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こんにちは!
今回のPick-Up! アフリカでは、大麻についての記事を取り上げます。
莫大な経済的効果をもたらすと考えられている大麻産業ですが、南アフリカの大麻産業は依然アパルトヘイトの影響を受けている一面もあります。
人種問題にフォーカスをあててご紹介します!
南アフリカの大麻産業から黒人が締め出される
South Africa: Indigenous People Being Excluded From Marijuana Industry – Black Farmers Association
記事リンク:
内容と背景:
今回ピックアップした記事によりますと、南アフリカ健康製品規制機関(SAHPRA:South African Health Products Regulatory Authority) が、大麻の許可証を発行する際、先住民や黒人をその対象から除外しているとして、南アフリカの人々が抗議し、南アフリカ黒人農民協会(BFASA:The Black Farmers Association of South Africa)がデモ行進を行うという出来事が起こったそうです。
BFASAは農業分野における変革と人種に関係なく平等であることを目指しているグループです。抗議の中でBFASAは、SAHPRAがアパルトヘイト時代に制定された法律を利用して白人と外国人のみに大麻の許可証を発行し、意図的に原住民の人々を除外したと非難し、そしてその責任はその法律を認可して白人による大麻産業の独占にみちびいた保健大臣であるZweli Mkhize氏にあるとし、Zweli氏の辞任と、SAHPRAの閉鎖を求めています。なお、2020年の10月にもSAHPRAの大麻産業における汚職を終わらせることを目的とする抗議活動が行われていました。
BFASAは、大麻ビジネスで意図的に黒人を排除しているという主張に対する反論として、健康食品の安全性や品質や有効性の基準をクリアしたものに許可証を付与するとして、人種差別の存在を否定しています。
南アフリカでは、2018年の9月に個人の使用と栽培が合法化されていますが、そこには細かな条件があります。例えば、大人1人につき所持できる大麻の種や苗に制限はありませんが、花が咲いたものは1人につき4つまでとなっており、家庭に成人が2人以上いる場合、5人であっても10人であっても、所有できるのは1家庭当たり8つまでとなっています。しかし現実には、南アフリカでは多くの黒人が共通の家に住んで生活をしているため、大麻を合法的に栽培し、所有し、使用する権利を存分に享受できておらず、経済的恩恵を受けられるほど十分に法が機能していないと考えられます。
以前の記事(アフリカ南部:産業・医療用大麻セクターを牽引できるか【Pick-Up! アフリカ Vol. 23:2020年10月30日配信】)でもご紹介したように、南部アフリカでの産業大麻や医療用大麻の業界は急成長を遂げ、レソトやジンバブエのように、大麻の栽培が条件付きで合法化された地域もあります。その1つの大きな要因として、大麻がもたらす経済効果が考えられます。実際、ウガンダは医療用大麻の国外輸出により1億6200万ドルの収入を得たというデータもあります。大麻は医療用に用いられるだけでなく、産業用として、大麻はお茶や衣類、栄養ドリンクとして使われており、その汎用性の高さからも、アフリカでの大麻市場は377億ドルの市場規模があると言われています。大麻の生産と輸出によって経済発展をはかるため、タンザニアなどでも大麻の合法化が検討されています。
今回のご紹介した記事の舞台である南アフリカでも、ケープタウンの空き地を医療用大麻の生産地として開放することで、大麻という未だ国内で十分に開発されていない分野への可能性を引き出し、同時に雇用創出や経済的利益を民間セクターと連携して生み出すことを目指す取り組みがなされていました。
しかし、大麻の生産や加工などによって経済成長や雇用創出の機会を増やすという政策の裏側には、記事の説明のなかでもあったようなアパルトヘイト時代から続く法律によって「黒人」と「白人」の間に差がうまれ、貧富の格差を埋めるという目的の達成はそううまいようにはなされないように思われます。
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