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皆さんこんにちは、pick up! アフリカです!
先週、“アフリカにおけるコロナの今”について紹介しました。その中で、ワクチンの普及率の低さや普及することの難しさについて取り上げ、そこから、アフリカにおける医療の問題点が見えてきました。
今回は、アフリカにおける医療の現状と問題点をAHAIC 2023という2023年3月に開催されたアフリカの医療に関する国際会議に関する記事とともに紹介していきたいと思います。
2023年2月のアフリカにおけるコロナの現状についてはこちら:
AHAIC 2023について
AHAIC 2023とは、Africa Health Agenda International Conferenceの略称で2023年にアフリカのルワンダ・キガリで三日間開催された、アフリカにおける紛争、食糧危機、気候変動などで起こる問題を気候、医療からの視点で改善可能、持続可能な解決方法を探る国際会議です。
Amref Health Africa、ルワンダ保健省、アフリカ連合、アフリカ疾病管理予防センターやアフリカ各国の医療従事者、研究者などが参加しました。
その中で、いくつか挙げられた問題がこちらです。
・必要な時に必要な医療を受けられない
・NCDs(不健康な食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒、大気汚染などにより引き起こされる、がん・糖尿病・循環器疾患・呼吸器疾患・メンタルヘルスをはじめとする慢性疾患)の増加
・海外での医療品の生産に大きく依存しているため、必要な医療品を安定的に供給できない
・ワクチンが打てない
・気候変動、食料、エネルギー価格などによりアフリカ経済に負担
・気候変動の影響で栄養失調に直面する子どもや妊婦、授乳中の女性の増加
各項目を詳しく見ていきましょう。
アフリカの医療問題
1.必要な時に必要な医療を受けられない
今回の議会のレポートでは、アフリカの市民の半数は必要な医療を受けられておらず、なおかつ、アフリカ大陸の医療サービスの質はあまりよくないと言われています。治療を受けることが出来ない理由として、人口の62%が田舎に住んでいるにもかかわらず、病院の50%以上が大都市に集中しており、緊急を要していても遠すぎるという点もあります。また、戦争で国境なき医師団など医療支援にきた団体の病院が壊されてしまい、治療できない事案が多く発生しているとも言われています。
2.慢性疾患の増加
こちらの記事によると、2030年までに、非伝染性疾患による死亡者数が、感染症による死亡者数、子供の死亡者数、胎児の死亡者数、およびすべての女性の死亡者数を合わせた数を超えると予測されています。さらに、糖尿病自体による死亡者数は 28% 増加する可能性があり、アフリカでは 5,500 万人が糖尿病で死亡し、約 70 万人が癌で死亡する可能性がある、との発表がありました。ただ、アフリカ内で自身の病名を把握している人は18.4%しかおらず、例えば、高血圧や血糖値が上がったとしてもすぐに検査できる環境にない人が多数なので、すぐに病気に気づくことができていないようです。
3.必要な医療品を安定的に供給できない
また、議会内では、アフリカは、世界の疾病負荷の最大 25% を負担している一方で、世界の医薬品の3%未満しか生産できていないことを課題として挙げました。その原因として、アフリカ内に医療品を生産できる工場が少なく、どうしても生産を外国からの輸入に依存せざるを得ないということがあります。そのため例えば、皮ふ感染症、咽頭炎、梅炎毒などの性器感染症、手術後や外傷への二次感染の予防など、さまざまな感染症に使用されるアモキシシリンカプセルが地方の病院で平均 134 日在庫切れを起こすという現状があります。
4.ワクチンが打てない
以前、こちらのPick Up!アフリカの記事でも紹介しましたが、アフリカではワクチン接種が大きな課題となっています。これは、コロナだけでなく、麻しんなどの別の病気も課題となっています。例えば、子宮頸がんはワクチンを打つことで予防できる病気ですが、アフリカの女性人口は世界の 14% しか占めていないにもかかわらず、全世界の子宮頸がんによる死亡の 3 分の 1 以上がサハラ以南のアフリカで発生しています。また、2019 年には、世界の予防接種を受けていない子供たちのほぼ半数が、紛争地域、到達が困難な地域、都市の貧困地域など、深刻な社会的および経済的困難に直面している地域社会に大部分が住んでいるアフリカにいました。それには、ワクチンを打てる環境になかったり、または、ワクチンを生産する工場がないためアフリカ以外からの地域の輸入に頼るほかなく、届いたころには期限が短くなっていてうち切れないなどの課題があります。
5.アフリカ経済への負担
市民は医療費のほぼ半分を自己負担していたり、一部の国では費用の 90% を負担しています。保険未加入率の高さも目立っていて、アフリカ大陸の保険普及率は 2.8% と世界平均の 6.3% を大幅に下回っています。そのため、高い医療費を自費で賄わなければならず、医療費のためにさらに貧困になってしまうという負のループが続いています。ですが、国家が医療のために充てる費用は少なく、病院側も施設費が足りなかったり、また、給料が低いために大規模なストライキが起こったこともあります。
6.栄養失調に直面する子どもや妊婦、授乳中の女性の増加
こちらの記事によると、気候変動によるアフリカ南部での季節的な雨と熱帯低気圧による洪水により、今世紀半ばまでに 15 歳未満の子供の下痢による死亡が 20,000〜 30,000 人増えると予測されています。また、出産の際に病院に行けない女性も多く、そのため、不衛生な環境で出産し、母子ともに病気に感染してしまうことが多くあります。さらに、食糧が足りず、栄養が足りないまま生活し免疫力が少ない状態で生活することで感染症にかかってしまうケースもあります。それ以外にも、きれいな水が飲める環境になく、川などから汲んできた汚れた水を飲むことで下痢などにつながり死亡してしまうことに繋がります。
まとめ
このように、今のアフリカの医療には色々な問題が多く、すべての人に医療が行き渡っている状態では決してありません。不健康な人は、健康になるためにわずかな資金と多くの労力を費やしてしまい、貧困状態が続き、満たされない生活を強いられる可能性があります。また、気候変動や戦争などで環境が変化し、さらに状況が悪化することもあります。
そんな状況を打破するために、多くの企業が自社の技術を駆使して、改善のために活動しています。中には、現在、主に仮想通貨や銀行のシステムに利用されている技術であるブロックチェーン技術などを使用して、アフリカの医療システムを改善する動きもあります。
また、アフリカにおける最新の技術を使用した医療技術などについて紹介していきます。
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