目次
こんにちは!Pick-Up!アフリカです。
アジェンダ2063に関して記事にしていくアジェンダ2063シリーズ!
第三回は、物流と貿易から、についてご紹介します。
アジェンダ2063の概要について詳しく知りたい方はこちら↓
元記事:
https://allafrica.com/stories/202207030068.html
「Africa: Era of the African Passport – a Mixed Bag of Opportunities?」
これまで、アジェンダ2063の「15の旗艦プロジェクト」の「アフリカ統合高速鉄道ネットワーク」と「アフリカの単一航空市場(STAAM)の創設」の現状・進捗を説明してきました。今回も、「15の旗艦プロジェクト」から「アフリカパスポートとヒトの自由な移動」の現状を紹介していきます。
アフリカ連合(AU)は、アフリカの人々が大陸内を自由に移動できるようになることを目指しています。しかし、現在のアフリカではビザなしで海外に渡航することは困難です。アフリカの諸国のパスポートでは渡航可能な国がかなり制限されており、ビザなしでは10~40ヶ国にしか渡航することができません。
そして、アフリカ大陸全体を回るとしたら30のビザが必要であり、これらのビザの有効期限が1か月しかないため、頻繁に移動するには不向きだと言えます。このような不便さが、アフリカの域内貿易の障害にもなっているそうです。
今回ピックアップした記事では、人の自由な移動を実現するために進められているアフリカパスポートの現状と展望、課題についてまとめられています。
アフリカパスポート発行という概念
アフリカパスポートとは、現在のように各国がパスポートを発行している制度とは異なり、アフリカ大陸内で使われる共通のパスポートで、このパスポートが流通することでアフリカ大陸すべての国にビザなしで訪れることができるようになるとのことです。有効期限が5年の通常パスポートと、出張など臨時の旅行者向けのパスポート、また外交官向けのパスポートの3種類に分かれているとのことです。
アフリカパスポートは2016年にルワンダのキガリで打ち出されたと書かれています。当初は、2017年までに大陸内での自由貿易を実現し、2018年までにアフリカの人々の大陸内の移動に対してビザをなくし、2020年にはアフリカパスポートが利用される予定でしたが、新型コロナウイルスの影響もあり予定より大幅に遅れており、アフリカパスポートはまだAUの職員、外交官、政府指導者にしか配布されていないとのことです。
アフリカパスポート発行には、アフリカ大陸内の自由な移動を目指すだけでなく、アフリカ諸国の法律を変えるという目的もあります。自由な移動を阻害している現在の法律を変えることでアフリカ大陸内に利益をもたらそうと考えています。
新型コロナウイルスの影響を大きく受けたとはいえ、2022年は進展があった年と言えます。こちらの記事によりますと、2020年と2021年には国境閉鎖や渡航禁止など、国外旅行の機会が失われていたにも関わらず、2022年はビザの開放が進み、ピーク時の2020年に匹敵するほどになったとのことです。
現在、アフリカのすべての国をビザなしで受け入れている国は2016年の1カ国から3ヶ国まで増加しており、55カ国中48カ国は1カ国以上とのビザなし渡航を許可しているということです。各国で、特定の国とのビザなし渡航の合意が進められているそうです。
こちらの記事では、ケニアとエチオピアがビザなしの渡航を互いに合意したと書かれています。このように、国同士でビザなし渡航が進められている中で、アフリカ大陸全体でビザをなくした移動を可能にしようとしています。
アフリカパスポートの展望
AfCFTAの要素のひとつでもあるアフリカパスポートは、国境開放によりアフリカ域内の移動に際する手続きを最小限にすることで障壁をなくし、アフリカ域内の貿易、製造、商業の促進が期待されています。
アフリカパスポートは多くのメリットがあるとされてます。一つ目としてあげられているのは、観光業の促進です。アフリカの国の多くは、観光業を重要な収入源としてみなしている国が多く、特にケニア、タンザニア、南アフリカといった国は、観光業を主要な産業としているとのことです。アフリカパスポート実現後の人の自由な移動による観光業の活発化が期待されます。
二つ目に、大陸内を自由に移動できるようになることで、雇用の機会が増えると考えられています。色々な国で求職できることから、失業率の低下につながるとされています。
また、アフリカパスポートは電子パスポートであるため、移動した人の追跡が可能であり、違法な移動を、より安全に旅行できるサービスへと導く効果もあるとのことも記事では書かれています。そして、犯罪者やテロリストを追跡するのに役立つだけでなく、不法移民とそれに伴う死者を減らすことにも繋がるとのことです。
上記以外にも、国境を越えたインフラの改良や国交管理の放血的なアプローチの作成など様々な機会の創出につながると記事内では書かれています。
アフリカパスポートの課題
では、なぜ多くのメリットがあるにもかかわらず、アフリカパスポートは進まないのでしょうか。そこには様々な懸念点が存在することがあげられています。
まず一つ目に、アフリカパスポートを進める上でテロ活動が活発化しないかという懸念があるとのことです。国境が開かれることによって、広域でのテロ活動が起こることが予想されています。また、移民流入を心配する国や、ビザを収入として考えている国が存在する可能性があることから、アフリカパスポートの実施はスムーズには進まないと考えられています。
次に、パスポートの運用方法にも疑問点があげられています。具体的には、アフリカパスポートは各国のパスポートと併用されるのか、各国のパスポートに変わるものなのかという問題があげられています。
また、人が移動したとしてもインフラが整っていないという課題が依然として残ると考えられます。そのため、インフラへの投資を先にするべきではないかという意見もあります。
アフリカパスポートは実現すれば、アフリカ内の貿易を活発化させる大きな一歩となることが予想されますが、実現までの課題も多く残っているようです。アフリカパスポートの進捗には、今後も目が離せません。
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