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こんにちは!Pick-Up!アフリカです。
アジェンダ2063に関して記事にしていくアジェンダ2063シリーズ!
第6回は、人間開発に不可欠な教育について見ていきます。
アジェンダ2063の概要について詳しく知りたい方はこちら↓
「アジェンダ2063」には20項目の目標があり、その2番目には、「よく教育された市民と科学・技術・革新に支えられた技能革命」が掲げられています。
今、アフリカの教育には何が求められているのでしょうか??本日は、以下の内容について見ていきます。
・アジェンダ2063に掲げられた具体的な教育目標
・目標に対する達成度合い
・目標達成に向けた各国とAUの取り組み
アジェンダ2063に掲げられた教育目標
AUの報告書によると、アジェンダ2063の2番目の目標、「よく教育された市民と科学・技術・革新に支えられた技能革命」の具体的な達成目標として、以下を掲げています。
・基礎教育(初等教育)への就学率が100%に達すること。
・STEM分野(科学、テクノロジー、工学、数学)の資格を持つ教員が、全教員のうち少なくとも30%を占めること。
・中等教育(工業高校を含む)への就学率が100%に達すること。
さらに、AUは、アジェンダ2063の取り組みによって得られる成果として、以下のものを期待しています。(参考記事)
・高等教育を受けられない子どものうち、70%がTVET(技術教育及び訓練並びに職業教育及び訓練、Tertiary Vocational Education Training)に通うこと。
・三人に一人の子どもが幼稚園に行くこと。
・若者が国を跨いで好きな大学に行ったり、好きな場所で働いたりできるようになること。
これらの目標から、アジェンダ2063では基本的な教育の普及と、科学・技術分野の人材育成を重視しているようです。
これまでの達成度合い
アジェンダ2063は2014年〜2063年の50年間に及ぶプロジェクトですが、現在は最初の10年間(2013年〜2023年)の実施計画が実行されています。そこで、AUは2019年・2021年までの達成度合いを報告書にまとめています。
成果報告書によると、2021年までの達成目標に対する実際の総合達成率は44%に留まりました。
より詳しい2021年の達成目標と実際の達成率は下の表をご覧ください。
2013年時点の値 | 2021年までの達成目標 | 2021年時点の達成率 | |
幼稚園の就学率 | 29% | 75% | 45% |
初等教育の就学率 | 79% | 96% | 86% |
中等教育の就学率 | 34% | 87% | 52% |
STEM分野の資格を持った教員率 | 44% | 54% | 51% |
特に幼稚園と中等教育学校への就学率は目標を大きく下回り、報告書によると、新型コロナの影響により多くの子どもが学校に入学できなかったとのことです。
特に初等教育の就学率が9%落ちたマダガスカルでは以下の問題がみられます。
・教員が不足しており、研修が不十分な教員の割合が大きいこと。
・授業期間と農作物の収穫時期が被っていること。
・自然災害によって授業が頻繁に中断されること。
一方、アフリカが力を入れているSTEM分野の資格を持った教員率に関しては、目標に近い達成率を修めています。
達成に向けた主な取り組み
AUに加盟する各国の取り組み
目標達成のためには、各国の政府が積極的な政策を講じることが不可欠です。各国は、教育に関する国の予算を増やし、教育の無償化や、教育分野の管理能力向上のために教員評議会を設置するなどの取り組みを求められています。具体的にいくつかの国の取り組みをご紹介します。
例えば、東アフリカ沖に位置するセーシェル共和国では、国家予算のうち教育が2番目に多い割合を占めており、2021年度の初等教育就学率は93%に達しました。
また、ケニアではFree Day Secondary Education(FDSE)という政策のもと、中等教育の授業料の削減と教材の提供を行いました。その結果、中等教育の就学率は10年で約10%上がりました。
その他にも、ナミビアではTVET(技術教育及び訓練並びに職業教育及び訓練、Tertiary Vocational Education Training)を利用しやすくし、高等教育への民間投資を促進しています。
AU全体での取り組み
アジェンダ2063の目標を達成するため、AUは「15の旗艦プロジェクト」を行っています。その一つに、「パン・アフリカバーチャル・電子大学」(Pan African Virtual and E-University、PAVEU)というプロジェクトがあります。これは、ICTを活用したプログラムを使い、アフリカの各地にいる学生と専門家に高等教育と持続的な教育の提供を可能にするものです。このプログラムは質の高い学習を提供するとともに、距離・時間・費用の障壁を越え、多くの学生が大学へアクセスできることを目的としています。(参考記事)
実際にAUは 2011年にパン・アフリカ大学(The Pan African University)を設立し、10種類のオンラインコース、コンテンツ、カリキュラムを提供しています。この大学の5分野の研究機関が、5つの地域におけるアフリカ各地の優秀な大学の中に組み込まれています。分野としては、技術革新分野、水とエネルギー科学、宇宙科学などがあります。研究所の場所はナイジェリア・ケニア・アルジェリア・カメルーン・南アで、アフリカ全土に分散しています。(参考記事)
まとめ
アフリカでは、特にSTEM分野に力を入れ、基本的な教育の普及を目指しています。近年は新型コロナの影響や質の低い教育資源、自然環境など、さまざまな要因が教育の普及に悪影響を及ぼし、達成率は44%と低くなっています。しかし各国政府だけでなく、AU全体の大きな枠組みの中で、アジェンダ2063達成に向けた取り組みが進んでいます。
今後、アフリカの教育はどのように進んでいくのでしょうか。Pick-Up!アフリカでは、今後もアフリカの教育に関する情報を発信していきます。お楽しみに!!
教育に関する過去の記事はこちら↓
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