目次
みなさま、こんばんは!
さて、本日金曜日は物流および貿易関連の話題をお伝えする日です。
まず1記事目ではナイジェリアの物流スタートアップ企業、MVXchangeが今年3月に新たなサービスを発表したというニュース、また2記事目ではMTNルワンダが地元の起業家や新興企業に対してモバイルマネーの支払いを受け入れるソリューションの構築を可能にする新たなモバイルマネーAPIを、今年末までに公開する見通しであるというニュースを共有させていただいております。
ぜひお楽しみください!
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記事:「ナイジェリアの物流スタートアップMVXchangeが新たな貿易製品を発表」
英題:「Nigerian logistics startup MVXchange launches new trade product」
記事リンク:
内容と背景:
本日金曜日は物流および貿易関連の話題をご紹介する日ということで、まずナイジェリアの物流スタートアップ企業、MVXchangeが今年3月に新たなサービスを発表したというニュースをお伝えいたします。
MVXchangeはアフリカ企業によるロジスティクスと貿易接続の調整をビジョンに、2019年に設立されたナイジェリアのスタートアップ企業です。同社は同年、アフリカにフォーカスしたベンチャーキャピタルであるOui Capitalが主導する10万米ドル相当のシード前資金調達ラウンドを終了しており、その後Kepple AfricaVenturesおよびFoundersFactoryAfricaからも資金の調達に成功しています。
同社は2019年3月より、船舶の用船要求を利用可能なオフショア支援船(OSV)と照合する技術を保有するMVXenergiという名の海事プラットフォームを運用しており、ユーザーが工数やコストを削減し、パフォーマンスを向上させながら船舶を便利に用船できるようにサポートしています。
同社はMVXenergiサービスのもと、これまで主に西アフリカで稼働しているOSVの15%以上を搭載し、350日以上の雇用日数を記録してきました。
MVXchangeの創業者Tonye Membere-Otaji氏は、同社は業界平均で24-36時間かかる船舶と企業のマッチングに関して、1時間以内での実施を可能にしていると述べています。また彼の話によると、同社は日ごとの任意なマージンではなく、固定された予測可能な日ごとの手数料制度を導入し、多くの船舶オプションを提供することによりコスト削減を実現してきたようです。
同社は創業以来初のサービスであったMVXenergiに続き、今年3月にMVXtransitという名の新たなサービスを発表しました。MVXtransitはデジタル貨物予約および管理プラットフォームであり、アフリカの企業やパートナーに便利でシームレスなドアツードアの貨物体験を提供しています。
サービスを開始したタイミングが今年3月と、コロナウイルスが世界的に猛威を振るい始めた時期と重なったことから業界が困難な状況に陥っている中での動きだしとなりましたが、 Membere-Otaji氏の話によると同社はサービス開始当初、交通渋滞を回避しながらアパパ港にてコンテナを出し入れするためのツールの提供など、国内の運搬需要にフォーカスを当てたサービスの提供を実施したことから、早い段階で業界での牽引力を獲得できたようです。また彼は、現在は貿易活動が再開し企業に輸入、輸出、通関仲介サービスを提供できるようになっているとも述べています。
同社はMVXtransitサービスのもと、これまで100回以上の出荷を実施してきた実績を保有しています。こちらの投稿でもたびたびお伝えしていますが、来年始めにはアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の運用開始が予定されていることもあり、今後アフリカ諸国間での貿易もさらに活発になっていくと予想されます。このような動きから貨物予約や貨物管理のニーズは今後高まっていくと考えられるだけに、同社が業界にて安定した顧客基盤を獲得しシェアを伸ばしていくことができるのか期待したいところです。
関連記事:
- 「コラム – Vol. 6: アフリカ物流市場のマーケットポテンシャルとは?」–Link
- 「EACがケニアとタンザニアで導入する電子物流追跡システムとは?(面白記事 Vol. 99)」–Link
- 「Early-stage Maritime startup, MVXchange set to build the future of Offshore Support Vessels chartering in Africa」–Link
記事:「MTNルワンダ;今年末までにモバイルマネーAPIを公開予定」
英題:「MTN Rwanda to launch Mobile Money API, what will it change?」
記事リンク:
https://www.newtimes.co.rw/business/mtn-rwanda-launch-mobile-money-api-what-will-it-change
内容と背景:
続いてはルワンダのeコマースセクターから最新の話題をお伝えいたします。
近年世界的にキャッシュレス化が進み、モバイルマネーの活用やECサイトでの買い物が盛んになってきていますが、昨今発生しているコロナウィルスの影響による外出規制や、人との接触を最小限に抑えようとする動きにより、キャッシュレス化の必要性が一段と高まってきています。特に世界の他地域と比べて、未だ銀行口座を持たずマーケットへのアクセスが制限されている人が多いアフリカ大陸も例外ではありません。
そんな中記事によると、東アフリカに位置するルワンダにて大きなシェアを占めている通信会社MTN Rwandaが地元の起業家や新興企業に対してモバイルマネーの支払いを受け入れるソリューションの構築を可能にする新たなモバイルマネーAPIを、今年末までに公開する見通しであることがわかりました。
APIとは一般的に2つのアプリケーションが相互に通信し合えるようにするソフトウエア仲介者を指します。今回公開される見通しであるAPIは、支払いを管理するために設計されたインターフェイスであり、eコマースサイトおよびプラットフォームが商品やサービスの支払いを管理し、注文を追跡し、顧客のリストを維持できるようにするものです。
このAPIを使用することで、地元の企業や起業家らは支払いモデルとしてモバイルマネーと簡単に互換性のあるソリューションを構築し、それぞれのプラットフォームでモバイルマネーの支払いオプションを提供できるようになり、クライアントとのシームレスなやりとりが可能になります。
MTN Rwandaの最高経営責任者であるMitwa Kaemba Ng’ambi氏によると、今回のAPI開発はビジネスや企業らにモバイルマネーの活用をさらに促す計画に沿ったものであるようです。彼女は、同社はモバイルマネーエコシステムの拡張を目指し、中小企業やコンテンツクリエーター、若い起業家、およびアプリケーション開発者にエコシステムを解放し、どこでも現金を必要としない世の中を作り上げたいと考えていると述べています。
記事終盤では同社はユーザーによる無料での通話を可能にしているAYOBAと呼ばれるサービスにも新たな機能を追加することや、現行のモバイルマネーサービスを統合して新たな機能を追加することも検討していると紹介されており、デジタルアプリケーションを通じたリッチなユーザーエクスペリエンスの提供を実現したい狙いがあるようです。
こちらの投稿ではこれまでB2BやB2C向けのeコマースプラットフォームを構築しているテック系スタートアップを多くご紹介してきましたが、今回MTN Rwandaにより発表される新たなAPIはこのような起業家らによるプラットフォーム構築を手助けしていくものとみられます。
現在顧客ベースの6割にあたる300万人のモバイルマネー加入者を抱えるMTN Rwandaですが、今回公開されるAPIにより加入者をさらに増やしシェアを伸ばすことができるのか、同社の今後の動向にも注目したいところです。
関連・参考記事:
- 「アフリカ諸国の対外貿易およびeコマースセクターに関する話題(面白記事 Vol. 144)」–Link
- 「ケニアのCopiaとルワンダのKashaがDFCより資金調達に成功(面白記事 v.141 )」–Link
- 「eコマースセクターとネット接続向上に関する最新の話題(面白記事 Vol. 135)」–Link
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