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2021年のアフリカのベンチャー、スタートアップ予測
英題:African Ventures and Startup Predictions for 2021
記事リンク:https://www.csis.org/analysis/african-venture-and-startup-predictions-2021
内容と背景:
さて、先週お届けしましたトレンド予測では、フィットネステック、音楽配信テックやスキンケアテックを中心とした、人々の生活をより良くするようなテックの台頭、融資や不動産テック、Agriテック、そして女性起業家の活躍など、6のトレンド予測がありました。
今日お届けする記事ではどのような予測なのでしょうか?一緒に見ていきましょう!
記事の冒頭では、コロナ禍の影響で2つのことが見受けられたとし、アフリカの状況を一変させたとともに、マーケットプレイスやpay-as-you-goプラットフォーム(サービスを前払いによって受ける方法)、そして、DeFi(Decentralised Finance)として知られる、分散型金融(銀行など特定の金融業機関を中心としないファイナンスシステム)など多くのイノベーションに光が当たるきっかけになったともしています。これらの動きから2021年にも希望はあり、それらを10のキーワード・分野に分けて解説されています。
1. 早期投資の急増:
10兆ドル以上の金額がアメリカに入り、そしてさらに多くの金額が世界経済で動いていることに触れ、今年もそれらの資金が収益を出すために運用されるだろうとし、そのデスティネーションとしてアフリカ、特に未開拓の分野、アーリーステージのスタートアップへの投資にも向かうだろうとされています。その中でも、Super angelと呼ばれる投資家集団(VCとエンジェル投資家の中間の性格を持ち、VCのようにファンドを作ると同時に、エンジェル投資家のように自らも投資する投資家。その際に設立したファンドに参加することもある)の数の増加と彼らのアフリカの初期のスタートアップへの投資がこれを引っ張るのではないかとしています。また、アフリカのスタートアップのエグジットするケースの増加が見られるようになったことから、それに誘われる投資家やVCなどを惹きつけるのではないかともしています。
2. ヘルスケア分野の発展
ここでは、GoogleのDeepMind社AlphaFoldという技術を活用した、医療の発展によって、紛争や貧困農地にある国々でよく見られる「顧みられない病気」を治療するワクチンなどの製造につながるだろうとしています。そして、医療分野での取り組みに、投資も集まるだろうとしており、特にGates FoundationやChan Zuckerburg Initiativeのような臨床試験のための助成金や、それらを活用したスタートアップ企業の台頭が理由となるのではないかとしています。
3. Starlinkの台頭
こちらでも取り扱ってきました、インターネット関連のアフリカでの課題にStarlinkが風穴を開けるだろうとしています。これによってオンラインになっていない多くのアフリカの人々をオンラインにするのではないかとしています。
4. ソフトウェアによってラストマイルの課題を解決
ナイジェリアでロジスティック系のソリューションを提供しているKobo360などのスタートアップ企業を例に出し、彼らが製造業社と消費者間の金銭のやり取りの課題に取り組みソリューションを提供してきたかに触れ、2021年にはロジスティックとpay-as-you-goの結合による変化が見られるのではとしています。特にAfCFTAなどがその影響をうまく受けるのではともしています。
5. Defi分野への投資家の参入
こちらでは、2000年代に多くが「世界の成長著しい10の経済うち、7がアフリカから出る」という予測から、2020年代には、「Crypto利用者の3/10はアフリカにいるだろう」という予測に変わるくらいに、これを進める上でカギとなる分散型金融がアフリカへの関心を高めると予測しています。そしてその中心には東アジア諸国との取引を行う小規模の貿易商人がその動きを牽引するだろうとしています。
6. アフリカ諸国の防衛産業を建て増し
ドローン技術やロケット開発が安価になったことを背景に各国が、防衛にかける費用のコストカットを実現し、そのような産業に成長が見られるだろうとしています。
7. GPT3プラットフォームによる新たなコールセンターの台頭
AI技術を活用した超高精度な文章生成ツールとして知られる、GPT-3とアフリカの優秀な人材のコンビネーションが、現在のエンタメ業界に見られるような大手企業のアフリカでのエンタメコンテンツ作成を推し進めるのではないかとしています。文章作成などで目覚ましい成果をあげている同テクノロジーの将来的な活用法として、カスタマーセンターなどでの活用で、カスタマーセンター自体の生産性向上につながるのではないかともしています。
ナイジェリアや南アフリカ、ケニアからAI関連の 事業に関してのニュースを聞くことが多くなってきている昨今、それらの国で必要な情報の作成を行い、そして、昨年Netflixやディズニーのアフリカでのコンテンツ制作のニュースが聞かれたように、アフリカの人材を登用した、エンタメコンテンツの制作がアフリカにおける同技術と人材の活用にの提案につながっているのではないでしょうか。
8. アフリカのPlaidの出現
アメリカの企業で、金融サービスを提供する企業での製品・サービスをより良いものにするための、データ通信情報ネットワークを提供するPlaid社と同様のサービスを提供するアフリカ発の企業の出現と成長があるのではないかとしています。
こちらはここ数年アフリカのスタートアップ界隈への投資の大部分を占めているのがFintechへの投資であること、そしてこの分野によって、先に述べましたような分散型金融の成長が予測されることから、こちらの傾向が見られるのではないでしょうか。
9. e-コマースの爆発的な成長と、それによる顧客の獲得
2020年にアフリカのオンラインコマースが通常のグローバル成長より75%早いスピードで成長したことを例に、そしてこれとFintech企業の成長、さらには大陸内での貿易の活発化に取り組もうとするアフリカの流れから、これら3つの動きがうまく噛み合わさることで大きな成長を見ることができるのではないかとしています。
10. リモート勤務スタイルの定着かによる、アウトソーシングの促進
一時期大注目されていたAndela社が近年、事業の縮小を発表することがありました。彼らはもともと、ITエンジニアをシリコンバレーの企業などに派遣していました。そこで必要なプログラミング作業などをしていたのですが、それらの企業で必要とされるのが、エントリーレベルなどではなく、もう少しレベルの高いエンジニアであることなどから、また採算が立たなくなってきていたことから、育成部門を縮小していたという背景があります。なぜならば彼らが経験を積むことのできるプロジェクトなどがあまり見られなくなったからです。しかし、昨年から見られるリモートワークの定着から、小さな仕事を外部にアウトソーシングする流れが今後強まり、その恩恵を受けることができるのではないかとしています。
とても内容の濃い記事ではありますが、先日のトレンドとは違った視点から書かれた予測であることが見て取れます。また研究所的な着眼点から、今年すぐに起こらなくても、今後の数年をかけてこのようなことが実現されていくこともイメージできたのではないでしょうか?
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