Pick-Up! アフリカではこれまで度々、アフリカの農業セクターでは農作物の収穫後ロスが課題であり、その解決にはコールドチェーンソリューションの開発および普及が必要であるとお伝えしてきました。

そこで本日は、2014年より生鮮食品農家と製薬業界に対して冷蔵輸送と冷蔵貯蔵ソリューションを提供しているナイジェリアのスタートアップKennie-O Cold Chain LogisticsのCEO、Ope Olanrewaju氏へのインタビューが掲載されている記事をピックアップし、同社がこれまで歩んできた軌跡やスムーズなコールドチェーン提供を阻んでいる様々な課題をご紹介いたします。


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記事:「ナイジェリア:コールドチェーン網の整備に取り組む起業家のインタビュー」

「Nigeria: Entrepreneur identifies opportunity in cold chain logistics for the agriculture sector」

記事リンク:

内容と背景:

Olanrewaju氏はインタビューの中で、まず同社がコールドチェーンソリューションを提供するに至った経緯に関して説明しています。彼の話によると、同社は当初家畜の生産を主な事業内容としていたようですが、冷凍鶏肉の供給を受注した際、国内に適切なコールドチェーンソリューションをもつ輸送手段が存在しないことに気づき、現在のビジネスを開始したようです。

実際本日ピックアップしている記事によると、ナイジェリアでは適切な低温貯蔵施設の欠如により、生鮮食品や野菜の約45%が毎年収穫後に廃棄されてしまっているようです。Pick-Up! アフリカでもこれまでご紹介してきていますが、農作物の収穫後ロスはナイジェリアに限った話ではなく、アフリカ全土で問題となっている課題です。記事によると、アフリカで消費されている作物の約70%は小規模農家から供給されているものであり、収穫後ロスは小規模農家らの収益低下にもつながっています。

コールドチェーンロジスティクスのギャップを埋めようと、生鮮食品農家と製薬業界に対してコールドチェーンソリューションを提供しているKennie-O Cold Chain Logisticsですが、Olanrewaju氏はインタビューの中でそのビジネスモデルに関しても詳しく説明しています。

彼の話によると、同社は顧客が商品を最終市場まで届けるのをサポートするだけでなく、商品を保管できる冷蔵施設も提供しているようです。さらに、新鮮な果物や野菜を選別、等級分け、また洗浄できる施設も所有しており、そのリースを通じて同社独自の付加価値を提供しているようです。加えて、小規模農家から直接農産物を購入し、提携先の市場や小売店、また個人向けに商品の供給をも行っているようです。

また、同社では適切な冷蔵環境のもと商品が最終市場まで届いているか確認するため、温度トラッカーを使用し、貨物の追跡を行っているようです。輸送する商品に応じて温度を設定し、輸送中に温度の変化を感知した場合、トラッカーからのアラートを受け取り、ドライバーに通知ができる仕組みとなっているようです。

彼はインタビューのなかで、コールドチェーンソリューションの提供に対する需要は非常に高い一方、コールドチェーンロジスティクスへの参入障壁が高いため、現在のところ業界内での競争はほとんどない状態であると述べています。

ではスムーズなコールドチェーンソリューションの提供を阻んでいるロジスティクス業界における課題には一体どのようなものがあるのか、彼は続けて詳しく説明しています。彼は話の中で、課題として十分な電力網の欠如や技術者のトレーニング不足、また未整備な道路網を挙げています。彼はナイジェリア政府が近年農業生産の拡大に力を入れるなか、生産量が増えれば増えるほど、収穫後ロスによる損失が大きくなるため、コールドチェーン網の整備はさらに重要になってくると述べています。

彼はインタビューの中でコールドチェーンソリューションの提供が必要な事例としてトマトの供給を挙げています。ナイジェリアではトマトの大部分が国の北部で生産されている中、国内で最も大きい市場がある南部まで輸送する必要があります。トマトは高温多湿な環境に弱く、野菜の中でも腐敗しやすい作物であるため、適切な輸送や貯蔵には冷蔵手段が必要となってきます。そこで、彼は冷蔵手段をもつトラックで輸送されない限り、収量の約半分が廃棄処分されてしまう可能性があり、ユニットあたりの価格上昇をも招いてしまうと指摘しています。そんななか、彼は信頼性の高いコールドチェーンが提供されることで、トマトの90-95%が新鮮な状態のまま市場まで供給されるようになるだろうと述べています。

特にサハラ以南のアフリカでは労働人口の半数以上が農業セクターに従事していると言われており、コールドチェーン網の整備により多くの人々の収入向上が期待できると考えられます。ただ、Olanrewaju氏の話にもあった通り、農作物の適切な冷蔵供給を妨げている障壁には、冷蔵手段をもつトラックの普及だけでなく、冷蔵庫を動かす電力供給の問題や、輸送時間を大幅に引き延ばしている未整備な道路網、また冷蔵手段の開発に従事する技術者の育成問題など様々な問題が関係していると考えられます。農業や物流、電力と、コールドチェーン網の未整備は様々なセクターの課題と密接に関連しているため、その整備にはセクターを超えたパートナーシップが必要であると考えられます。

関連記事にはコールドチェーン開発を扱った以前を載せています。ぜひ合わせてご覧下さい。

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