目次
20年ぶりに児童労働が急増。パンデミックはそれを悪化させる可能性がある。
Child Labor Surges For The First Time In 20 Years. The Pandemic May Make That Worse.
記事リンク:
内容と背景:
本日はコロナ禍における児童労働について書かれた記事をピックアップしました。
年々減少傾向にあった児童労働に従事する子どもの数ですが、2020年、世界では20年ぶりにその増加が記録されました。
さらに、コロナウイルスのパンデミックによる経済の混乱と学校の閉鎖により、国連は2022年までにさらに900万人の子どもたちが児童労働に関わる可能性があるということを示唆しており、問題はさらに悪化することが懸念されています。
ILOとユニセフが共同で発刊した最新のレポートによると、2020年の初めには世界中で推定1億6000万人の子どもが児童労働に関与したと報告されています。これは4年間で840万人が増加したことを意味しています。さらにこれらの子どもたちの約半数は、鉱業や農作業など、健康と安全を直接危険にさらすような危険な作業に携わっているということです。
Child Labour: Global estimates 2020, trends and the road forward p.12より抜粋
今までもPick-Up!アフリカでは、児童労働に関連する記事をいくつかご紹介しています。
児童労働を食い止めるために、国際社会は、自動車企業等の連携を通した(Cobalt Action Partnership(コバルトアクションパートナーシップ)、アフリカ連合とILOの連携など、様々なパートナーシップを通してその課題解決に取り組んできました。
このレポートによると、アジア・太平洋・ラテンアメリカ・カリブ海の児童労働は、教育と児童保護サービスへの投資の増加により、引き続き減少傾向にあることが示されています。
しかし、サブサハラアフリカに至っては、5歳〜17歳の約8600万人の若者が児童労働に従事していると概算され、貧困・HIV /AIDS・紛争などが原因となり、増加の一途を辿っているということです。
下記の図は、ILOとユニセフによるレポートの中から抜粋したものです。アフリカ以外の地域の児童労働従事者数は減少傾向にあるものの、サブサハラアフリカ地域のそれは、2012年から増加しているということが理解できます。
Child Labour: Global estimates 2020, trends and the road forward p.24より抜粋
しかし、このレポートでは、現在は減少傾向にあるアフリカ以外のその他の地域においても、コロナパンデミックによる経済的ショックと学校の閉鎖によって、傾向に影響が出てくるのではないかというポイントについて言及されていました。
また、現在労働下にいる子どもたちがこの影響により、さらに長時間の労働を強いられたりする可能性があるということも示唆されていました。
あらゆるアクターが児童労働の撲滅に取り組み、アフリカ以外の地域は実際に従事者数が減少傾向にあるという達成を見せていました。しかし、長引くコロナウイルスのパンデミックが影響し、全体的な傾向に暗雲が立ち込めているということが理解できます。
児童労働は分野横断的な課題であり、解決の糸口を掴むのが非常に難しいように感じられます。今回のレポートや記事では、「社会保障」「学校教育」などがキーワードとして多く取り上げられていました。子どもたちや貧困家庭を守るための社会保障の必要性や、勉強だけの場ではないセーフティーネットとしての学校の役割について、
なお、下記の関連記事1. で今回のレポートを掲載しています。わかりやすい図表などがたくさん載っていますので、ぜひ最新のレポートをお読みください。
関連・参考記事:
- Child Labour: Global estimates 2020, trends and the road forward – Link
- Child labour figure rises to 160 million, as COVID puts many more at risk – Link
- 児童労働:ビジネスと人権〜コンゴ民主共和国の鉱山の課題【Pick-Up! アフリカ Vol. 10 (投稿:2020年10月15日)】- Link
- ILOとアフリカ連合、パートナーシップで児童労働を撲滅!【Pick-Up! アフリカ Vol. 147:2021年4月9日配信】 – Link
ご相談・お問い合わせ
アフリカ・ルワンダへのビジネス進出をご検討の際は、当サイトの運営に関わっているレックスバート・コミュニケーションズ株式会社までご相談・お問い合わせください。