パンデミックの影響で倒産の危機に直面するアフリカの航空会社 – 調査

英題:African airlines face bankruptcy due to pandemic effects says survey

記事リンク:https://www.theafricalogistics.com/2021/03/11/african-airlines-face-bankruptcy-due-to-pandemic-effects-says-survey/ 

内容と背景:

コロナにより、国際的に観光業などが大きな影響を受けていることはご存知のことと思います。またそこに関わってくるさまざまな産業も大きく影響を受けていることもさまざまなところで報道されています。実際、世界でもその影響は大きく、ICAO(International Civil Aviation Organisation: 国際民間航空機関)によると、昨年のコロナの影響は、航空業界全体で座席は前年と比べて50%、乗客の60%、3710億ドルの営業利益の削減・減少を報告しています。またこちらを読み進めますと、観光業では2019年の1.5兆ドルの売り上げに対し、約9100億〜1.17兆ドルの売り上げだったとし、現象が確認できます。

アフリカに目を向けると、この記事にもありますように、パンデミックの影響で倒産の危機に晒されているアフリカの航空会社は少なくないようです。

記事では、アフリカ経済委員会(UN Economic Commission for Africa: UN ECA)とアフリカ航空協会(Africa Airline Association: AFRAA)とが行なった調査結果から、アフリカの航空会社だけでなく、世界的にも倒産の危機に瀕している企業が多くなってきていると伝えています。例として、エアー・モーリシャス(Air Mauritius)は実際に法的措置を取り始めたと伝えています。実際、こちらの記事では、エアー・モーリシャスが、2020年4月にも自発的にこの措置を取り始め、アフリカでコロナの影響による破産手続き開始をした最初の企業になりました。さらに、南アフリカ航空(South Africa Airways)も引き合いに出し、2019年12月から経営難であったのに加え、コロナの影響により、5月に破産手続きを開始したとしています。

さらに記事によると、特にコロナの影響を受けたのが、南アフリカとナイジェリアとし、それぞれの国へのビジネス目的での訪問者の数が減ったことによる収入源は大きいようです。そしてエチオピアの名前もその流れで出ていることから、これらの国へのフライトを抱えていたことで、エチオピア航空も損失を経験したのではと想像されます。

記事では、これらの危機に政府からの救済措置があったことも記述しており、ヨーロッパからはドイツ政府のルフトハンザ(Lufthansa)への90億ユーロの緊急援助、アメリカでは2.2兆ドル相当の政策(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security [CARES] Act)を発令し、その中でアメリカの航空会社に対し610億ドルの救済金が割り当てられたと報告しています。しかし、そんな状況とアフリカの政府の対応を比較し、アフリカの航空会社が自国政府から資金援助による直接の救済措置を受けることがほぼなかったとの見解を共有しています。

実際、こちらのルワンダの記事によると、ルワンダ政府はRwandAirに対し救済措置を提供することは明言しているものの、この時点では実際の金額に関しては記述されていないが、後にルワンダ政府が経済救済策を発表した際には、約1.47億ドル(1451億ルワンダフラン〔1ドル=982.5ルワンダフラン〕)の2020−21年度での資金援助(通常は1218億ルワンダフラン)を発表しました。またこちらの記事では、セネガルでも1.28億ドルの救済措置(観光業界全体と航空業界)を発表したとしています。しかし、いくつかの記事を読んでいると、元記事でも触れられているように、どうやらこれらの措置は稀なケースのようです。

記事ではさらに、調査に回答のあった16社のうち、15社から2020年、2021年の負債額を聞くこともできたとし、その総額が32億ドルに達すると伝えています。会社名は明記されていないものの、回答のあった航空会社の中でもとある3社の負債額が全体の約56.3%に達するとしています。南アフリカ航空はコロナ前から経営難にあった例などをみますと、通常運転時にも大変な状況だったのに加え、コロナによる営業収入減がダブルパンチとなるのではないでしょうか。

こちらの記事では、Virgin Atlantic社の関係者が自社存続のため、イギリス内外からの投資を得られるような働きかけをしているものの、アフリカでは多くの航空会社に政府が絡んでいることや、会社の所有権のうち決められた割合を政府であったり、自国民が持たなければいけないというような決まりがあったりなど、外部からの投資の注入の難しさを招く事態になっているとしています。しかし、そんな中でも、エチオピア航空のCEOがモーリシャス航空、南アフリカ航空への出資の可能性が噂されました(技術的なサポートだけを行う予定とし噂を否定) 。こちらの記事では、「最終的には政府がなんとかするしかない」とまとめています。

3月19日に放送された『NHK BSの国際報道2021』では、エチオピア航空が特集され、人の移動が減ったことに対応する形で、客席を取り外し、貨物が載せられるようにしたこと、そして、中国など、マスクをアフリカに送った国々からの輸送、国際機関からの輸送を請け負うことで、減収を最終限に保つだけでなく、収入増を実現したと共有されていました。また、こちらの記事でもお届けしましたが、現在コロナのワクチンがアフリカにも届けられるようになっていますが、それを見越しコールドストレージに巨額の投資を行い、インフラを整備したようです。こちらは、現在だけでなく、同インフラ不足に将来的にも取り組んでいく予定であることが伺えます。

そもそも、アフリカの航空業界はどうなのか?ということに興味のある方はぜひこちらの記事を読んでみてください。

エチオピア航空はここ近年成長しているようで、アフリカで運行している航空会社の中で(アフリカの航空会社だけでなく他国の航空会社含め)1番のパフォーマンスを記録しています。ここで意外なのは、カタール航空が入っていないことでしょうか?

引き続き同業界の話題もお届けしていきますので、お楽しみに!


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