送っていましたが、時たまお互いの生活圏を越えることもあったとのことです。
しかし、今ではその頻度が上がってしまい、お互いの生活に弊害が起きているとされています。
ケニアでは、家畜の群れを拡大することで牧草地が減少してしまい、家畜の餌場を求めて、保護区の中にウシなどを移動させることもあるようです。
野生動物もまた、水や食べ物を求めて、人間の生活圏に侵入してしまうそうです。
野生動物による農作物の被害や家畜被害に苦しんでいるという記事も見かけました。
干ばつの影響が輪をかけて、人間と動物の関係を深刻化させているとされています。
野生動物が生きていく上で頼っている川や水たまりが干上がり、生息地の牧草地などの植物が少なくなっていると考えられています。
彼らが水と餌を求めて、人間の生活圏に侵入してしまった結果、何十頭ものゾウが殺されているようです。
ケニアやソマリアの国境沿いでは、アミメキリンが活用している水源までの経路を遮るように、タナ川沿いに新しい農場が作られているそうです。
キリンたちが水場に近づかないように、現地の農家はわな、槍、溝を用いて対策を講じていると元記事でも取り上げられています。
また、干ばつの影響で、食料目当ての密猟も深刻化しているとされています。
ケニアの北部では、農家の収入源が減ってしまい、それを補う形で密猟が増加していると言われています。
牧草保護区に生息するグレビーシマウマが密猟されている地域もあるようです。
その一方で、2015年からワイヤーフェンスの導入と追い払いチームを編成し、対策を取っている地域もあるようです。
これまで取り組まれた活動
キリンの保護活動についてChatGTPに質問したところ、個体数の監視と調査、生息地の保護と復元、法的保護と規制、教育と啓発、国際的な協力などいくつかの種類があるようです。
ゲームレンジャーは野生動物の生息数の把握、フェンスの修正、密猟から野生動物を守る取り組みを行っているとされています。
Olgululuiコミュニティワイルドライフレンジャー(OCWR)は、法的保護と規制、教育と啓発の観点からキリンを含めた野生動物の密猟などの野生生物犯罪に取り組んでいるようです。
レンジャーに対して、犯罪現場を管理するトレーニングを行って、犯罪現場の重要な証拠の保存、保護、文章化に取り組んでいるそうです。
その取り組みにより、密猟者や違法取引業者の有罪判断率を高めるのが目的です。
元記事で取り上げられている、2019年にワシントン条約第18回締約国会議で、ケニアを含む6つのアフリカ諸国が、キリンを付属書Ⅱにリスト入りすることを提案し、政府が賛成票を投じたことは、国際的な協力に含まれます。
また、IFAWは、政府と現地の両方面からキリンの保護に取り組んでいる団体であり、生息地の持続性を高める運動を行っているそうです。
このような活動は、キリンだけでなく、他の野生動物に対しても行われているとされています。
シマウマ保護団体は、餌となる牧草を補い、グレビーシマウマを干ばつから救う活動をケニア内の3保護区で展開しているようです。
その活動により、オリックスやバッファローなど動物においても恩恵を受けているとされています。
一方で、ゾウ保護団体は、人間の生活圏に迷い込んできたゾウとの衝突から住民を守る活動に専念しているそうです。
今後も個体数の監視と調査、生息地の保護と復元、法的保護と規制、教育と啓発、国際的な協力を中心とした地道な取り組みが行われると予想されます。
野生動物の違法な狩猟に関する規制の取り組み(記事はこちら)
<豆知識> ワシントン条約 「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」といい、1973年にワシントンで採択されました。 付属書Ⅱ 国際取引を規制しないと絶滅の恐れのある種が掲げられており、商業目的の取引はできますが、輸出国政府の管理当局が発行する輸入許可証が必要である 引用文献:https://www.customs.go.jp/mizugiwa/washington/washington.htm |
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