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題:アフリカが遠隔医療のネクストフロンティアになるためには
英題:‘How Africa can be next frontier for telemedicine in the world’
内容と背景:
こんにちは!Pick-Up!アフリカをご覧いただきありがとうございます。
本日は、アフリカの遠隔医療についての記事をピックアップしました。
遠隔医療とは、距離を隔てた医療機関間、医療機関・患者間でインターネットやテレビ通話などの情報通信技術を用いて行われる医療行為のことを指します。コロナ禍におけるテレコミュニケーションの増加に比例して普及が進んでいる診断、診療手法であり、中国やアメリカで爆発的に利用者が増加する中、アフリカでも徐々に拡大しつつあります(参考記事1, 2)。
今回の記事では、こうした遠隔医療が、今後アフリカの医療の問題、特に医療ケアのアクセスの問題の改善に貢献する可能性が示唆されています。
アフリカにおける医療アクセスの現状
世界と比べてアフリカの医療アクセスは限られており、実際にこちらの記事では、2015年時点で、全世界で必要最低限の医療ケアを受けることが出来た人の割合は94%にのぼるのに対し(参考記事4)、アフリカの農村部においては、その割合は現在約17%にしか及ばないことが紹介されています。
こうした状況の原因としては、主に2つのことが考えられます。1つ目は、医療従事者や医療施設の不足、またインフラの欠如により物理的に通院が困難な場合があるという事です。特に医療施設の不足について、こちらの記事では、ナイジェリアを例にとり、人口1億2000万の日本での医療施設数が18万なのに対し、人口2億のナイジェリアでは4万施設しか存在しないことが紹介されていますが、このような病院不足の状況の中で、サブサハラ地域で通院に2時間以上かかる人口は全体の3分の1にも及ぶとされています(参考記事6)。
2つ目は、金銭的な問題です。サブサハラアフリカにおいて人口の40%が貧困ラインの生活水準を下回っている状態の中、近代的な医療ケアを受けることが出来るのは富裕層に限られています(参考記事7)。
遠隔医療への期待
具体的に、遠隔医療は上記のようなアフリカの医療アクセス問題の改善にどのように貢献するのでしょうか?
実際のところ、遠隔医療の通院が不要であるという特徴により、医療アクセスの問題が改善されることが見込まれています。診療から治療までを、テレビ通話、薬の配達といった形で遠隔で行うことで、通院のための費用と身体的負担を患者にかけることなく継続的な治療が出来るようになります。そのため、遠隔医療の普及により、今まで通院の困難さと費用を理由に医療ケアを受けられなかった人々に医療アクセスが拡大することが期待されているのです(参考記事8, 9)。
また、今回の記事では、遠隔医療にAIを利用することで、さらに高いレベルの医療へのアクセスが可能になることが示されています。具体的には、診断やトリアージなどでのAI活用による人的ミス、誤診の削減がもたらす医療クオリティーの向上と、診断プロセスの効率化による医療費の削減、アクセスの増加の効果が得られると言及されています。
こうした形で、医療のアクセスの問題を改善し、ハイクオリティーの医療を提供するポテンシャルを持つ遠隔医療に、アフリカ内外から期待が寄せられています。
アフリカ遠隔医療の現状、今後と課題
今回の記事では、こうした期待があるなかで、アフリカで遠隔医療の導入が進んでいることが紹介されています。
例えば、こちらの記事では、ガーナでデジタル超音波診断を用いた遠隔医療が、カメルーンでクラウドを利用した携帯型心電計による心臓の遠隔診断が導入されていることが示されています。またこちらの記事では、ルワンダで、フリーテキストや音声を用いて患者とコミュニケーションをとるAIチャットボットが導入されたことが紹介されています。
また近年は、この分野でのスタートアップ企業の活躍にも注目が集まっており、遠隔診療や薬の配達を担うウガンダのRocket Healthは620万ドル、コートジボワールなどで医療スケジュール管理プラットフォームを提供するSusuは220万ドルと、巨額の投資を集めています(参考記事9, 11)。
記事では、このようにして遠隔医療が注目を集める中、これからの3~5年でその利用者がアフリカで急激に増加することが推測されており、10年のうちには、遠隔医療がアフリカの6億人にハイクオリティーな医療ケアへのアクセスを確保する可能性があると述べられています。
しかしながら、その実現のためには課題もあることが記事では示されています。1つには、政府の方針です。アフリカではまだ新たな技術である以上、遠隔医療に対する法整備や方針は整っていない部分があるため、政府がその安全性と有効性を理解したうえで、制度やガイドラインの制定により、積極的に遠隔医療の普及ができる環境を作ることが重要になります。
2つには、インターネットの普及です。遠隔医療ではインターネットといった情報通信技術が用いられますが、こちらの記事によるとサブサハラアフリカのインターネット普及率は28%に留まるため、現状では結局遠隔医療を受けられる人は限られているという事です。そのため、医療アクセスをさらに広めるためには通信インフラの整備も必要になります。
記事では、こうした課題を乗り越えてアフリカが遠隔医療のネクストフロンティアになることが期待されています。今後遠隔医療がどれほど発展していくのか、期待が膨らみます。
下に関連記事、参考記事がございますので、ぜひご覧ください。また、記事に関するご質問やアフリカ進出のご相談がございましたら下のリンクからお問い合わせください。
参考記事:
1.首相官邸ホームページー「遠隔医療の概要」-Link
2.日本人は遠隔医療が進まない事の損失を知らない-Link
3.Digital health has strong potential to enable universal healthcare access-Link
4.How many people lack access to health care?-Link
5.プライマリケアを担う薬局をDX化することでアフリカのヘルスケアの未来が変わる-Link
6.アフリカで亡くなる子どもを減らすためにーエリトリアの小児ヘルスケアの取り組み【Pick-Up! アフリカ Vol. 3:2022年1月24日配信】-Link
7.The number of poor people continues to rise in Sub-Saharan Africa, despite a slow decline in the poverty rate-Link
8.Cost Effectiveness of Telemedicine Still Debated-Link
9.Uganda’s Rocket Health raises $5M to scale telemedicine across Africa-Link
10.アフリカでのAI・テクノロジーによる医療革命【面白記事 Vol. 140: 2020年9月21日配信】-Link
11.Susu raises $2.2 million pre-seed to make affordable healthcare accessible to Africans-Link
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