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何百万人もの南アフリカの若者が無職、解決策は?
英題:Millions of young South Africans are without jobs: what are the answers?
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内容と背景:
本日は、若者と職の観点から、南アフリカの失業と今後の課題についての記事をピックアップしました。先日投稿された記事(アフリカの若者の労働問題と国際社会の関わり【Pick-Up! アフリカ Vol. 229:2021年10月25日配信】)とも関連しているので、ぜひ合わせてご覧ください!
今週は、若者と職に関する記事を主に投稿しているので、チェックしてみてください。
アフリカの国々はいままで経験したことないレベルの若者の失業に直面しています。現在、アフリカで子供の数が増加していることからも、失業者数は今後も増えていくと考えられます。
こちらの記事でも触れられているように、若者の中には職を持たないだけでなく、インフォーマルセクターで働くことを余儀なくされている若者も多くいます。インフォーマルセクターとは靴磨きや行商といった正規でない雇用のことを指します。国際労働機関によると、2018年にはインフォーマルセクターで働く15歳から24歳の人々は全世界で95%にもおよび、サブサハラアフリカでも同様の割合を占めていると発表しています。若者がインフォーマルセクターで働き続けることで、現在摘発されていなくとも、今後政治的にも社会経済的にも大きな打撃を受けることになるであろうとされています。インフォーマルセクターで働き続けるということは、社会保障を受けられず、法に従った賃金や労働環境が得られないことを指し、アフリカの失業者数の上昇に拍車をかけてます。
失業者の増加は南アフリカで顕著にみられます。世界銀行によると、2019年の南アフリカの失業率は58%にもおよび、サブサハラアフリカにおいて最も高い水準の国のうちの一つとなっています。2020年初頭には15-34歳の失業率は60%以上にまで上昇し、今後も失業率は上昇していくと予想されています。
現在、南アフリカの経済は低迷しており、2011年から一人当たりの実質GDPは減少しています。また、平等性の欠如に悩まされており、所得の不平等さを測るジニ係数は2015年に世界トップレベルを記録しました。
南アフリカは今後、ポストコロナ社会も含めて成長軌道に乗りたいと考えています。今後雇用を保証し、経済を回復していくには、政府が民間や教育、コミュニティー部門と協力して、対応していく必要があるとこの記事には書かれています。
教育という視点からみて、失業は高等教育を受けた人々の中でも広がっています。2021年の世界銀行開発指標は、高等教育を受けた人々の失業率が2007年の3.7%から2019年の14%にまで上昇したことを示しています。高等教育を受ければ就職が確約されるという時代ではなくなりました。また、性別による失業率の差も見受けられており、高等教育を受けた男性の失業率は2007年に2.3%から2019年には12%だったのに対し、同様に高等教育を受けた女性の失業率は4.7%から15%でした。このように、男性よりも女性の方が失業率が高くなっています。
以前投稿されたこちらの記事で書かれているように、南アフリカでは若者の大学進学を進めているようですが、大学卒業生と雇用主のニーズが合致していないことに触れられています。それぞれのニーズが合わないことから、若者の雇用率が低迷しているという現状も書かれています。
失業によって、食べ物が手に入れられなくなったり、精神に影響を及ぼしていたりしています。それにより、家族の安定的な生活に影響を及ぼしています。ステレンボス大学で行われた研究では、2018年から2020年の終わりで、家族の中に空腹を訴えている人がいる割合が14%から18%に上昇したと発表しています。さらに、最近の研究では、若者の失業率が1%上昇すると、殺人が1.6%-1.8%上昇するとわかっています。
また、新型コロナウイルスによる影響も深刻な状況を引き起こしています。Statistics South Africaによると、南アフリカの経済は、コロナの影響がでる前の2020年の四半期と比べ、2.7%後退しています。これにより、若者が職を失ったり、インフォーマルセクターで働くようになったりしています。
また今回の記事では、起業家精神に重点を置いています。起業によって、雇用を創出し、また、社会を確信していくことを見込んでいます。
南アフリカに今後必要なのは、雇用を生み出す起業家を生み出すことです。世界的な傾向をみても、多くの起業家は雇用を生み出すことはないそうです。今後失業率の上昇を妨げるためにも、雇用を生み出す起業家が必要だと書かれています。この記事では、南アフリカに必要な三つの性格の起業家があげられています。
・不平等、医療、飢餓、環境といった持続可能性などの問題に取り組むような社会起業家精神。この精神は、目に見える経済的価値を大規模に作り出すといったビジネスモデルに基づいています。
・オーストリアの政治経済学者ジョセフ・シュンペーターが提唱した「創造的破壊」の考え方を体現した起業家精神。この考えは、優れていない解決策から(部分的または完全に)新しい製品、サービス、ビジネスモデルへ置き換わるというものです。
・雇用を創出するために他の中小企業への波及効果をもたらす起業家精神。これには、Yoco、M-PESA、JUMOなどのフィンテックも含まれます。フィンテックとは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけた、さまざまな革新的な動きのことをいいます。
政府は起業家の成長を助けるサポートを進める必要があります。そして、起業家となった人が雇用を創出するだけではなく、製品やサービスを新たに作り出すよう促進していくことが今後の課題となっています。
今後ビジネスが盛んに行われるためには、効果的で協力的な環境づくりが大切になっていきます。ここでの環境づくりというのは、資金や知識といったリソースや革新に対する市場へのアクセスができること、といったことが含まれます。このような環境づくりをするには、起業家になるために必要な基盤、スキル、考え方を身に着ける教育システムが必要となります。
若い企業や起業家が資金にアクセスできる環境づくりはより重視され、ニーズに合わせて調節する必要があります。融資保証、直接借款、ストラクチャードファイナンスといったものが例にあげられます。
ここ最近では、そのような環境づくりに進歩が見受けられます。アフリカ開発銀行は、若者による起業家精神やイノベーションに資金を提供するためにYouth Entrepreneurship Investment Banksを開発しています。また、南アフリカ政府は、企業へ資金を提供するプログラムを導入しました。この企業の中には若者によってつくられた企業も含まれています。
今後は新たなる教育システムの導入やインターンシップの導入が進められる必要があります。ナイジェリアでは、インターンシップのプラットフォームが開発されたとこちらの記事では書かれています。南アフリカでもこのような動きが期待されます。その他にも、若者がビジネスのアイディアを実際に行ってみたり、ほかの人から学んだりするインキュベーターやイノベーションハブの機会も必要となります。
最終的には、起業家精神のそれぞれの分野における能力開発が必要だと書かれています。南アフリカの場合には、より多くの社会構成員が起業家精神を通じて活力、成長、一体性を促進することを目的に、研究、トレーニング、アドバイスなどの能力が必要とされています。
今後も、アフリカにおける若者の失業について何か進展がありましたら、記事にしていきます。
関連・参考記事:
1.アフリカの若者の労働問題と国際社会の関わり【Pick-Up! アフリカ Vol. 229:2021年10月25日配信】 –Link
2.南ア:多くの学生を大学教育にアクセスさせるための新たな提案【Pick-Up! アフリカ Vol. 49(投稿:2020年11月30日)】 –Link
3.アフリカ初、インターンシッププラットフォームの立ち上げ!他、教育に関する話題【面白記事 Vol. 104: 2020年8月10日配信】-Link
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