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今月8日、エルサルバドルではビットコイン法定通貨化の法案が可決されました。
そこで本日はビットコインなどの仮想通貨に関して、アフリカ各国はどのような姿勢を見せているのか、ということについて書かれた記事をご紹介します。
ビットコイン…アフリカの仮想通貨需要の高まり
Bitcoin, akoin and ubuntu…Africa’s growing love of cryptocurrencies
エルサルバドルのビットコイン導入背景
エルサルバドルでは今年2021年6月に世界で初めてビットコインを法定通貨とする法案を可決しました。それによりビットコインは米ドルと並び、エルサルバドルの公式の通貨になるということです。
このビットコインの法定通貨化に関する数々の報道では、その要素について下記のように報じられています。
- 国民の約70%が銀行口座を持っていないこと。
- 2001年から米ドルが法定通貨となり、国の通貨(コロン)が撤廃され、現在独自の通貨は存在しないこと。
- 国内のGDPの20%以上が移民による家族への送金によるものであること(送金の際の手数料は10%程度に及ぶ場合もある)。
つまり、自国の通貨を発行しない場合、通貨供給量のコントロールや為替政策を行う必要がないため、中央集権的な役割を担う中央銀行を置く必要がないということになります。また、外貨送金における送金手数料の問題や、大多数の国民が銀行口座にアクセスできないことを考えると、銀行口座の開設が必要でなく、送金の際の手数料が安価であるビットコインは、このようなエルサルバドルの内状にうまく合致するということが推測されているということです。
アフリカの財政状況
アフリカでも同じような要素があるということが考えられます。例えばアフリカでも同様に銀行口座の保有率が低い国々がたくさんあります。2017年のGlobal Findex Databaseによると、銀行口座を保有している国民が全体の20%以下であるという国がいまだに多くあることが明らかになっています。
また、国によってその比率に違いはあるものの、 移民が故郷の家族に送金するお金の額は年々高まっており、南スーダンではGDPの35%、レソトでは21%、ガンビアでは15%を占めるほどの割合を占めているということです。小さく、貧しい国の経済はこのような送金に依存していると言われています。
アフリカ大陸内、仮想通貨送金の需要の高まり
今回の記事によると、アフリカ大陸との仮想通貨の月間送金額が飛躍的に伸びているということが示唆されています。アメリカの企業(Chainalysis)によると、2019年には10,000ドル未満であった仮想通貨の月間送金額は、2020年6月には55%増しの3億1,600万円にまで伸びたということが示されています。
この要因については、ナイジェリアの通貨である「ナイラ」の切り下げが大きく関わっている可能性が示唆されています。ナイラの価格は非常に変動しやすく、インフレ率が現在17%であることから(参考:日本の2015ー2019のインフレ率は1%以下)、携帯電話を持った若者でドルやユーロにアクセスできない人々が、仮想通貨を利用するようになっているということです。
アフリカ金融機関の仮想通貨への反応
ナイジェリアのみならずケニア・ガーナ・エジプト・ジンバブエなど、不安定な通貨価値に苦しんでいる他のアフリカ諸国の人々も、仮想通貨の使用に頼っています。
タンザニアの大統領は今回のエルサルバドルの報道を受けて、仮想通貨の支持を表明し、中央銀行に準備を促すように指示をしたという報道も散見できました。
一方で、仮想通貨を禁止している国も存在しています。
例えば、アルジェリア・モロッコ・ジンバブエなどの一部の国では、国内での仮想通貨の利用を完全に禁止しています。
大陸内の国々でもその導入に対する姿勢は様々であるようです。
モバイルマネー
上記のことを考えると、アフリカでも仮想通貨は一定の役割を担っているということが理解できます。そしてその大部分は仮想通貨を法定通貨にしたエルサルバドルと類似していることが分かります。
一方でアフリカでは自国の通貨を所有し、国内で流通している国が多く、そのためモバイルマネーが広く浸透しています。
サハラ以南のアフリカ全体で登録されているモバイルマネーアカウント(現在は4億6900万)は、2020年末までに5億を超えると予測されています。
エルサルバドルは、アフリカと似たような境遇にあるものの、自国の通貨が存在しないということで、モバイルマネーは浸透していませんでした。そこでビットコインの法定通貨化がよりスムーズに行われたということが理解できます。
アフリカ大陸内ではタンザニアがいち早く仮想通貨の支持を表明しましたが、このエルサルバドルの動きがアフリカの財政環境にとって重要な視座を持つということは言うまでもありません。
引き続きアフリカ各国の動向について見ていきたいと思います。
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