西アフリカは繊維・ファッション産業においてもっと持続可能な方法を創出していけるか?

Can West Africa lead the way in creating a more sustainable textiles industry?

記事リンク:

Can West Africa lead the way in creating a more sustainable textiles industry? | Algeria 2021 | Oxford Business Group

内容と背景:

本日は、アフリカのファッション業界における持続可能性に関しての記事をピックアップします。

今回ご紹介する記事では、繊維産業やファッション産業が環境に与える影響の大きさについて指摘されています。第1に、両産業が世界の炭素排出量の10%を占め、COVID-19パンデミック以前には年間約12億トンの炭素を排出していたとのことです。この数値は石油・ガス産業に次ぐ大きさとなっています。このカーボンフットプリントの大きな原因のひとつとして、綿花生産に大量の水が必要であることがあげられます。例えば、およそ2万Lを費やすことで出来上がる綿花はわずか1kgであり、これはTシャツ1枚分とジーンズ1本分にあたります。

また、化学物質の使用による水汚染も課題となっています。原材料を服にする間に最大で8000種類の化学物質が使われることもあり、世界銀行は産業水汚染の20%は繊維の染色と仕上げ加工の過程のなかで生じると推測しています。

このように、繊維産業やファッション産業は環境に悪影響を及ぼし、地球規模の気候変動を引き起こす一端ともなっているのです。こうした状況を変えるべく、多くの業界関係者たちが持続可能で環境にやさしい業界を目指し、新たな運営方法を模索しています。

そのような取り組みをしているアフリカの企業の例として、Jendayaという会社が紹介されています。同社は、プラスチックの使用を控え、リサイクル可能な段ボールで梱包し、必要に応じて衣類を生産することで廃棄量を減らす試みをしています。

また、西アフリカの繊維産業におけるバリューチェーンに持続可能なソリューションを提唱している会社として、Ariseも紹介されています。AriseではCotton Made in Africaという基準によって定められるサステイナブルな綿花を100%使用し、再生可能な電気を100%使い、毎日20トンの炭素排出を相殺し、生産過程の水を90~95%再利用するなど、生産におけるすべての側面でESGを重視しています。

こういった取り組みは地球にやさしいだけではなく、経済的なメリットももたらし、特に西アフリカにおいてはその効果が顕著になると記事で強調されています。

アフリカ大陸で生産される綿花の4分の3ほどは西アフリカ産のものです。ベナンやブルキナファソやマリといった綿花生産国では、1年で180万トンの未加工綿花を輸出しています。それらは9億2200万ドルで取引されますが、輸出先の南アジアで加工されて付加価値をつけられたものが加工綿花や衣服のかたちで再び同国々に入ってくるときには、24億ドルの支出が伴います。つまり、綿花生産を担う国々は、加工をして付加価値をつけて経済的利益を受けることができないでいるのです。

このことをうけ、前述のAriseでは、7300万ドルに相当する5万6000トンの綿繊維を、5億ドルに相当するアパレル製品に変換することを目指しています。これによって、計10万人の雇用が生み出され、利益の多くも地元に還元されるようになるといいます。

また、綿花生産が国のGDPの12%を占めるベナンでは、国内での加工綿花の生産を促進し、国内流通の割合を段階的に高めようとしています。その具体的な取り組みとして、2021年までに国内綿生産高のうちの30%以上の未加工の綿の輸出を禁じ、2022年には70%を禁じ、2023年には100%禁止することで、その目的を達成しようとしています。

上記のように、今回ピックアップした記事では、主に衣類の生産プロセスでの環境面における課題と対策について取り上げられていました。ですが、生産後の私たちの服の使用についてももっと目を向ける必要があると思います。毎シーズンごとにトレンドが変わり、低価格でインターネットでも手軽に衣類を購入できるようになったことで、衣類の廃棄量も増加傾向にあります。実際、全世界での1年間の衣類廃棄量が約9200万トンというデータもあり、2030年には1年間で1億3400万トンほどの衣類廃棄がなされるという見込みもされています。

そこで、ここからは服の廃棄について考えていきます。

まだ着ることのできる服を処分する際に、チャリティーショップや衣類回収ボックス等を利用して寄付した経験のある方もいると思います。そのような寄付された衣類のうち、およそ30%が国内の市場にまわり、残りは繊維商人に売却され、ケニアやガーナやセネガルなどのサブサハラアフリカへ輸出されます。

古着を輸出することによって、それらを輸入する国の人々は安価に衣類を入手できるようになり、地元の経済が活性化することが期待されます。しかしこのようなメリットの一方で、古着の輸出入は深刻な問題を引き起こすこともあります。

例えば、地元の繊維産業が廃れ、従事していた人々が職を失うこともあります。こうした事態から、2018年にルワンダは東アフリカで初めて中古衣類の輸入を禁止しました。

また、衣類を輸送する際には経済的コストだけでなく環境的コストがかかり、大量の二酸化炭素が排出されます。また、輸入した衣類のうち古着などとして国内で販売されるのは70%であり、残りの3分の2は価値の少ない商品に作り直され、あとの3分の1は国内で廃棄されます。古着を輸入する多くの国には未だ十分な処理インフラやリサイクルインフラが整っていないため、最終的には埋め立て地や水路に埋められてしまうのです。

上に関連し、ケニアでは、主にヨーロッパやアメリカやカナダから年間14万トン以上の古着が輸入されます。その量の多さから、”mitumba”という、海外から輸入された古着を指す言葉もあります。輸入されたmitumbaは1俵あたり45kgで、100ユーロから400ユーロの価格がつけられています。古着の品質によってランク付けがなされていますが、実際は中身の品質にはばらつきがあり、購入して開けるまでどの様なものが入っているかは売人には知らされません。なかには最大で50%の衣類の品質が販売できないほどの品質の悪さであり、そういった商品はやはり燃やされるか、埋め立てられる事になっているようです。

このように、古着の寄付は良いことだけではなく、環境的側面、経済的側面、社会的側面から、いくつか悪いポイントもあることが分かりました。また、衣服の生産と消費に関して、アフリカが先進国の良いようになっているような現状も感じ取れました。ファッションにおける持続可能性について考える際には、製造過程はもちろん、私たち自身の衣服の使用や消費の仕方を今一度見つめ直していく必要があるようです。

関連・参考記事:

  1. アフリカのファッション業界が目指す姿とは?【Pick-Up! アフリカ Vol. 101:2021年2月8日配信】 – Link
  2. SDGsを漫画で紹介するルワンダからの取り組み!(動画あり)他、Covid-19関連の話題【面白記事 Vol. 49: 2020年6月2日配信】 – Link
  3. Why clothes are so hard to recycle – Link
  4. Textile Mountain: The Hidden Burden of our Fashion Waste – Link
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