こんにちは!Pick-Up!アフリカです。
今回は、物流と貿易から、ウガンダとタンザニアの非関税障壁の撤廃に関する記事をご紹介します。
記事リンク:
『Uganda, Tanzania resume talks over trade barriers』
ウガンダとタンザニアは貿易障害について交渉を再開しました。
ウガンダとタンザニアは共に東アフリカ共同体(EAC)に所属しており、貿易は関税をかけずに行われています。しかしタンザニアは、ウガンダに対して砂糖、牛乳、トラックの移動といったところに非関税障壁を課しています。
今回ピックアップした記事では、ウガンダとタンザニアが両国間の非関税障壁を撤廃する交渉を再開したと書かれています。ウガンダの首都であるカンパラで行われた合同常設委員会の会議で、両国間は様々な分野において協力するという交渉を行ったとのことです。タンザニアの外務相で、東アフリカ協力担当大臣であるLiberata Mulamula氏は、両国は貿易とインフラ開発を通して国民の生活を向上させるために協力することを約束したと述べているそうです。
非関税障壁の例として、タンザニアにトラックが入る際、ウガンダ以外の国のトラックは一律152ドルの道路利用料であるのに対し、ウガンダのトラックが入る際には、最大500ドルが請求されているそうです。他にも、こちらの記事で書かれているように、2021年1月の時点でタンザニアに輸出される牛乳には多額の税金が課せられてきたようです。これは、ウガンダの貿易を阻害しているとして不満が示されています。
このような非関税障壁はなぜ起きているのでしょうか。こちらのレポートによりますと、インフラや税関手続きの不完全さ、非関税障壁を報告する制度の不備、明確な貿易円滑化に関する協定や効果的な調整手続きの不備、輸送コストの削減が消費者が購入する際にまで影響していないことがあげられています。
Liberata Mulamula氏が述べるようなインフラ開発の一環として、ウガンダとタンザニアは協力してEast Africa Crude Oil Pipeline Project (EACOP)と呼ばれるインフラ開発を行っているようです。これは、ウガンダの油田からタンザニアのタンガ港に原油を輸送するパイプラインのことです。現在まだ建設中であり、ウガンダタンザニア両国が協力するインフラ開発の中で最大のプロジェクトです。
他にも、タンザニアはダルエスサラームからドドマを経由してマクトゥポラまでという経路の鉄道の改修を行っているとのことです。これにより、輸送にかかる時間とコストが大幅に削減されることが見込まれています。
また、ウガンダとタンザニアの間にあるビクトリア湖におけるウガンダのブカサ港が完成すると、鉄道と組み合わせて非常に便利なネットワークが完成するとのことです。これにより、輸送コストの削減も期待されているとのことです。
今までの道路を使った輸送はダルエスサラームからカンパラまで運ぶのに4,500ドルかかっていました。対して、鉄道による輸送に変えると1,600ドルにまで削減できるとのことです。
以前投稿した記事の中で、今回のウガンダとタンザニアに似たような事例があります。こちらの記事では、ナミビアとザンビアが二カ国間のインフラ整備を進めていることについて書かれています。鉄道への投資やウォルビスベイ港の発展に力を注ぐことで二国間の貿易を活性化させようとしていることが書かれています。
また、この記事では、タンザニアとルワンダの国境にあるルスモ橋をJICAの協力で改善したために、二カ国間の貿易拡大という成功事例についても触れられています。
今回の非関税障壁撤廃の動きが上手くいけば、今後、ウガンダタンザニア間の貿易が盛んになるのではないかと予想されます。さらにインフラ開発が進むと、2カ国間の貿易はより楽になり、活性化するのではないかと考えられます。今後の2カ国間の動向に注目が集まります。
参考記事:
Uganda Petitions Kenya, Tanzania Over Milk Exports –Link
Tanzania, Uganda Strengthen Cooperation –Link
ナミビアとザンビアで進むインフラ整備とその背景【Pick-Up! アフリカ Vol. 233:2021年11月3日配信】-Link
What are the causes of non‑tariff barriers in the East African Community? –Link