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みなさま、こんばんは!
以前の投稿にて国連による発表を紹介し、アフリカにて違法な資本流出が問題になっているとお伝えさせていただいたかと思います。
本日はそれに関連し、アフリカにおける違法な資本流出抑制の重要性、また政府がとるべき抑制へのアプローチ方法に関して詳しく述べている国連貿易開発会議(UNCTAD)の記事をご紹介しています。
ぜひ以前投稿させていただいた記事や関連記事と合わせてお読みください!
記事:「アフリカにおける持続可能な発展に向けた違法な資本流出の抑制」
「Curbing illicit financial flows to finance sustainable development in Africa」
記事リンク:https://unctad.org/news/curbing-illicit-financial-flows-finance-sustainable-development-africa
内容と背景:
以前の投稿にて国連による発表を紹介し、アフリカにて違法な資本流出が問題になっているとお伝えさせていただいたかと思います。本日はそれに関連し、アフリカにおける違法な資本流出抑制の重要性、また政府がとるべき抑制へのアプローチ方法に関して詳しく述べている国連貿易開発会議(以下:UNCTAD)の記事をご紹介いたします。
以前もお伝えさせていただきましたが、国連の推定によれば、2000年から2015年までの15年間でアフリカからの違法な資本流出は合計8,360億ドルに及び、その多くは金、ダイヤモンド、プラチナなどの高価値商品の流出に関係しています。アフリカにおける年間の違法な資本流出額は、政府開発援助(以下:ODA)や外国直接投資(以下:FDI)を合わせた額に匹敵するものであり、各国の経済発展を妨げている要因として大きく問題視されています。
UNCTADは今回ご紹介している記事の中で幾つかの理由を挙げ、まずアフリカにおける資金確保の重要性を説明しています。UNCTADは、来年初めに導入が予定されているアフリカ大陸自由貿易圏(以下:AfCFTA)、2030年までに達成が目指されている持続可能な開発目標(SDGs)、またアフリカ諸国を未来の世界大国に変革するために掲げられているマスタープラン「アジェンダ2063」に関して、現在資金不足が達成に向けた進展を妨げていると述べ、今後さらなる資金の確保が必要不可欠であると主張しています。また、教育やインフラ部門も投資を必要としており、コロナウィルスの発生は資金調達のギャップをさらに拡大させていると述べ、資金確保の必要性を強調しています。
UNCTADはさらに、今後外部からの資金流入は非常に限られるとの見解を示しています。アフリカに対するODAはこの10年間、年間約300億ドル付近で停滞しており、UNCTADはドナー国は国内でコロナウィルスへの対処に向けて資金を維持する必要性があるため、今後援助に向けたコミットメントを増やす見込みは低いと推測しています。さらにUNCTADは、アフリカへのFDIが2019年の450億ドルから、2020年には250億ドルから350億ドルに急落し、2022年までに回復する見込みはないだろうとの見解を示しています。
UNCTADはこれらの理由から資金確保の必要性を述べた上で、アフリカ諸国は外部に流出している資金源から新たな資金を確保すべきであると主張しています。UNCTADによれば、年間886億ドルが資本逃避の形で大陸を離れているようです。ここで述べられている資本逃避の一部は合法的な経路を通って外部へ流出していますが、その他は出所、移動、使用において違法な経路を通っている資本です。記事によるとこれらの違法な資本流出には、汚職や密輸などの犯罪行為、貿易貨物の誤請求などの商慣行、また移転価格の乱用などの税務慣行が関係しており、商慣行や税務慣行における違法な資本流出はしばしば、利益を低税の管轄区域にシフトすることを目的とした脱税戦略に基づくものであるようです。
UNCTADはさらに、特にサハラ以南に位置するほとんどのアフリカ諸国は一次産品の輸出に依存しているため、商品の商業的流れは違法な資本流出を抑制する上で研究すべき重要な分野であると述べています。UNCTADの推定によると、アフリカ諸国の報告する商品輸出額と、貿易相手国の報告する商品輸入額には輸出の過少請求により発生している永続的なギャップが存在しており、2015年にはその額は400億ドルに及び、金の輸出が全体の77%を占めていたようです。
上記のデータからお判り頂ける通り、アフリカでは貿易における過少請求が不法な資本流出と税金の損失に寄与し、開発に必要な資金調達ギャップを拡大させています。UNCTADは違法な資本流出の抑制はアフリカ諸国の税収をGDPの3.9%、つまり年間1,100億ドル増加させる可能性があると述べ、違法な資本流出の抑制がアフリカ諸国に財政的余裕を与えるだろうと主張しています。
記事後半では違法な資本流出の抑制に向けて各国政府が実施すべきアプローチが記載されています。UNCTADは、違法行為に関するデータの収集は特に大陸内貿易に関するデータが希薄であるアフリカでは非常に困難であると述べ、アフリカ政府はより多くの良質なデータを収集するためのインフラに投資すべきであると提案しています。また、違法行為は国境を超えた活動であるため、アフリカ政府は電気通信や銀行など、違法行為と関連性のあるセクターに関するデータの共有や政策の調整を通じて、地域レベルでの協力体制を築いていく必要があるとも述べています。文末ではさらに、アフリカ諸国がAfCFTAの枠組みとともに租税競争を一貫させ、国際的な税制改革プロセスに関与していく必要性があるとの見解が示されています。
AfCFTAの導入やSDGsとアジェンダ2063の達成を控えるアフリカ大陸にとって、投資に必要な資金確保は重要な課題と言えます。今後ODAやFDIによる外部資金への依存脱却が期待されるアフリカ諸国が、違法な資金流出の追跡および抑制により生まれる資金を活用し、自国の発展に向けた取り組みを促進させることができるのか、今後の動向に注目したいところです。関連記事2つ目に載せましたレポートには、さらに詳しいUNCTADの見解が記載されていますので、ご関心のある方はぜひ合わせてお読みください。
関連記事:
- 「【最終盤】アフリカでの違法な資本流出に関して国連が最新のレポートを発表!(面白記事 Vol.150)」–Link
- 「Curbing illicit financial flows to finance sustainable development in Africa -Policy Brief No. 82」–Link
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