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題:ガーナがアフリカで初めて国家規模の医薬品eコマースプラットフォームを開始
英題:Africa: Ghana Launches Africa’s First National-Scale Epharmacy Platform
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キーワード:アフリカ ガーナ 医薬品 eコマース
こんにちは!Pick-Up!アフリカをご覧いただきありがとうございます。
本日は、ガーナのeコマースに関する記事をピックアップしました。
Pick-Up!アフリカでは以前にもこれらの記事(南アフリカにおけるeコマース、農業分野のeコマース、eコマースのマーケットポテンシャル)でアフリカのeコマースについてご紹介しましたが、今回は医療分野に焦点を絞り、ガーナの医薬品流通で用いられるeコマースについてお伝えしていきます。
ガーナの医薬品eコマースプラットフォーム
具体的に、今回ピックアップした記事では、先月ガーナにおいてアフリカで初めて国家規模の医薬品eコマースプラットフォームの運営が開始されたと紹介されています。
the National Electronic Pharmacy Platform (NEPP)と呼ばれるこのプラットフォームでは、ガーナ政府によって認可された薬局が提供する医薬品のオンライン販売が行われています。アプリ、ショートコード、ウェブサイトを通した商品の注文ができるようで、購入された商品はNEPPの一連のサービスにより消費者の元まで配送されると記事では述べられています。
このプラットフォームの特徴としては、副大統領のイニシアチブの下、Pharmacy CouncilやFood and Drugs Authorityという国家機関によって運営されていることが挙げられます。このような公的なイニシアチブの下でNEPPは運営開始時点からガーナ国内全土で事業を実施することに成功し、こうした中でNEPPは国民全体に普及しうるプラットフォームとして注目を集めています。
NEPPへの期待
記事では、NEPPが普及していくことで、主に以下の効果が得られることが期待されています。
一つ目は、消費者が医薬品を購入する際にかかる時間的コストの改善効果です。以前こちらの記事で道路、交通インフラ整備不足や医療機関の不足といった理由から、サブサハラアフリカでは通院に2時間以上かかる人口が全体の3分の1程度存在することをご紹介しました。これと同様の理由によりガーナの消費者が薬局に行く際にも多くの時間がかかってしまう状況がありますが、NEPPが提供する医薬品デリバリーの利用により消費者が薬局に赴く必要がなくなるため、このプラットフォームの普及がこうした時間的コストの問題を改善すると考えられています。
2つ目は、医薬品の価格を減少させる効果です。記事では、ガーナやアフリカではインフラの問題により人々の行動範囲が限られるため薬局同士の競争が不十分であり、規制が行き届いていない中で薬の価格が高く保たれていると述べられていますが、NEPPの利用が普及するにつれてガーナ国内の医薬品業界全体における競争や、プラットフォームに登録されている薬局同士の競争が活性化されてこうした金銭的コストの問題も改善されていくのではないかと考えられています(参考記事)。
そして3つ目は、偽造医薬品の問題を改善する効果です。アフリカでは偽造医薬品は大きな問題として挙げられており、その影響も大きく、実際にこちらの記事では、2013年から2017年までにアフリカで報告された偽造医薬品の量は世界の42%を占めており、これにより毎年約10万人がアフリカで命を落としていると述べられています(参考記事)。これはガーナも例外ではなく、これが国内で広く流通している状況があります。
記事では、徹底的な品質管理を行う機能を持つNEPPが普及することによってこうした問題が改善されるのではないかと期待が寄せられています。具体的に、NEPPは医薬品の規制を行うFood and Drugs Authorityのデータベースとリンクしており、専門家や薬剤師がそれを用いて逐一品質のチェックを行うことで偽装医薬品の流通を防いでいます。こうしたことから、NEPPが普及すれば、偽造医薬品を売る薬局やオンラインプラットフォームが淘汰され、その流通量が削減されていくと考えられます。
医薬品eコマースビジネスの成功のためには
先ほどガーナのプラットフォームで品質管理により偽造医薬品の流通を防ぐ取り組みが行われていることをご紹介しましたが、こうした動きはアフリカ全体で広がりつつあります。実際に、アフリカ各国の医薬品に関する法規制の統一や強化による偽造医薬品の排除を目指すAfrican Medicines Agencyの発足がAUによって先日決定されるなど、積極的な取り組みが行われています(参考記事)。
このようにアフリカ全体で医薬品の品質に対する意識が高まっている状況を見ると、今後アフリカでの医薬品eコマースビジネスを成功させるためには、利便性のみならず、品質を保証出来るかどうかがさらに重要な要素になってくるのではないかと思います。
また、インフラの欠如が医薬品を購入する際の消費者側のコストの問題を引き起こしていることをお伝えしましたが、これはeコマースのデリバリー側にとっても同じことが言えます。具体的に、こちらの記事では不十分な物流網や道路インフラのためサブサハラアフリカ全域では米国よりも商品の輸送に最大5倍の費用がかかり、アフリカで最大の経済規模をほこるナイジェリアでも南アフリカでの輸送と比べて約3倍の時間がかかる可能性があることが示唆されています。
このことから、医薬品を含めたアフリカのeコマースビジネス全体では運営コストをいかに下げるかが課題になるのではないかと思います。
ルワンダのユニコーン企業であるZiplineはドローンを用いることで運営コストを削減し、最新のコールドチェーン技術によって提供するワクチンの品質を保証していますが(参考記事)、このような形でイノベーティブな技術を積極的に導入していくことがアフリカにおける医薬品eコマースビジネスの成功に繋がるのではないかと思います。今後のビジネスの動向に期待したいです。
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参考記事:
1.アフリカの医療問題を改善する遠隔医療ーその期待と課題とは?【Pick-Up! アフリカ Vol. 18:2022年3月22日配信】-Link
2.Pharmacy Council Ghana and Allied partners develop the first National Electronic Pharmacy Platform in Africa-Link
3.Fake drugs: How bad is Africa’s counterfeit medicine problem?-Link
4.アフリカで急成長の偽造医薬品市場、毎年10万人が死亡-Link
5.Establishment of African Medicines Agency: A critical step in achieving health security-Link
6.アフリカ:ドローンでヘルスケアに革命を起こしている企業【Pick-Up! アフリカ Vol. 30:2022年5月10日配信】-Link
関連記事:
1.南アフリカ:eコマースと物流の現状と今後【Pick-Up! アフリカ Vol. 19:2022年3月23日配信】-Link
2.コロナ禍でアフリカの農業に変化?eコマースが農業の流通を変える【Pick-Up! アフリカ Vol. 2:2022年1月21日配信】-Link
3.アフリカ物流市場のマーケットポテンシャルとは?【コラム – Vol. 6】-Link
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