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南アフリカ:幼児発達の変化を解除する
Unlocking change in Early Childhood Development
内容と背景:
本日は南アフリカから幼児教育に関連する記事をピックアップしました。
2019年にユニセフが発表した報告書によると、世界の就学前教育就学年齢の子どもの約半数にあたる1億7,500万人以上が、就学前教育(幼児教育)を受けていないということが示されています。また、低所得国では幼児教育を受けている子どもは5人に1人にすぎないと報告されています。(関連記事1)
幼児教育は、教育の基礎的な役割を果たすとされ、幼児教育を受けた子どもが初期の読み書きと算数のスキルを順調に習得する可能性は、受けていない子どもの2倍以上になると言われています。
しかし、アフリカは世界で最も幼児教育を受けている子どもの割合が低い国と言われており、サハラ以南・西アフリカ・中央アフリカの子どもたちの27%しか幼児教育にアクセスできていないという現状が示されています。(関連記事2)
国連では子どもの権利を守るために「児童の権利に関する条約(Convention on the Rights of the Child)」を定めています。また、アフリカでは独自に「子どもの権利と福祉に関するアフリカ憲章(African Charter on the Rights and Welfare of the Child)」を定め、教育について十分にその権利を守るべきであるということが示されています。
しかし、本日ご紹介する記事によると、南アフリカはこの条約や憲章に批准しているにも関わらず、幼児教育の分野ではふさわしい支援と実施が行われていないということが示唆されています。
南アフリカは「2030年までにすべての乳幼児とその家族が、年齢と発達段階に適した質の高い幼児発達サービスの完全なパッケージを利用できるようにする」という目標を掲げています。
しかし、南アフリカ幼児教育レビュー2019によると、南アフリカでは3歳〜5歳のうち100万人近くの子どもが幼児教育にアクセスできていないというデータが示されています。
これに対し、南アフリカ政府は、2020年10月に幼児教育分野に13億ランド(約1億円)を割り当てました。しかし、一貫性のある包括的な実施計画がなかったということが理由となり、この割り当ての半分以上が財務省に戻されたということが報じられています。
さらにこの記事では新型コロナウイルスのパンデミックの影響により、幼稚園や施設は閉鎖を余儀なくされた結果、政府からの運営補助金が打ち切られたことについて苦言を呈しています。多くの幼児教育従事者が職を失ったり、戻ってきた人々は以前の給与の半分以下になったり、子どもたちへの助成も中止されたということです。また、ワクチン接種に関して、学校の教師は予防接種を受けることができる一方で、社会開発局に属する幼児教育現場で働く教師は現在、その資格がないということも咎められています。
以上のように、今回の記事では、南アフリカの幼児教育分野が直面している現状の課題について書かれている内容となっていました。
新型コロナウイルスのパンデミックにより、経済的に不安定な状況が続く中で、幼児教育分野にも大きな皺寄せが来ているということが理解できます。
しかし、幼児教育分野の成長は、長い目で見ると国の貧困率の引き下げにも直結する重要な役割を担っています。困難な状況ではありますが、全ての子どもが就学前の教育の機会を享受できるように、必要な予算配分が行われることを願うばかりです。
関連・参考記事:
- 就学前教育 子ども1億7,500万人が受けられず 教育のスタートで大きな格差 ユニセフ、報告書発表 – Link
- Increasing Access to Early Childhood Education in Africa – Link
- SOUTH AFRICAN EARLY CHILDHOOD REVIEW2019 – Link
- Convention on the Rights of the Child – Link
- AFRICAN CHARTER ON THE RIGHTS AND WELFARE OF THE CHILD – Link
- アフリカの子ども福祉に関する話題(養子縁組・コロナ下での保護に関して)【面白記事 Vol. 125: 2020年9月3日配信】- Link
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